2020個人的ベストミュージック20(プレイリスト編)

今日はベストプレイリスト(≒アルバム)。世の中的には1曲、というかもはやサビだけでヒットソングが生まれていますが、やっぱり私は1枚(CDを買っていないので”枚”という数え方もおかしくなってきていますが)の作品としての流れが気になってしまいます。ベストソングと併せて、1曲でも皆さんの琴線に触れる曲があったらこれ幸せ。それではまた来年。

20、『Sensation』 POP ART TOWN


邦楽バンドシーンのネクストブレイク枠。イントロからサビまでどこを切り取ってもどキャッチーなメロディセンスが素晴らしい。TikTokかテレビなのか、何かしらのメディアに引っかかれば緑黄色社会的な売れ方をしそうな気がします。

19、『秋の惑星、ハートはナイトブルー』 kaede


所属するNegiccoの周辺とは違う場所からのリスナーの広がりが確かに生まれていたkaedeのソロアルバム。ジャジーな響きを感じさせつつ、メロウなポップス集は彼女の声質に抜群に合う。

18、『maze』 chelmico


タイトルが「混ざる」の意味を持たせているとのインタビューの通り意図的なカオスとでも言うべき楽曲たちを2人が軽やかに乗りこなしている様が心地よい。バッドトリップさすらあるサウンドとリリックがまさにカオスな”ごはんだよ”みたいな曲を歌いこなせているのは彼女たちの充実期っぷりを示している。

17、『ニンゲン』 カメトレ

解散ライヴがこのご時世のため延期(チケット取ってた)、最終的に無観客配信となってしまったアイドルグループのラストアルバム。シンセのリフがどの曲、どのパートも外れなく、ポップで切なくて最高。ヴォーカルとサウンドのバランスも絶妙でいやあ、本当にによくできている。

16、『Future Nostalgia』 Dua Lipa

全世界で大ヒットの次世代ポップスター。アルバムタイトルの通り、80sディスコへの偏愛を感じるもはやめちゃくちゃダサい(=最高)くらいのサウンドがとにかくツボにハマる。でも意外とビートに重さがあるのは現代的でもあって、ちゃんと更新しているところがさすが世界的ディーバといったところ。

15、『ファイト』 左右

ストリーミングやYouTubeにあまり音源が無いのですが。パンク的なサウンドながら、熱狂というより、平熱で淡々としていて、若干のナンセンスさもあり、形容しがたいが気づくと癖になる。ZAZENやトリプルファイヤーに通ずる佇まいを感じます。

14、『極彩色の祝祭』 ROTH BART BARON


「命を削るような」という表現があるが、彼らの音楽は血を流しながら未来へと歩みを進めるような、痛々しさと、神々しさを兼ね備えるような音を鳴らしている。本作も今の世界の情勢も相まって軽い気持ちでは聴けないシリアスさがあるが、それでも最後には前へ足を進める力がみなぎる生命力に溢れている。何より彼らの音楽はライブで観るのが絶品なので、機会があれば(難しいだろうけど)是非ライブに足を運んでほしい。

13、『ノーメイク、ストーリー』 杏沙子


昨年の大名盤『フェルマータ』に続きリリースされた2ndアルバム。相変わらずJ-POPとしてど真ん中ながら、音楽オタクも唸らせるだろう良質なアレンジセンスを見せつける。やっぱり本物ですよ彼女は。

12、『ニュース』 東京事変

東京オリンピックが開催されていた世界線にサウンドトラックとして鳴り響いていたであろう1枚。そういう意味ではどうも所在なさげに宙ぶらりんになってしまっているような感じもあるのですが、世界情勢に関係なく、当たり前のハイクオリティな名盤。また東京事変の新作が聴けていることが2020年の数少ないグッドニュース。

11、『操』 岡村靖幸


Spotifyの良いとは言えない音質でもわかる異常な音圧とともに、相変わらずフォロワーが見つからない孤高のオリジナリティを鳴らす岡村ちゃん。本作も思春期ならではの躁鬱の両側面が楽曲によって行き来するのだが、あくまでミュージシャンとして一歩引いてコントロールされており、危うさが無いのは、キャリアを経てきたからこその進化なのかもしれない。

10、『HELP EVER HURT NEVER』 藤井風

今年の邦楽シーンのMVP。無造作な佇まい、キャッチーな曲名からのグルーヴィーなサウンド、色気のある関西弁ヴォーカル。これはモテる。みんな好きなやつなのであまり書くことが無いのでもう聴いてください(レヴューの放棄)。

9、『Strobo』 Vaundy

もう一人のMVP。本当なら今年の夏フェスとかに引っ張りだこでさらに大ブレイクしていたことでしょう。とにかく器用で、爽快なシンガロン楽曲(”灯火”)、シティポップマナーなキラーチューン(”東京フラッシュ”)、内省的バラード(”僕は今日も”)と何でもハイクオリティにこなす鬼才っぷり。2020年代のエース候補。

8、『ROUND12』 paris match


AOR、ラウンジ、ボサノバ、など様々なジャンルが混ざり合った唯一無二のポップスを歌い続けるユニットの12枚目のアルバム。10年以上前から好きで聴き続けているのですが、本当に作品のクオリティと世間の評価が合ってないと私は嘆いています。本作もゴージャスでクールでアダルティな芳醇なサウンドになっています。とにかく聴いてくれ。

7、『Dramatique』 Nagie Lane


5人組のアカペラグループ。世間的にはハモネプの影響か、アカペラはカバー曲というイメージがあるようで、このグループもカバー曲の再生数が多いのですが、「楽器を持たないネオシティポップバンド」と自称するだけの事はあり、オリジナル曲が素晴らしい。10年代シティポップサウンドをアカペラアレンジすることで生まれる、エバーグリーンでもありながら同時代的でもあるニュアンスはとても心地よい。

6、『SUPERMARKET』 藤原さくら


昨年のmabanuaプロデュースワークを経てから、それまでのオーガニックなサウンドに、開かれたフレッシュさが加わって、新しいステージに進んだように感じます。”Super Good”の軽やかなカッティングギターのイントロを聴いただけでアルバムの世界観が一発で伝わってくるのも名盤の証。

5、『MATOUSTIC』 竹内アンナ

彼女のことは去年くらいからずっともっと評価されるべき、と思っているのですが。J-POPリスナーにも届くだろうキャッチーなポップセンスと、アコースティックギターながらグルーヴィーなプレイ。藤原さくら的なスター性を兼ね備えた本格派。こんな濃厚でそれでいて爽やかなアルバムが作れるなんて、本物です。

4、『TBEP』 tofubeats

星野源にうちで踊ろうと言われたら、tofubeatsだって黙っちゃいないはず。楽曲のパワーが強過ぎて本人の意図せぬところでシーンのアンセムとなってしまうのは、時代を背負うアーティストの宿命ですが、彼もその磁力を持った一人。<今夜クラブに出かけようかな/明日も暇じゃない予定あるけど>("クラブ")という歌詞の曲がこのタイミングに出てしまう時代性。

3、『ファルセット』 RYUTist


昨年の一連の尋常じゃ無いクオリティのシングル群の流れからリリースされた、渾身のフルアルバム。集客、売り上げに繋げるための文字通り「接触」を通して文字通り戦国時代となった2010年代前半を経て、2020年に図らずもその接触を禁じられてしまったアイドルシーン。とはいえ結局は丁寧に作品を届けていく人たちが残っていくかはまだわからないけれど、間違いなくこのアルバムはアイドルソングとして耳を通して濃密な時間を届けてくれる。

2、『THE PARK』 赤い公園


改めて、バンドとして脂が乗っていたことが伝わってくる作品だった。どんだけトリッキーで、重厚で、鋭くても、抑えきれない疾走感とポップセンス。Aメロ、からのサビの連打っぷりで衝動の臨界点を突破していく”ジャンキー”、当時のバンドの状況を重ねたような歌詞が沁みる”曙”などどの曲も強度がすごい。だからこそ、全てにおいて過去形の表現にしないといけないのが辛いが、どうであっても、一生聴き続ける1枚になったのは間違いない。

1、『brownie』 nuance


文句なしで今年の個人的MVP。音源もめちゃくちゃ聴いたし、数少ないながらも観たライヴはどれも圧倒的な世界観にやられてしまった。静かなる熱狂、ファンタジックな世界観の中に垣間見えるリアリティ。そういう相反する要素が同居しているのが優れたエンタメの条件だと思うのですが、彼女たちの佇まいにはそれがあるように思えます。メンバーの声質は比較的似ているけれど、ダンスはいい意味で個性が出ている。ラブソングの歌詞に「関所」という言葉が出てくる違和感。MVの曲はかなり正統派アイドルソングに振り切れてますが、実際の楽曲はもっと振れ幅があって、とにかくクセになるのです。

1、『brownie』 nuance
2、『THE PARK』 赤い公園
3、『ファルセット』 RYUTist
4、『TBEP』 tofubeats
5、『MATOUSTIC』 竹内アンナ
6、『SUPERMARKET』 藤原さくら
7、『Dramatique』 Nagie Lane
8、『ROUND12』 paris match
9、『Strobo』 Vaundy
10、『HELP EVER HURT NEVER』 藤井風
11、『操』 岡村靖幸
12、『ニュース』 東京事変
13、『ノーメイク、ストーリー』 杏沙子
14、『極彩色の祝祭』 ROTH BART BARON
15、『ファイト』 左右
16、『Future Nostalgia』 Dua Lipa
17、『ニンゲン』 カメトレ
18、『maze』 chelmico
19、『秋の惑星、ハートはナイトブルー』 kaede
20、『Sensation』 POP ART TOWN




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