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20代女子が何も知らずに競輪に行ったら、あまりに人間ドラマすぎてハマってしまった

9月某日、わたしは立川駅を降りて住宅街の中を抜け、とある場所に向かっていた。
 
立川競輪場ー。
 
言わずもがな、そこは公営競技である競輪が行われている場。
その日行われている、「鳳凰賞典レース」の取材として訪れたのだ。
 
 
競馬なら、以前友達と行ったことがあった。(ボロ負けしたけど。)
また自転車競技で言うと、「弱虫ペダル」を見ていたのでなんとなく雰囲気はわかる……気がする。
 
 
ただ、「競輪」そのものを見るのも、競輪場に足を踏み入れるのもこれが初めて。
新しいエンタメを知れるわくわく感と、こんな知識ゼロの初心者がのこのこと入れる場所なのだろうかという不安を抱きながらゲートをくぐった。
 
 
結論をお伝えすると、そんな不安は杞憂も杞憂で、「競輪、面白すぎるッッッ!!」と大興奮することになり、
この原稿を執筆している今はもう全国の競輪場回りたい気分で、
周りの友人にも「競輪が面白かった!」と言い回るほどになっている。

そう思うほどに感じた競輪の魅力を、書き綴っていこうと思う。



当日はありがたいことに、競輪のレース中継・車券分析番組も多数放送しているSPEEDチャンネルの方が、競輪のルールや見方をレクチャーしてくださった。 

左:SPEEDチャンネル 藤代さん/右:スカパー!競輪担当成澤さん。
レクチャーいただきありがとうございます!

競輪を楽しむ心得① まずは新聞を買おう


入り口付近に売店があって、何種類か新聞が売っている。
無料でもその日のレース順や選手情報が載ったパンフレットがもらえるが、より詳しい情報や予想が書いてあるのは新聞ということで、早速購入。
 
競輪のレースには、大きくGP、GⅠ、GⅡ、GⅢ、FⅠ、FⅡとがあり、左から出場選手のグレードが高い順になっている。
GPともなると年に1回のみの開催となり、今年は12月28日から30日の開催が決まっている。(なんと!立川競輪場で開催されるそうだ。)
今回取材をした「鳳凰賞典レース」は「GⅢ」のレースとなり、「S級」というランクの選手ならば出場できる、というレースだった。
 
新聞をめくると、選手の名前のほか、出身地や年齢、ここ数シーズンのランクや成績が記載されている。
(どんな規模のレースで何着だったか、も見るポイントになるそうだ)
 
そして、下の方には「S数」「打鐘」「HS」「BS」の見慣れない単語が。

これは、
「S数(S回数)」=スタートの号砲と同時に飛び出し、先頭誘導員の後ろにつけた回数
「打鐘」=まもなく残り1周半の鐘のタイミングで先頭を走っている(一番前を走っている)回数
「HS(ホームスタンド)」=残り1周のタイミングで先頭を走っている(一番前を走っている)回数
「BS(バックスタンド)」=残り半周のタイミングで先頭を走っている(一番前を走っている)回数
を表している。
 
たしかにこの回数を見ると、あまり数字が入っていない選手もいて、そうなるとなんとなく望み薄めなのか?と読める。
また、選手によっては、「S数が多い!」というパターンや、「S数は全然ないけど、HS、BSにかけてだんだんと回数が多くなっている!」という選手もいて、スタートダッシュが強いのか、追い上げが得意なのかがわかってくる。
 
なんとなくだが、新聞の読み方がわかってきた。
 
 
 

競輪を楽しむ心得② 人間ドラマに思いを馳せる


 
ここまででもすでに予想のしがいがあるのだが、ここから先が、私が感じた競輪の一番の醍醐味だった。
 
競輪は、人が動かす乗り物に乗るため、各人の「感情」にも戦況が左右される。
 
つまり、競輪の予想は心理戦でもあり、それぞれの人間ドラマに思いを馳せることが重要だということのようだ。
 
 
例えば、一見予想に関係ないと思っていた「出身地」。
 
競輪は最後の1周になる前までは、大体何人かで1組のかたまりーーこれをラインというそうだが、ラインで走行していく(前に人がいたほうが風の抵抗を受けづらいので、後ろの選手はそれを利用している)。
 
このラインの組み方に「出身地」が絡んでくるという。
というのも、ラインを一緒に組むのは「絆が強い」メンバー。
同じ競輪場で練習していたり、近い地域で活動していたりする同士でラインを組むというのだ!
 
加えて、
例えば自分が先頭で、すぐ後ろに「地元の大先輩」がついていたりすると「頑張らなきゃ!」と思う。
この日は立川での開催となったが、全国にある競輪場のうち、もしそれが「地元開催」だった時にはなおさらだ。
 
そのほかにも、「同期がいる」「近い先輩後輩がいる」ということでも意気込みが変わってくるだろう。
 
 
こうした、人間心理を読みに読みながら(これを考えている時の私の頭の中には「半沢直樹」のメインテーマが爆音で流れている)予想を立てていくのが、競輪の面白さである。
 
 
 
そうこうしているうちに、走路(バンクというらしい)の中ではその日一番の注目レースに出場する選手たちの壮行会のようなものが始まった。
自転車に乗って真ん中に登場する選手たち。
そして、大勢の観客に向かって一言ずつ挨拶をしていく。
 
「頑張れ!!!」
「期待してるぞ!!!」
「〇〇にかかってる!!」
 
観客からの熱い声援。
頭を使い、考え、願いを込めて買った車券を握りしめているだけあって、みんな応援が熱い。
そしてその声援を受けて笑顔を浮かべる選手たちが眩しかった。
 
 
ちなみに、選手は試合期間中は選手宿舎(以下写真の真ん中あたりにあるグレーの建物)に缶詰め状態で、外との情報が遮断されるそう。
賭けごとであるだけに管理は厳重だ。

奥に見えるように、横断幕もたくさんかかっていた。

 
 
 
「私も車券買ってきます!!」
 
いてもたってもいられず紙とペンを握りしめ、先ほどのレクチャーをふまえて鉛筆なめなめしながら頭を捻らせる。
「半沢直樹」のテーマと、「ガリレオ」のテーマを脳内に流しながらマークシートを塗りつぶしていく。実に面白い。
 



 発券も、精算も、全て自動の機械で行う。

塗りつぶしたマークシートを投入すると簡単に券が買えた。

 

 

競輪を楽しむ心得③ 生のレースの迫力!


車券も無事購入し、いざ生のレースを見にいく。

近くで見るとコーナーは本当に急斜面で、わたしのようなノロノロ運転をしていては確実に横倒しになってしまうであろうほどだ。
(レース用の自転車はブレーキがなく加速がどんどん掛かるようになっているそう。乗ってみたいが怪我をしそう…。)
 
競輪場によって、1周の長さ、斜面の角度、コーナーが終わった後の直線の長さなどが異なっていて、選手はそれぞれの競輪場で、コーナーの使い方・直線の使い方の戦略を立てるのだそう。
ちなみに、競馬は左回り・右回りそれぞれあるが、競輪は運動競技場と同様左回りのみとなっている。
(諸説あるが、馬の心臓は真ん中に、人間の心臓は左寄りにあるからという説があるようで面白い。)
 
 
 
 
そして、レース開始ー。
 
 
新聞に「ライン予想」が載っていたのだがまさにその通りのライン分けで走っていて、ご近所の絆を改めて感じる。
 
最初のうちは「先頭誘導員」という、選手ではないペースメーカーのような人が先導していき比較的穏やかに進んでいく。
 
しかし後半、鐘が鳴り先頭誘導員が抜けた瞬間一気にその様子が変わる。
 
今まで後ろの方のラインだったのが一気に前に出る人たち、
ラインを外れ先頭を追い抜いていく人―、
 
急にアツい展開が始まった。

 
こ、これがまさにCMで見た 『直前まで協力していたもの同士が、一瞬でライバルに変わる。』 じゃんー…!
(このCM大好きなんです)
 
 
 
初めてだし、わからないこともたくさんあるけれど、わたしなりに彼らの人間ドラマをデータから想像したのだ。
手に車券と汗を握りながら、レース終了まで思わず釘付けになってしまった。
 
 
いや、競輪おもしれ〜〜〜〜〜〜〜〜!
 
 
 
以降、楽しくなって何レースも予想・観戦を繰り返した。

 
競馬に比べて、もしかしたら競輪を見たことがある人は少ないかもしれない(もちろん競馬には競馬の面白みはある)。
 
だが、競輪の予想のしがい、観客の熱気、レースの臨場感・・・最高であった。
 
 
 
ところで、そうして悩みに悩んで買った車券の結果だが、
 


見事に全部負けました!はい!

 
やはり、素人予想では難しかったか…と思いつつ、
「まさかその人が1着!?」という番狂せなレースもあったので、どれだけ分析して当てに行ってもその通りにはならないのがまた一興である。
(同行していた編集部・ヤマさんはビギナーズラックを発揮し三連単を一発で当てていた…これもまた一興…!)
 
 
この日はイベントとして開催されていたのもあり、場外には多数の屋台が並んでいたり、
併設のステージでは落語家の方が以降のレース着順予想解説を行っていたりしてにぎわっていた。
 

こんな、場内も場外も楽しめるエンタメが、全国各地朝昼晩どこかで行われていると思うとワクワクする。
 
 
次回は岡山県玉野市にあるKEIRIN HOTEL 10という「泊まれる競輪場」と、
21時ごろから23時過ぎまで行われているミッドナイト競輪に行き、倍返しを狙うことにしようと思う。
 
 
 
競輪を視聴するならこちらから!
 
放送:
https://www.skyperfectv.co.jp/plan/channel/premium/11H5501
 
配信:
https://spoox.skyperfectv.co.jp/channels/66#canvas
 


 
(文・タンタン)
 
 

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