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『Triennale Game Collection 2』ゲームによって「知らないこと」を知る

公式サイト『Game Collection Vol. 2 | Triennale Milano

2022年発売、無料で楽しめるミニゲーム集。
これは、イタリアのミラノで2022年に開催された美術展の出展作で、アートに主軸が置かれたミニゲーム5作品を収録。
スマートフォン向けとしても作られているため、全てマウスのみで操作できる。

Steam:Triennale Game Collection 2
iOS:Triennale Game Collection 2
Android:Triennale Game Collection 2

2016年に発表された前作『Triennale Game Collection』も同じく無料配信中。先の記事でも紹介済なので、ご参照いただければ幸い。


収録作品の解説


収録されているのは5作品、それぞれの内容と制作者の紹介。

Game 1『WADE』

冥界に流れ込む広い川の岸辺を歩き続ける。途中で行く手を阻むものや、簡易的なパズルもある。

制作:OPTILLUSION GAMES(中国・アメリカ)
他の作品:Moncage -箱庭ノ夢-(Steam)

また公式のサイトでは、全ての作品に対して制作者のインタビュー記事が掲載されている。

インタビュー記事:Dialogue with the Unknown

冥界、つまり死の世界という未知のものを体験させる試みがあるという。

Game 2『We Are Poems』

宇宙空間の至るところで、何かがささやいたり歌っているのを眺めていく。

制作:Fern Goldfarb-Ramallo(アルゼンチン)
他の作品:PANORAMICAL(Steam)

インタビュー記事:The Unknown Through Play and Pleasure

これらを「星」と見るか「人」と見るかは自由だが、あらゆる場所でコミュニティを形成している中、それに干渉するわけでもなく外部から覗き込む。これは、現代の社会を見せているようでもある。

Game 3『Nonno's Legend』

大陸を自由に動かせるという不思議な機能を持った地球儀で、自分だけの大陸を作っていく。
大陸に触れるとバラバラに割れて動き出すが、割れ目は「国境」のように人が決めたものではなく、川や山など自然の境界で分割される。

制作:Nina Freeman(アメリカ)
他の作品:how do you Do It?(Steam) / We Met in May(Steam)

インタビュー記事:Mapping the Unknown

タイトル「ノンノの伝説」の「ノンノ」は少女ではなく、一緒に登場している祖父のことで、制作者の祖父がモデル。

Game 4『MINE』

FPS視点で鉱山の奥深くまで進んでいく。その中には電子回路の基板やダイオードなど数々の電子部品や、各所では採掘現場の写真が映し出される。

制作:Akwasi Bediako Afrane(ガーナ)

インタビュー記事:Digging for the Unknown

みんなが普段から触れているはずのコンピューターも、原材料は鉱山から採れる。知らないものを見せようとする試み。

Game 5『Contact』

バーのスライドと文字の選択によって、エイリアンという未知の者と対話していく。

制作:DREAMFEEL(アイルランド)
他の作品:If Found...(Steam)

インタビュー記事:Recognizing Oneself in the Unknown

ゲームの最後には「WE ARE NOT ALONE(私たちは一人ではない)」とメッセージが出る。これは自分と同じ立場、同じ考え、同じ境遇の者がいるということ。未知の者と対話することで「相手は何者なのか」だけでなく「自分は何者なのか」も認識する。

「Unknown Unknowns.」知らないことを知る機会

最初に紹介した、本作の公式サイトに書かれていることとして、本作のタイトルは全て、一つのテーマに沿って製作されている。それは、

Unknown Unknowns.(知らないことを知らないこと)

死の世界、宇宙で聞こえるささやき、国境のない地球、日常で使うものの原材料、外部との対話。どれも、存在することすら知らない、知る必要があることさえ知らない。そんな「未知のもの」にどう向き合うかがテーマとなっている。
本作はそんな、知らないものを知る、気付かせてくれる機会となるかもしれない。


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