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スティール・ギターを手づくり!! Part.1 ~まずは、ご説明~

こんにちは!

ロックバンドSPORTS MENのウクレレ担当、澤田が自らの楽器愛について語る「澤田のウクレレ日誌 ~Parlor Songs~」。

今回から、楽器製作の記録をはじめてみたいと思います!

最初の題材として選んだのは…

はっぴいえんど、はちみつぱいなどで活躍した駒沢裕城、高田渡のご子息でマルチ弦楽器奏者の高田漣の演奏を聴いて以来、ずっと作ってみたいと考えていたスティール・ギターです。

もともとウクレレと同じハワイアン・ミュージックをルーツとしながら、様々な音楽で用いられているスティール・ギター。

実は、世界初のエレキギターでもあったりします。

今回はまず、その特徴や起源についてまとめてみようと思います。

楽器の完成まで、お付き合いいただければ幸いです!

スティール・ギターとは?

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一口にスティール・ギターといっても、主だったところだけで、上記のCDジャケットにあるようないくつかのタイプが存在します。

どれも、基本的な構造そのものは一般的なアコースティック・ギターやエレキギターと同じなのですが、異なるのは、なんといってもその特殊な奏法です。

まずは、聴いてみてください。

1つ目がカントリー、2つ目がハワイアンです。

主な特徴をまとめると、下記のようになります。

・抱えて演奏するのではなく、本体を横に寝かせて膝に置いて弾く
・弦を指で押さえる代わりに、金属製のバーを押し当てて移動することで音程を変える
・弦高(指板と弦やフレットの間)がとても高い
・ギターと同様に、アコースティックとエレキの両方がある

この他に、オープンチューニング(※ 開放弦でコードが響くような通常の調弦とは異なるチューニング)を使用している点も重要です。

そして、サウンド面における特徴として、独特な音色長いサスティーンを持っており、主にメロディを奏でるのに使われるリード楽器になります。

誕生秘話

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スティール・ギターはハワイアンギターとも呼ばれ、ハワイ発祥の楽器とされています。

その起源は今や伝説のように語られており、僕が読んだ文献でも「嘘か本当か…」といったニュアンスで書かれていたのですが、19世紀末、ハワイのジョセフ・ケクク(写真・下)という演奏家がナイフをギターの弦の上に偶然落とした時に、不思議な「みょ〜ん」という音が鳴ったのがきっかけで、ギターに金属の棒を押し当てる奏法を生み出したという逸話があります。

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また、もともとハワイには独自のスラック・キー・ギターという、オープン・チューニングによるギター奏法が存在していて、そこから派生して、オープン・コードを金属バーで弾くスティール・ギターの演奏が生まれたという説もあります。

スティール・ギター黎明期に主流だったのは、アコースティック・ギターを横に倒して演奏するための、やや大ぶりなボディを持つハワイアン・モデルという楽器でした。

MartinやGibsonといった有名ブランドも、それを製作していたようです↓

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そこからさらに発展して、より大きな音量を得るためにワイゼンボーンというネックまで空洞になっているギターが開発されたり↓

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金属製のボディにコーンという拡声器を付けた、いわゆるリゾフォニックギターも生み出されました↓

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このように、ギターをはじめとした弦楽器が大型化して音量が拡大していくことは、1910~1960年頃にかけての大きな潮流でした。

その最たる事例が、ギターをエレクトリック(電気信号)化して、アンプから大きいサウンドを響かせる、エレキギターの誕生ですが、なんと世界初のエレキギターはスティール・ギターだったのです!

世界初のエレキギター!?

一番はじめにスティール・ギターのエレキ化を発表したブランドは、リッケンバッカー社とされています。

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これが、1932年に世界初のエレクトリック・スティール・ギターとして発表されたA-22というモデルです。

通称フライング・パンとして知られる本器は、ピックアップを通して弦の振動を電気化してアンプから大きな音が出る仕組みで、まさに、今のエレキギターの祖先であると言えます。

その後も、数々のモデルが製作され、色々な演奏家に使用されていきました。

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ハワイアンギターの王様

そんな演奏家の一人に、「ハワイアンギターの王様」と称されるソル・ホオピイというスティール・ギター奏者がいます。

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1920~30年代にかけて全盛期を迎えた彼は、スティールギターの構造の進化の渦中で、その音楽家人生を歩んできたと言っても良いと思います。

初期のソル・ホオピイはハワイアンモデルやワイゼンボーン、National製のトライコーン(3つの拡声器がついた豪華なリゾフォニックギター)を使用していたようです↓

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そして、僕がソル・ホオピイの演奏を初めて聴いた「12番街のラグ」という曲には、

・1927年のリゾフォニックギター演奏ver.
・1938年のエレクトリック・スティールギター演奏ver.

という2つのバージョンが存在していて、どちらも素晴らしい演奏技術なのですが、この2つの音色の違いを聴き比べると楽器の進化の過程が感じられて、とても面白いです↓

主にアメリカ本土で活躍したソルは、ハワイアンだけではなくジャズやブルースなどスタンダード・ナンバーにおいても、スティール・ギターの名演を残しています。

ハワイで生まれたスティール・ギターはアメリカ本土で次第に広まっていき、様々な音楽ジャンルで演奏されるようになっていきました。

エレクトリック・スティールギターはリード楽器として音量面でも他の楽器に劣ることがなかったため、普及していったのだと思います。

次回、製作開始!

次回の記事からは、先ほど紹介した、エレキギターの元祖フライング・パンをベースにしたスティール・ギターを作っていきたいと思っています!↓

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これから図面の作成、材料の調達や道具の準備をおこなっていくので、実際の製作風景をお届けしていければ幸いです!

是非、お楽しみに!!

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最後までお読みくださりありがとうございました!

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