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【記事読解】エリクセンの移籍騒動が次フェーズに突入か?

エリクセンの現状

アルデルヴァイレルトと共にこの夏にスパーズを去ることが濃厚と見られているエリクセン。

レアル・マドリーが暴君と化し、すでにエデン・アザールがチェルシーから奪われ、次はユナイテッドのポール・ポグバの番かと、移籍マーケットのまさしく台風の目となってその他のビッグクラブはその猛威が収まるのを待つ様相に。

スパーズもクリスチャン・エリクセンが早くからレアル・マドリーの補強ターゲットにリストアップされていると伝えられ、チャンピオンズリーグ・ファイナルが終わった4日後、デンマーク代表に合流したエリクセンは、デンマークのメディアに対して、早速、自らの口で「移籍に前向き」であることを明かした。

https://spurs.sc/archives/giovani-lo-celso-keen-on-move-to-tottenham-this-summer


しかし、エリクセンの望みとは裏腹に、ここまでに大型補強を繰り返してきたレアル・マドリーは、エデン・アザールの獲得をあっさり決めたものの、ポール・ポグバでやや難航ぎみ。しかし、ジネディーヌ・ジダン監督が優先するのは、「交渉の難易度」や「移籍金の大小」にかかわらずエリクセンではなくポグバであることが明白に。

改めて、デンマークのメディアに明かした内容を振り返ると…

「(契約延長の交渉で)トッテナムと合意できていないポイントはあまりないよ。もし僕が移籍するならステップアップできることを願ってるんだ」
「魅力的なオファーが無ければ、トッテナムに残らない理由はないよね?条件次第では、新しい契約にサインすることだってありえるよ」

と、レアル・マドリーへの移籍が無ければ、スパーズとの契約を延長するとのもう一つの選択肢を示唆していた。

現時点でやや「宙ぶらりん状態」にも見えるエリクセンの移籍騒動について、その状況が垣間見える記事がミラーより発信された。

今回「読解する記事」はこちらである。

https://spurs.sc/archives/christian-eriksen-considering-man-utd-16787525



最近の報道

これまでのエリクセンの移籍に関する報道は、上記のデンマークのメディアへの本人のインタビュー以降、実は多くはなかった。ここ数日、スペインのメディアと英国のThe Sunが、レアル・マドリーが補強資金不足から、エリクセンの獲得オファーにレアル・マドリーの選手を加えるといった情報が出ている程度だ。

https://spurs.sc/archives/tottenham-eriksen-45m-ceballos-real-madrid-transfer


https://spurs.sc/archives/tottenham-demand-marco-asensio-real-madrid-deal-wantaway-star-christian-eriksen


なぜ報道が多くなかったのかは明確で、レアル・マドリーはユナイテッドのポール・ポグバの獲得に注力しているからだ。

アザールとポグバという2人の獲得に超高額移籍金を払った後で、同じく高額移籍金を要求するであろうスパーズのエリクセンの獲得にレアル・マドリーが動けるのか?ジャーナリストの報道を見ると「ポグバを獲って、さらにエリクセンまでをジダンは求めないのでは」、「財務的に少なくともダブつく選手の放出が無ければ不可能」といった声が聞かれている。後者の声から捻り出した記事が、上記のダニ・セバージョスやマルコ・アセンシオを含めた獲得オファーだろう。

そして今回、英国のミラー紙が報じたのは、「エリクセンがユナイテッド行きを検討」との記事だ。


妄想シナリオ

この記事は、「誰が?」、「何のために?」発信したものかを妄想してみたい。それを妄想するには、まず「ユナイテッド行き」を検討したところで誰が得をするのか?

1.ユナイテッド陣営が得をするシナリオ

レアル・マドリーとポール・ボグバの移籍金の交渉を続けているであろうユナイテッドが、ポグバの移籍金を吊り上げるための論拠として、エリクセンを補強する姿勢をチラつかせる。

レアル・マドリーがミラー紙の報道をよって、「おぅ、そうだな。ユナイテッドも大変やな。じゃあ、移籍金を増額するわ。(獲れないと思うけど)頑張れよ」となるわけがないので、この妄想は論拠に乏しい。


2.エリクセン陣営が得をするシナリオ

仮にレアル・マドリー行きの道が絶たれたとすれば、デンマークのメディアへのエリクセンの発言通り、エリクセンはスパーズとの契約延長交渉に入ることになる。とすれば、エリクセン陣営はスパーズからより良い契約条件を引き出さなければならないが、スパーズ側が「他クラブへの移籍の選択肢がなくなった」と考えれば足元を見られるため、「僕は(ステップアップか微妙だけど)ユナイテッドでも行くよ」アピールがしたかった。

仮に「他クラブへの移籍の選択肢がなくなった」としても、エリクセン陣営は「契約延長せずに1年後にフリーで移籍」という最強カードがあるので、この妄想もおそらくない。


3.スパーズ陣営が得をするシナリオ

レアル・マドリーへのエリクセン移籍とそこで得た資金を想定して、他の補強プランを練っていたスパーズが「(レアル・マドリーに行けないなら)早々にスパーズと契約延長するか、さもなくばユナイテッド送りを覚悟しとけよ」とのメッセージとして発信。

今回のミラー紙の記事内にあった、「CL決勝の前にノースロンドンの自宅で荷造りをしていた」「来シーズンはここにいないとチームメイトに伝えた」という新たに出てきた情報に対するネット上のスパーズ・ファンの反応は「デマだ!」との意見が多数だが、デンマークのメディアへのインタビューを考えれば、事実であったとしても不思議ではない。そして、仮に「事実」だとして、これまでメディアにリークされていなかったこの情報をここで出す意図を持つ者は誰かと言えば、(やや性悪だが)スパーズかも知れない。

さらに妄想を膨らませると、すでに5人を補強し、さらにポグバを獲った後のレアル・マドリーへの「夢の移籍」に、ひょっとしたらエリクセンが二の足を踏み始めたのかも知れない。これまでの流れから、ジダンが「ポグバを優先する」ことは明白で、それはすなわち移籍が決まったとしても「ポグバより序列が下」でレアル・マドリーでのキャリアが始まる。一方のスパーズが、仮にダニ・セバージョスやマルコ・アセンシオに移籍金をプラスした獲得オファーを「とても魅力的」に感じていたらどうであろうか。

多くのファンが期待している「エリクセン残留」とは逆のベクトルになっているとしても不思議ではない。


最後の妄想

改めてこの記事を最後まで見直してみたい。

https://spurs.sc/archives/christian-eriksen-considering-man-utd-16787525


スパーズの監督は、クリスタルパレスのウィルフレッド・ザハの獲得にスポットライトを当てている。

最後の最後にとんでもない一文が潜んでいた。この記事を配信した編集者からの次のような声が聞こえてきそうなパワーのある一文だ。

編集者
……いま私は世界中のスパーズ・ファンの皆さんの心に直接語りかけています。こんな記事を信じてはいけません。私は上の指示でこの記事を書かされていますが、この最後の一文で皆さんに伝わると信じています。この記事に「事実」は何ひとつ無いと……

(本コラム了)


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