e-sportsは本当にスポーツなのか?4大スポーツを脅かすのか?

SSACレポート第3段の今回は、e-sports(所謂、オンラインゲームの大会・トーナメントのこと)についてである。今回のSSACでは、スポーツ産業という大きな枠の中で、e-sportsが今後大きな潮流となり得るというトレンドが多く語られていた。e-sportsの市場規模はここ数年で急増しており、2016年時点で500百万ドル(約500億円)に到達。世界五大スポーツビジネスである、欧州サッカーが30,000百万ドル、NFLが11,000百万ドル、MLBが8,000百万ドル、NBAが5,000百万ドル、NHLが4,000百万ドルと比較すると未だ小さいものの、メジャーなe-sportsの大会では会場に4万人近くが入り、オンラインで数千万人が観戦しており、アメリカ最大のスポーツイベントSuper Bowlと並ぶ最大規模のスポーツイベントとなっている。

今回のSSACの中で、"ESPORTS EMERGENCE"というパネルディスカッションがあり、Twitchというe-sports専用・最大のStreamingプラットフォーム(2014年にアマゾンに約10億ドルで買収)のDirector of Global Esports Sponsorships, Nathan LindbergやCollegiate StarLeagueという世界最大の大学生向けe-sportsコミュニティのNeil Duffy 副社長、アメリカ最大手のテレビ局Turner参加でe-sportsの最大のトーナメントを主催するELEAGUEのChristina Alejandre GMがパネラーとして参加した。下記の点がe-sportsのポテンシャルや今後の動きについて興味深く語られていた。今までは一部のコアなファンに支えられていた印象のe-sportsであるが、大手のTV局やMLB等のトラディショナルなスポーツリーグが協業を開始したことで、どれだけ今後マスオーディエンスの認知度が上がり市場が拡大してゆくか、非常に注視すべき点であると感じた。

・2016年はe-sportsの大きなターニングポイント:2016年末にMLB傘下のStreamingサービスを取り仕切る会社であるBMTechが最も人気のあるe-sportsの一つLeague of Legend(LOL)の大会のLive streamingの放映権を6年間300百万ドルで獲得した。更に、アメリカ最大手のTurnerも2016年よりe-sports最大の大会となるELEAGUEを開催し、その映像をTurnerで配信し始めた。いわゆる、TraditionalなSportsリーグや放送局もe-sportsのコンテンツの価値に気付き始めて、コラボレーションに向けた投資やパートナーそっぷに動き始めている。後から振り返った時に2016年はe-sports、sports業界全体にとっての大きなターニングポイントとなるだろう。

・なぜ、e-sportsなのか?:何より、e-sportsはdigitalプラットフォームとの相性が良い。e-sportsの場合、プレーヤーとファンがプレー中にコミュニケーションしたり、ファンはマルチアングルの映像(例:多数のプレーヤーの状況を見る)を自分で自由に選択できたり、することが魅力になっており、これは一方通行のTV等の媒体ではなく、PCやモバイル等のdigitalプラットフォームと相性が良い。

また、e-sportsは他のスポーツと違って性別やフィジカルの強さの制約を受けない、most inclusiveなスポーツである、なので誰でも平等に参加でき、実力を伸ばして、大会で勝ってゆく機会がある。また他のスポーツと比較しても1回やってみることに対してのハードルが圧倒的に低い。この点もファンを拡大してゆきやすい要素の一つ。スポンサーや放送局の立場で見ると、(従来のケーブル放送等ではリーチが難しい)18-35歳のミレニアル世代に対してアプローチできる、というのは魅力。ブランド広告との相性も良く、例えばインターネットプロバイダが(オンラインゲームという性質上、インターネットの回線速度が重要である)e-sportsのチームのために高速のインターネット接続サービスを提供していることを宣伝するような形の、コンテンツマーケティングを行うことで、非常に高い広告効果・顧客Loyaltyの獲得に繋げることができる点も魅力。

e-sports専用・最大のStreamingプラットフォームであるTwitchは、年間で5千を超える数のトーナメント・大会を放映しており、ユーザー数は1億人超、Daily Active Userは8.5百万人、月間平均視聴時間は420分(YouTubeは290分)とファンのエンゲージメントが高いプラットフォームとなっている。

Globalのプレーヤー・ファンも多く、Globalオーディエンスにリーチが容易であることも魅力。今はアメリカのスポンサーが中心であるが、今後はGlobalスポンサーシップを獲得して地域ごとにスポンサーを変えるといったアプローチの可能性もある。

・e-sportsは投資家の観点でも、NFLやNBAのチームを保有するのには数10億ドルの資金が必要だが、e-sportsのチームの保有は10数百万ドルという単位からできる。この点も多くの投資家・資金を集めている要因となっている。

・他のtraditionalなスポーツと同様、アメリカではe-sportsのCollegeリーグもここ数年で急成長している。e-sportsの大学リーグであるCollegiate StarrLeagueにはすでに700を超える大学が参加しており、フットボールと同様に、Division 1から3までに分かれている。実際にトップレベルのプレーヤーには奨学金を提供する仕組みもできており、そのままプロのe-sportsチームにスカウトされる例も出始めている。e-sportsの大学リーグは今や他のメジャースポーツと同様に、大学の進学への援助やプロ化へ向けた登竜門といった機能を発揮しつつある。

・British Esports Associationは2016年にブラジルでE-sportsの世界大会を主催。10カ国以上からナショナル代表チームが参加して優勝チームには金メダルが送られた。E-sportsのオリンピック化も狙っている。

次記事:なぜNBAはMLBやNFLを超えるビジネスとなったのか?


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SatoshiYamada

MIT SSAC訪問レポート

全米最大のSports Analytics Conferenceである、MIT Sloan Sports Analytics Conference 2017の訪問レポートです。Sports x Techに興味のある人に是非見て頂ければと思っています!
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