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【yamaレポ】「死」について、あるいは「生」について。トラジャへの旅

SQ-SALON事務局のyamaさんです。

若かりし青春のあの頃より、私の憧れは、かの偉大な古代ギリシャの哲学者ソクラテス(Socrates)師匠であります。

どこに衝撃を受けたかった? その逸話の一つがこれ。

ソクラテスは自身の弁明(ソクラテスの弁明)を行い、自説を曲げたり自身の行為を謝罪することを決してせず、追放の手も拒否し、結果的に死刑(毒殺刑)を言い渡される。票決は2回行われ、1回目は比較的小差で有罪。刑量の申し出では常識に反する態度がかえって陪審員らの反感を招き大多数で死刑が可決された。
神事の忌みによる猶予の間にクリトン、プラトンらによって逃亡・亡命も勧められ、またソクラテスに同情する者の多かった牢番も彼がいつでも逃げられるよう鉄格子の鍵を開けていたが、ソクラテスはこれを拒否した。当時は死刑を命じられても牢番にわずかな額を握らせるだけで脱獄可能だったが、自身の知への愛(フィロソフィア)と「単に生きるのではなく、善く生きる」意志を貫き、票決に反して亡命するという不正を行なうよりも、死と共に殉ずる道を選んだとされる。
---wikipediaより抜粋

や、やばい…
かっこよすぎぜ、ソクラテス師匠……

それ以来、我が人生の指針は

善く生きる
メメント・モリ(memento mori)

となり(就職活動でもよくこの話をしたなー)、そこから導出された我が人生のKGI

自分の葬式の参列者:3,000人

となったのでした。

そんなことから、”死について、あるいは生について。” 長年関心を寄せていた私の耳に「ミイラと暮らす部族がいるらしい…」という情報が入り、クレイジージャーニーfunの私としては「逝かない理由はないじゃない」というわけで、一路インドネシア/スラウェシ島/トラジャへと…(おじさん3人旅)


■インドネシア(Republik Indonesia)

インドネシアは5,110kmと東西に非常に長く、また世界最多の島嶼を抱える国家(島国)。赤道にまたがる1万3,466もの大小の島により構成され、人口は2億3,000万人を超える世界第4位の規模である。
---wikipediaより抜粋

2014年の国際協力銀行が日本企業を対象に行ったアンケート調査では、「海外進出したい国」として中国を抜いて1位となった、今一押しの国でもある。

今回の旅を通じ感じたインドネシアの所感を語りだすとキリがないのでまとめと…

・車渋滞やばっ!! 相乗りのバイトとかウケるんですけどっ!!
・料理うまっ!! 食べ物めっちゃう合うやんっ!! 肉も魚も野菜も豊富っ!! っていうか、味の素進出すごっ!!
・英語のなまりがすごっ!! 舌巻きすぎなんですけどっ!!
・宗教多っ!! 民族/部族多っ!! つか、多様性最高すぎんだろっ!!
・自然が豊かすぎっ!! 最高やんっ!! マイナスイオンどんだけっ!!
・人優しいっ!! ほんと優っ!! 悪い人とかいるんか?
---yamaさんメモより抜粋

というわけで、ウォーミングアップはこの辺で本題にいきましょねー


■トラジャ族(Toraja)

トラジャ族(Toraja)は、インドネシアのスラウェシ島にある南スラウェシ州および西スラウェシ州の山間地帯に住むマレー系の先住少数民族。総人口約65万人のうち約45万人はタナ・トラジャ県(「トラジャの地」の意)に居住している。トラジャ族のほとんどはキリスト教を信奉し、イスラム教と「アルク」(aluk‐「道(the way)」の意)と呼ばれる土着のアニミズムが続く。インドネシア政府は、このアニミズム信仰をアルクトドロ教(Aluk To Dolo‐「祖法‐Way of the Ancestors」の意)と定義している。彼らはその特徴的な家屋や壮大な死葬儀式だけでなく、コーヒーのブランドにも使われる民族名からも知られている。
トラジャ族は、複雑で壮大な葬儀の形式や、岩の断崖へ死者を埋葬する習慣、トンコナン(tongkonan)の名で知られる、尖った巨大な屋根を備えた伝統的な家屋の様式、カラフルな木彫り細工などで知られる。彼らの葬儀は、通常規模でも数百人の参列者が出席し、数日間続く社会的に重要な行事とされている。
---wikipediaより抜粋

というわけで、特に有名なのはKey Wordは「トンコナン」「葬式」「ミイラ」であります。

◇伝統建築「トンコナン」

こちらも語りだすと1時間コースなので、今回は割愛させていただきます。
ひとまずは、雰囲気だけでもご堪能ください。

◇死者の埋葬習慣

部族によって死者の埋葬方法が異なるようですが、有名なのは断崖の穴(天然or人口)や自然木に埋葬する習慣。

・岩窟墓「レモ」

なんか人型の人形が見えますが、あれが「タウタウ」というもので、生前の姿を模したもの。まあ、ご先祖様的なやつですね。

・鍾乳洞の墓「ロンダ」

個人的には「風葬っていいなー」って想いましたね。なんだかリアルにいつでも会える的な。

・あかちゃんのお墓「リアン・ピア」

普通の木のように見えますが、細い枝で柵のようになっているのが見えますか?
あの中に赤ちゃんの遺体が埋葬されているようです。
なんでもこの木は「白い樹液」が出るらしく、それがmilkのようだから彼岸にいっても食べるものに困らないようにと。また、木の成長とともに上に登っていくこと様子がキリスト教的な「天に昇ること(天国)」のメタファーともなり、ここに埋葬するようになったようです。

・ミイラ

ちなみに、今回私たちは上のようなリアルな「ミイラ」を拝見することは叶わなかったが、ミイラ化されている棺には対面させていただくことができた。
(どうやら部族によって遺体の安置方法は異なるらしい)

彼らのこの状態はどういうような状態として認識しているのか尋ねると以下のように答えてくれた。

”私の祖父は死んでいるのではなく、眠っている状態なのです。あるいは起きることがあるかもしれないので、当分の間はこうして家で眠ってもらっているのです。ですから、毎朝「おはよう」と挨拶をし、もちろん寝る前には「おやすみ」を言います。”

お祖父さんの遺体の横では普通に子供たちが遊び、暮らし、生活をしています。

◇埋葬儀礼「ランブソロ」

-------- 以下、一部映像閲覧注意 --------

トラジャ族にとって一生で最も重大なイベント、それが葬式。

「葬式」と言っても私たちが想像する厳かなイメージではなく、トラジャ族の葬式は一種の祭りであり、親族でもなく、トラジャ族でさえない私たちでも参加することができるのです!!

トラジャ族にとって「死」に対する価値観は特別なものであり、

「我々は死ぬために生きている」

と言うほど。

彼らの一生をかけて準備されてきた人生の最大ビックイベントであり、トラジャ族の「死生観」が見て取れます。

葬儀は1週間ほどかけて毎日のように行われ、その間、数十頭の水牛や豚が供物として捧げられ、訪れる人々に振る舞われます。

ガイド曰く「この水牛はメルセデスだ。」

つまり、ベンツを買うほどに高価なものであり、一族のすべての財貨を投じて行われることだ、という意味合いです。

※ちなみに水牛は自分のところで飼っている人(お金持ち)もいれば、マーケットで仕入れることもあるようです。
↓そんな水牛マーケットの様子はこちら↓


■まとめ

さて、ここまでご覧いただいた皆さんは、いかがお感じになられたでしょうか…?

私は以前より

「生老病死」を社会へ
そして「生」をよりvividに

と考えてきました。

近代合理主義・資本主義は経済合理性の追求の果てに、その労働生産性を最大化するためにも(核家族化、都市一極集中)、「健康な状態」にみ焦点をあて、結果「忌むもの(ケガレ)」を社会・コミュニティから遠ざけてしまった、と。

※「ハレとケ(ケガレ)」についてはこちらをっ

それ故に「命の有難み」を感じる機会を失い、結果、「無気力な生」を導出してしまった(少子高齢問題etc)、と。

これらの課題について、短期的にできることは少ないかもしれませんが、この世界観を伝えていくことは「東洋思想の箱舟でもある鍼灸師」に課せられた重要な使命なのではないでしょうか…

ここまでご覧いただきありがとうございましたっ!!

◇追伸

1:まだまだ紹介したいイベントや映像が山盛りです!!
ご興味がおありの方は個人的にコンタクトをっ!!(笑)

2:今回の旅をコーディネートしてくれたケニア語&インドネシア語バリバリのG隊長のツイート&facebookは要チェックですよっ!!


【書いたひと】
山川義人(やまかわよしと)

はり師・きゅう師(教員資格)/産業カウンセラー/健康経営アドバイザー/薬膳アドバイザー
東北大学文学部哲学科卒、北東北東洋医療専門学校卒、東京医療専門学校教員養成科卒

新卒にてNTTに入社、遠隔医療システム及びコンテンツビジネスに従事。退職後、はり師きゅう師(教員資格)取得、専門学校にて専門職養成教育に従事。また、日本の伝統医療である鍼灸あんマ指の海外輸出のため、自身で途上国での支援活動を行うとともに、海外渡航希望者の支援を行う。

日本統合医療学会(百人委員会委員)
社会鍼灸学研究会
(公社)日本鍼灸師会
(公社)東京都鍼灸師会
moxafrica 事務局
国際ボランティア鍼灸師協会 相談役
facebookグループ「鍼灸×海外」 管理人
ヘルステックベンチャー「ケアくる」 アドバイザー
お灸の月額定期便「mogusano(モグサーノ)」 ファウンダー
若手鍼灸師育成サロン「SQ-SALON」 オーナー

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