こんな世の中ですが、2021年も半年終わるので恒例の振り返りを。
この半年ごとのレヴューが自分なりの日記的な存在にもなっているので、2年前までは年間50本以上ライヴ行っていた勢として最近のライヴシーンの状況を振り返ってみると、なんだかんだ開催されるライヴの本数自体は戻ってきている印象。6月は5本のライヴが入っていましたが、スタンディングなら床に仕切りが、もしくは普段スタンディングだったところが幅を開けて椅子が置いてあったりでキャパは5割程度という感じ。その代わりに昼夜2公演という形が増えていて、それはそれで個人的にはちょうど公演時間だな、と思ったりもしています。とはいえどう考えてもアーティスト側の利益率は悪化しているはずなので、早く満員のフロアに戻った方が良いとは思います。

新曲のリリースについても、普段より少なめ？という肌感はあるのですが、とはいえいい曲はたくさんあるので順不同で10曲ほどマイベストをご紹介。次は年末お会いしましょう。

“きらり”　藤井風

着実に国民的スターに向けての階段を登っているという感じの藤井風。先日初めてライヴを観れたのですが、音楽性とかはおいておいて「星野源」を比較対象にしても良いのではと思わせるカリスマがダダ漏れでした。HondaのCMソングというSuchmosも通った道を歩くこの曲も、彼らしさとキャッチーさのバランスが絶妙で末恐ろしい。

“はなしかたのなか”　諭吉佳作/men
でんぱ組inc.にも楽曲提供をする新時代のシンガーソングライター。少ない音の組み合わせ、シンプルな構成、ぽつぽつとつぶやくような歌詞と歌。ミニマルながら聴き手に果てしない広がりを感じさせ、言葉がその意味を超えて浸透する感覚は演劇的とも思える。

“さんさーら!”　ARuFa
アニソン界で名を馳せる田中秀和、ボカロPのピノキオピーによる人気WEBライターARuFaのいわばキャラクターソング、というオモコロというサイトの記事の企画から生まれた楽曲。いわゆる企画ものなのだが、情報量の多いアレンジはこれぞ田中秀和節で、それを歌いこなすARuFaのキャッチーなヴォーカルとの相性がこれまた抜群。ネット文脈を理解しているとより楽しめるのは確かだけど、純粋に楽曲だけで聴いても神曲。

“ひかりのディスコ”　CAPSULE
Perfumeなどでおなじみ中田ヤスタカのホームとも言えるユニットCAPSULEの6年ぶりの新曲。CAPSULEは高校時代に一番聴いていたもはや青春なので個人的に冷静には聴けないのですが、近年の中田ワークスの流れを汲みつつ、ヴォーカルこしじまとしこによる後味の良いスイートな歌声はこれぞCAPSULEという期待に応える名曲。

“週末メリーゴーランド”　ごいちー
cana÷bissというアイドルグループのメンバーによるソロプロジェクト。フィロソフィーのダンスの楽曲でも知られる宮野弦士によるアレンジが心地よく、イントロ1秒でわかる大好物なやつです。

“Slow Dance”　SOMETIME’S
一時ラジオでめちゃくちゃプッシュされていたのですが、R&Bの匂いをさせながら、メロディも歌ものとしてしっかり心地よい、昔から日本人に刺さるタイプの楽曲。今年のサマーアンセムとして心地よく響きそう。

“セーラー☆ムン太郎”　マハラージャン 
スーツにターバン姿という謎のビジュアルのシンガーソングライター。「セーラー☆ムン太郎」と空耳したと思ったら本当にそう歌っているというぶっ飛んだ歌詞、遊びまくりなMVとインパクト十分ながら、しっかりファンキーで踊れる楽曲はそろそろいろんなところに見つかり始めています。

“わかってないよ”　WurtS
今年の邦ロックネクストブレイク枠。Tik Tokから話題になったこの曲は、オールドスクールなガレージロック感もありつつ、現代にもハマる軽やかさがあり、特定のジャンルにハマりそうでハマらない、クセになる存在感。

『青春群像』　タイトル未定
札幌を拠点とするアイドルグループ。グループ名の通り、まだ何者でもない、これから何かになろうとする思春期の少女たちを切り取ったような楽曲は青春エモが好きな人には逃れられない破壊力があります。アルバム通して聴くと一本の青春映画を観たような後味が。

“普通の毎日”　エルスウェア紀行
名前の通り、どこか知らない旅先で感じる郷愁のような寂しくてあたたかさのある楽曲。他にも80sシティポップ的な香りの楽曲もあったりしながら、この曲はシンプルながらリスナーの急所をしっかりつくサウンドによるノスタルジックさが特に強め。休日の午後を彩るプレイリスト。

“きらり”　藤井風“
はなしかたのなか”　諭吉佳作/men
“さんさーら!”　ARuFa
“ひかりのディスコ”　CAPSULE
“週末メリーゴーランド”　ごいちー
“Slow Dance”　SOMETIME’S
“セーラー☆ムン太郎”　マハラージャン
“わかってないよ”　WurtS
『青春群像』　タイトル未定
“普通の毎日”　エルスウェア紀行