見出し画像

運動後の瞑想で自分の体を観察したら、今ある悩みなんてどうでもよくなった。

朝起きて、洗顔と歯磨きで目を覚ました後、体を動かすのが日課だ。
軽くストレッチをしてスクワットを20回。次はプランクを1分30秒。

プランクで残り1分を過ぎたあたりから、背中と頭皮にじんわりと汗が浮かんできた。

「扇風機かけといて良かったな」

今朝は風が穏やかで心地よい気温だったので、窓と扉を開けて新鮮な空気の通り道を作る。
部屋の隅々にまで風を運ぶために扇風機をゆるく首振りでまわしていた。

「あと・・・3秒…っ...くぅ......ん~~! はぁっ!」

全身を脱力させ床に倒れ込む。

「暑い・・扇風機・・涼しい...」

うつ伏せのまま荒い呼吸を2つ3つ繰り返したあと、ゴロンと仰向けになり、呼吸をゆっくり整えていく。

外から風が入るたび、扇風機の風がゆるくまわってくるたびに、かいた汗がヒンヤリとして気持ちいい。

「ホメオスタシス。すごいな。」

熱くなった体を冷やすために、汗腺から汗が分泌される。そこに外の空気が流れ込むと汗は気化し、同時に熱が奪われ皮膚表面は冷やされる。
熱くなった体を冷やそうと冷たい水を飲む前に、反応による脳の命令で体温調節機能がはたらいている。
人間の体に科学が備わっている。私達がその仕組みや現象自体を知らずとも、既に「ある」んだ。

宇宙の誕生が137億年前。地球ができたのが46億年前。
岩石と海と酸素の中に生命が誕生したのが38億年前。
そのあと諸々が進化を遂げて、アウストラロピテクスのルーシーの誕生は、確か400万年前。南アフリカでルーシーが生まれた時には、既に体温調節機能は備わっていたはずだ。

「まだ、体がだるいな。10呼吸ほど目をつむろう。」

鼻から息を吸い込み、鼻から少しずつ出してゆく。
ゆっくりと、ゆっくりと、空気の通りを確認するように呼吸する。
呼吸とは無関係に、心臓は鼓動を繰り返している。
鼓動に合わせて体の左側がドクンドクンと脈打ち、体の末端にある手や足はそれに合わせてじわんじわんと脈動している。

過酷な環境の中、死にながら耐えながら順応しながら進化した最新の遺伝子の結晶。
私の体には、137億年前に誕生し、38億年間生命として進化し続けた宇宙の理(ことわり)が詰まっている。

せっかくだから、今この瞬間の宇宙を味わいつくそう。

「あと、5呼吸…」

鼓動が落ち着き、呼吸もさらにゆっくりになってきた。

「4...」

息を吸うことや、吐くことを忘れるくらいに。

「3...」

頭の天辺からつま先まで血は巡り、体はくまなく私に拍動を伝えてくる。

「2...」

体を覆う空気は柔らかく、まるで、皮膚が空気と混じりあったみたい。

「1...」

思考も気分も、とてもクリアだ。


目を開けてゆっくりと起き上がり、両手を組んで頭の上に伸ばし、背伸びをする。

(今日やる作業難しいんだけど、納期間に合うかな)
(明日のミーティング、やりたくない)
(お尻なかなか小さくならないな)
(あの人やだな、どっかに行ってくんないかな)
(80歳になったとき、ちゃんと暮らしていけんのかな)

私たちは、高い知能を持ったせいで、余計なものごとを生みだし更に複雑にこねくり回しているんじゃないだろうか。
荘厳な宇宙の営みをわき目に、無駄に囲まれてチマチマと生きている。

全身鏡に映った自分をじっくりと観察した。

「なんか、いろいろ、アホらしい。」

137億年の進化の結晶である私の体の前において、毎日毎日懲りずに反芻している私の悩みなど、存在すること自体がおこがましく思える。

私たちの体は、宇宙そのもの。
この素晴らしく荘厳なそれを手にしている事に気づいた私にとって、その他の諸々の事は微塵でしかない。

「成るように成るさ」

きっとまた、いろんな事で悩み苦しみモヤモヤとした気分で過ごす事もあるだろうけれど、今朝気づいた「私の体にある宇宙」を思い出すたびに、視界がひらけた明るい世界へ着実に踏み出せると思う。

最後まで読んでくださってありがとうございます! ありがたく頂戴いたします!