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取壊しの古民家で、最期の上映会

みなさん、こんにちは!

SPORTS MENの豊田です。

この豊田日記も、あっという間に第3回目となりました。

今回は、来たる11月20日にSPORTS MENのワンマンライブ「出張!静かな音楽会 〜祖師ヶ谷大蔵 Cafe MURIWUI編〜」が開催されるにあたって、僕とベースの中村くんが祖師ヶ谷大蔵の古い一軒家で一緒に暮らしていた頃のことを書いてみたいと思います。

その日々は、静かなロックバンド・SPORTS MENが始まった一番最初のきっかけでもありました。

そして、それについて振り返ることは、ウクレレの澤田くんも含めて、長年にわたるメンバー3人の関係性を端的に表現することにもつながると思います。

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映研時代

SPORTS MENの3人は早稲田大学の映画サークル早稲田大学映画研究会(以下、映研)の同期として出会いました。

当時から僕たちは、新歓イベントでバンドを組んで新入生に向けて演奏したり、遊びでスタジオに入ったりと、今思い返すと、映画サークルの仲間なのに不思議なほど一緒に音楽をやる機会の多い3人でした。

下の写真は、その新歓イベントで演奏した際に撮ってもらったものです。

誰かがポラロイドカメラで撮ってくれた写真なので、まるで昭和のような雰囲気ですが、時は2009年です。比較として、現在の写真も並べてみます。

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当時の映研には、自分で監督をやりたい人、役者志望の人など、様々な目的を持った人が集まっていたのですが、だいたい同期の中に1人か2人、カメラを回すのが上手い人がいて、撮影のオファーがその人に集中する、という傾向がありました。

僕らの代では、中村くんがその立ち位置だったので、僕も自分の作品でカメラを回してもらったことがあります。

その中村くんに引き連れられて入ってきていた澤田くん(中村くんとは高校からの親友)は、フォトジェニックかつ体力もあるので、役者としてもスタッフとしても先輩方から重宝されていました。

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祖師ヶ谷大蔵での暮らし

大学卒業とともにサークルを引退して2年ほど経った頃。

僕と中村くんは、様々な得難い巡り合わせによって、祖師ヶ谷大蔵のあらかじめ取り壊すことが決まっている古民家で共同生活をすることになりました。

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祖師ヶ谷大蔵は、新宿から小田急線で都心を離れて環八通りを越えた最初の駅で、大きなショッピング・センターなどがなく、商店街が賑わっていて、飲食店がたくさんあって、遅くまでやっている銭湯があったり、足を伸ばせば巨大な砧公園の自然もあったり…と、とても絶妙にちょうど良く、ホームタウン感のある東京の街でした。

その頃、僕は大学院を修了してフリーで活動し始め、中村くんは都内の映画学校に通っていました。

僕はちょうど「考えるカラス」というEテレの番組で初めてテレビの音楽をやらせていただいた年でもあり、お金はないものの胸いっぱいの希望はあり、今思うと、何かすごく自由な気持ちで日々を過ごしていた気がします。

「祖師谷映像際」と称して月に一本ずつ映像作品をつくってお互いに発表し合ったり、宅録でEPのようなものを作って聴かせ合ったりして遊んでいた豊田・中村。

二人の間に「バンドでもやろうか」という話が持ち上がったのも、その遊びの延長のようなものだったと思います。

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なので、SPORTS MENが始まった一番最初のきっかけが何だったかと言えば、豊田と中村が共同生活をしていて、暇を持て余していたから…ということになるかもしれません。

短編映画『気象予報士がやってくる』

ただ、その古民家の具体的な取り壊しまでのカウントダウンの日々は、嵐のようでした。

それはなぜかというと、バンドとは別にもう一つ、短編映画を作るというプロジェクトを始めてしまったからです。

そのプロジェクトは、毎夜の台所での企画会議に始まり、取り壊しになる数日前にその家で開催した完成披露試写会によって幕を閉じます。

映画のタイトルは、『気象予報士がやってくる』です。

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あらすじ
 予測不能な空模様の下、学内新聞に独自の天気予報を掲載する二人の男子高校生がいた。天気読みに没頭する町田。ある女性に想いを寄せつつも為す術の無い境。二人は「何かやりたい」という衝動をどこに埋めたらいいのか分からないまま、気象観測装置の凧を空高く揚げる。街の南海上に立ち込める「謎の雨雲」と対峙しながら、二人はそれぞれの未来を手繰り寄せようと試みるーー

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完成披露試写会の案内文から、色々と当時の様子がわかるので、そちらも一部抜粋して載せてみます。

『気象予報士がやってくる』完成披露試写会のご案内

 同居人・豊田真之と共に企画を打ち立て、毎晩のように台所で打ち合わせをしながら脚本を書きました。冬になり撮影が始まると、スタッフが家に泊まり込み、持て余していた空間には機材や小道具が溢れ、小さな駐車場には車輌が出入りし、家全体が生気を取り戻したような活気に包まれました。さらに、紆余曲折あって最終的にこの家を映画の中にも登場させることになったのです…

そう、映画の中にも少しだけその家を登場させたのでした。

この作品は中村太紀の第一回監督作品として、取りも直さず中村くんのアイデアを形にすることを目的として制作されました。

でも実は、僕の脳内でその制作期間のことがフラッシュバックするとき、その映像は澤田くんを中心としたものであることが圧倒的に多いです。

それだけ、澤田くんが大活躍した作品だったのです。

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中でもよく思い出すのは、いつも撮影前日の深夜のリビングで、みんなが就寝したあと、独りで機材を一つ一つ確認していた澤田くんの姿です。

誰に頼まれたわけでもないのにその役割を自分の領分と決めて、そして、次の日には誰よりも早く起きて車を運転して現場までみんなを連れて行ってくれる。

一言で言うと、澤田くんにはそういったスーパーマン的な部分があります。

僕自身は、そういう面があるから澤田くんと友人でいるわけではないし、むしろ、全然スーパーなんかじゃない人間同士として向き合っていたいと、本当に常にそう思っています。

ただ、澤田くんについて考えるとき、いつもこの祖師ヶ谷大蔵の古民家の一階で、みんなが寝た後に機材を一つ一つ確認している姿が、どうしても浮かんできて、頭から離れません。

最期の上映会

そして、完成披露試写会の日。

出演者、スタッフ、関係者をはじめ、想像以上にたくさんの方が観に来てくださり、狭い家の中で、かき集めた椅子や座布団が満席になり、2回に分けて作品を上映をしました。

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本編が20分しかないので、他に何かできることはないかと考え、上映前に3人で「祖師ヶ谷大蔵駅」という中村くんのオリジナル曲を演奏しました。

映研の後輩の和久井幸一くんが撮ってくれたドキュメンタリー映像から、演奏シーンを抜粋してアップしてみます。

もしよかったら聴いてみてください!

この頃はまだ、今のようにこの3人で本格的にバンド活動をすることになるとは考えていませんでした。

…さて、そんな思い出の地・祖師ヶ谷大蔵で、来る2021年11月20日にワンマンライブを開催します。

「出張!静かな音楽会 ~祖師ヶ谷大蔵Cafe MURIWUI編~」
2021.11.20(SAT)@Cafe MURIWUI(祖師ヶ谷大蔵)
OPEN 18:00 / START 18:30
出演:SPORTS MEN
料金:2,000円
ご予約:
https://note.com/muriwui/n/n556c17213403

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会場のムリウイは、僕と中村くんもよく使っていたカフェで、小さなビルの屋上のペントハウスに設られた、開放感と親密さが同居するとても居心地の良い空間です。

もしよろしければ、ぜひお越しください!!

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この個人的な内容の記事を最後までお読みくださり、どうもありがとうございます!!

今後ともSPORTS MENをよろしくお願いいたします!

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