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青ブタシリーズが良かった話

青ブタシリーズ、めっちゃよかった。
この手のアニメを真剣に見たのは約3年前に見たSAOぶりだけど、SAOに負けず劣らずかなりお気に入りの作品になった。

そもそも私はアニメを見る・本を読むというのは中高生時代の日常で、1クール10本くらいアニメを見て、制服のジャケットには常に文庫本が1冊入っていて通学中歩きながら読んだり学校の休憩時間は常に読書をしていたような人間である。(ちなみに、高校進学時に「なんか付き合いが悪い」という理由でグループをハブられ、最終的にクラス中からハブられたりもした。)
ただ大学進学したあたりから徐々にアニメと本から遠のき、就職した頃には「そんな時間も暇がない」という理由でアニメも小説もほとんど見なくなってしまった。

遠のいてしまったアニメ・小説。
「本屋の店頭や映画のCMで見たし、友達に勧められもしたけど……まぁ機会があったらなぁ……」とずっと思っていてようやく見たのがこの「青ブタシリーズ」だった。

この青ブタシリーズ、
アニメ「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」は全13話
映画「青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない」は89分
映画「青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない」は73分
映画「青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない」(現在上映中)は75分
と、ざっくり30分アニメ換算で20話分くらいある。
現状アニメ12話見るのですら苦労し、4話あたりで離脱することが多々ある私にとってはまぁまぁな量だったが、なんとか約1ヶ月で完走することができた。

「青ブタシリーズ」を完走できた理由として、単純に話が面白かった、ヒロインが魅力的だったなど色々理由はあるが、1番の理由は「主人公の梓川咲太の1番好きな人は先輩で恋人である桜島麻衣さんである」ことが全編通してぶれることはなかったからである。

恋愛や青春がテーマな作品において主人公が数人から同時に思いを寄せられるというのは定番で、とくに主人公の好きな人が定まっていないときにこの状態だとまぁまぁ盛り上がる。
そしてその後、主人公がヒロインと呼ばれる存在と見事恋人同士になっても、ひっそりと好意を抱いている(と言いつつ時折それが表面に出る)存在が現れたり、それどころかヒロインから主人公を奪おうとするキャラが現れたりとてんやわんやしたりと、くっつくまで大変だしくっついてからも大変みたいな話はよくある。ちなみに少女漫画ではこのヒロインを狙うキャラはまぁまぁな確立で人気キャラで、私自身そっち側を応援したことは多々ある。

付き合う前のわちゃわちゃは置いといて、恋人同士になった後にやってくる「相手に恋人がいるのに好きになっちゃった」的な存在(言葉を敢えて悪く選ぶと当て馬的存在)、これを時折マジで許せなくなってしまう。
理由は簡単で、「もし自分の彼氏の近所にそんな女がうろちょろしてたら気が狂うから」である。
「お前、さっき少女漫画じゃそっち応援するって言ったじゃねぇか!」と突っ込まれそうだが、それはそれ、これはこれである。(最低) というか視聴者として単純に同性に共感してしまうから、彼氏(主人公)に他の女がいたら嫌という気持ちになってしまうのだ。

で、青ブタシリーズの話に戻るけど。

この梓川咲太という主人公、
・妹がいじめに遭う
・いじめが原因で妹の人格が変わる(≒他人になる)
・それが原因で家庭環境がほぼ崩壊する
→結果、ほぼ他人状態の妹と関係構築をしつつ2人暮らしをする。(なお炊事洗濯掃除などの家事はほとんど咲太が担当。)
・とあることが原因で暴力事件をこしたという噂が流れてしまい学校で孤立してしまう
→友人と呼べる相手は学校に2人だけ。
というド級にヘビーなデバフを背負った状態で物語がスタートする。

でなんやかんやで物語の序盤に学校の先輩で人気女優の桜島麻衣さんと付き合うのだが、まじでずっと桜島麻衣さん(ヒロイン)のことが好きなのである。
小悪魔系後輩の古河に思いを伝えられても、初恋の相手である翔子さんが出てきてもその思いがブレることはなく、それどころかめちゃくちゃ麻衣さんが好きという事実を視聴者に理解らせてくる。それがすごい。

そしてこの桜島麻衣さん、本当にいい女である。

成績優秀、容姿端麗、礼儀もマナーも完璧で愛嬌もある。咲太の前では若干女王様気質というかツンデレのツンがちょい強めみたいな感じだが、彼氏の家でご飯を作ったり、彼氏の妹の面倒を見たりする。まぁこれは「ふ~んよくできた人だなぁ」って感じだが、個人的に良いなと思ったのが咲太に対する愛情深さとそれ故の嫉妬(怒り?)のバランスが絶妙なところなのである。

麻衣さんは聞き分けの良いヒロインではないので自分の彼氏が他の女と仲良くしていると嫌な顔をする。「彼氏が他の女に取られたら~」みたいな心配は麻衣さんの中になくとも、それはそれとして嫌なのである。そして嫌だから言動に出る。これは個人的にめちゃくちゃポイントが高かった。
視聴者として梓川咲太が桜島麻衣さん以外を選ぶというのは絶対に有り得ないだろうと思えるのは、これは梓川咲太の視点で語られる物語だからだが、別に麻衣さんからしたら咲太の考えてることや思いみたいなものは本人の口から伝えてもらえないとわからない。
あれだけ、それこそ見ているこっちが飽き飽きするくらい「好きです」「愛している」と伝えられても、自分の知らないところで他の女とわちゃわちゃしていたら嫌なのである。
私はこれが本当に、本当に良かった。
結構我慢したり、「仕方ないから」と飲み込んでも飲み込めきれない嫉妬心や苛立ちを抱えるのが年相応の女の子らしくてよかった。そしてそれを時折ちゃんと(?)咲太にぶつけるのもよかった。

少し咲太の話に戻るけど、梓川咲太は優しい男なのだ。
友人が困っていれば見過ごすことはできないし、自分の負担を度外視して友人たちに手を差し伸べ問題に共に立ち向かう。
ほぼ他人になってしまった妹と関係を構築し今までやったこともない家事を全部負担するし、「友人の好きな人から告白されたくない」という古河のために恋人のフリもする。「家にもう1人の自分がいるから帰れない」という双葉を家に泊めるし、「拾った猫を飼いたい」と親に言い出せない翔子ちゃんの代わりに猫を会、面倒を見にうちに来ていいと言う。
優しいという言葉で終われせていい範囲を超える程度には優しい。というか優しすぎる。麻衣さん自身もこの咲太の優しさに救われているが、この優しさが時に麻衣さんをむっとさせるのだ。

この優しさ、言い換えると「他人のために自分を犠牲にしている」咲太だが、彼自身がこの自分の優しさ故に思春期症候群を発症してしまったのが、映画「青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない」だった。

本作で咲太自身が思春期症候群になってしまい苦しむのだが、彼を救うのが、彼の恋人で、そして彼に救われた存在である桜島麻衣さんだった。
これが、もう、本当にとても良かった。物語として見ていて気持ちよかった(?)

過去に主人公に助けられたヒロインが主人公を助けるというのは、まぁよくある構図だけど、それでも見ていてめちゃくちゃ泣いちゃうくらいにはよかった。
咲太を救えたのが麻衣さんと咲太が日々積み重ねてきた関係値の高さみたいなのがさ、青春ラブコメとしてもう、もう~~~言葉にできない良さ。これは日々2人がちゃんと恋人として接してきたからできたことだったんだよな……

結局、梓川咲太には桜島麻衣しかいないし、桜島麻衣にも梓川咲太しかいない。
それをこのアニメシリーズ+劇場版を通して理解されたなって感じでした。久々のラノベアニメめちゃめちゃ良かった!!

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