2021個人的ベストミュージック20(プレイリスト編)

続いてプレイリスト編。アルバムだったり、サブスク上のプレイリストのように複数曲が連なっているものも含めています。要は複数曲の総合力勝負みたいなことです。まあもうフィーリングで、曲と合わせて40組も最高なミュージシャンがいるってことをお伝えできれば今年も無事年が越せます。ということでまた来年お会いしましょう。

20. 電音部プロジェクト楽曲群

いきなりアルバムなどのリリースでは無いのですが。なんだ楽曲群って。バンダイナムコが制作する音楽原作キャラクタープロジェクト、と言われてもなんのことやらと思いますが。ヒプマイなどに近い世界観です。いずれにせよ、このプロジェクト、tofubeats、Yunomiなど「コンピュータダンスミュージック」的な界隈からの楽曲提供がされていて、毎週のように最高なダンスミュージックがドロップされているという贅沢な状況なので、気になる人は是非フォローを。

19. IDOLY PRIDEプロジェクト楽曲群

こちらもプレイリストだし、説明が難しい。キャラクターを軸としたアニメ、ゲームなどのメディアミックスのプロジェクトなのだが、音楽的には沖井礼二、北川勝利、田中秀和など特定の層に狙い撃ちな布陣。電音部も含めて、オタク文化的な濃度が強く触れづらい人もいるかもですが、一旦文脈は無視しても楽曲として良いのは間違いないので楽曲単体で聴いてみてはいかがでしょう。

18. 『QueSeraSera』 透明写真

二人組アイドルユニットの1stアルバム(やっと普通のアルバムだ)。エレクトロミーツアイドルというPerfume以降続く系譜。EDMと言いつつチャラくない着地なのがアイドルならではの味付け。プロデュースをしているUSAGI DISCOのサウンドが前から大好きなのですが、なかなか世間的には届いていないようなのが残念。みんなこういうの好きでしょ?

17. 『ワンス・アポン・ア・リバイバル』 WurtS

「わかってないよ」というガレージロック感のある楽曲で話題になったアーティストだけど、アルバムで聴くとVaundy的な何でもできる器用なタイプなのだなという印象。クリエイティブ全体のクオリティも含めて来年あたり全国区的なバカ売れする流れが来てます。

16. 『the meaning of life』 yama

YOASOBIなどと並ぶ、今のシーンを作っている音という感じ。ヒップホップや80sシティポップなどの要素もありつつ、でもそういうジャンル感を意図的に漂白しているのが匿名性を持ってSNSに溶け込んでいるのでしょう。それって要は聴きやすいということ。

15. 『City Slicker』 Ginger Root

こちらは逆に一聴してわかるジャンル感。フィリーソウルなどを下敷きにしつつ、日本のシティポップ的味付けがされており、音楽オタクが大好きなやつ。MVの国籍・時代がぐちゃぐちゃになっているのも含めて最高。

14. 『SHOWER』 武藤彩未

元アイドルのソロシンガー。本人が昭和歌謡好きを公言しており、それもむべなるかな、80sアイドル歌謡の令和再構築版というムード。最近のトレンドということもあり、こういう楽曲が大量生産されているのでリスナーは大忙し。

13. 『THE BOOK2』 YOASOBI

令和を代表するアーティストの2ndアルバム。yamaのレビューにも書いた通り、サウンド全体は匿名性(≠没個性)があるのだけれど、だからこそメロディの強さと、ヴォーカルの声との相性の良さが響く。こういうサウンドが最近多いからこそ、改めて本家の軸の太さを感じる。

12. 『An Evening With Silk Sonic』 Silk Sonic

ブルーノ・マーズとアンダーソン・パークのコラボってそんなのチートだし最高に決まってるでしょ、ということで。全世界の人が大好きだし、想像通りの音だしでもう特に言うことが無いので、とりあえず聴いてください。

11. 『ファイト』 左右

妻が歌とギター、夫がドラムとベース(ベース弾きながら足でバスドラ叩いてる)という色々とミニマルな構成による音楽ユニット。やっとサブスク解禁された。あっけらかんとしたヴォーカルで無意味な歌詞が脳が空っぽになる快感を引き起こす。

10. 『Moving Days』 Homecomings

日本語歌詞を解禁して以来、いよいよリスナーの肩の力を抜けさせる晴れやかなサウンドに磨きがかかっている印象。夢のような異世界というより、日常と人繋がりの、でも少しスペシャルな時間を作り出すホムカミならではのサウンドは部屋のスピーカーから響かせたい。

9. 『Editorial』 Official髭男dism

令和最初に天下を取ったアーティストの2ndアルバム。YOASOBIとは逆に、ケレン味溢れるサウンド、日本人が大好きなハスキーがかったヴォーカルと、記名性の極地のような存在感。全曲タイアップみたいな状態ながら、どんな映画やドラマで流れてもヒゲダンでしかない濃厚さも含めて、Mr.Childrenの系譜を感じます。

8. 『Case』Creapy Nuts

サブカルヒーローからお茶の間のスターまでになったクリーピー。それでもクオリティの高い楽曲をちゃんと出してくるの一体いつ曲づくりしてるんだ。去年のM-1のテーマソングになった”バレる!”のような楽曲が代名詞的ですが、大人な力の抜けを感じさせる”のびしろ”も好きです。

7. 『peanut butters』peanut butters

パワーポップをかき鳴らす2人組ユニットによるセルフタイトルのアルバム。キッチュで爽やか、わたあめやソーダのようなふわふわパチパチ、といった形容詞が似合う、晴れた日曜みたいな音楽。

6. 『DIARY KEY』 Base Ball Bear

3人になってすぐの頃のベボベは、「3人で鳴らしているとは思えない」サウンドだったのが、最近はいい意味で「3人で鳴らすべき」音作りになっているように聴こえる。音の隙間を楽しむ余裕がある感じ。ベボベはバンドのディスコグラフィーがそのまま彼らの人生観のようで、それは少し下の世代である自分にとって、人生の楽しみ方の指標を見せてくれる存在感がある。

5. 『アンソロジー1』 謎ファイルとやま観光

先日(超絶一部のアイドルソングフェチから)惜しまれつつ解散した富山ご当地アイドルの最初にしてラストアルバム。スカスカの打ち込みミュージックに決して(地下アイドルの水準としても)上手とは言えない歌声が乗ることで生まれるはっきりとドラッギーな白昼夢サウンドは珍味中の珍味。正直万人には全くおすすめしませんが、世の中にはこういう音楽があって、それを聴くためだけに東京から富山に遠征する人間もいるということだけ今日は覚えて帰ってください。

4. 『サバイバル・レディ』 寺嶋由芙

打って変わってアイドルシーンの良心こと寺嶋由芙。本人のキャラクターを踏まえて提供された楽曲を演者としてハイクオリティに表現する、これぞプロフェッショナル・アイドルという佇まい。ユーロビート、モータウン、歌謡曲、さまざまなジャンルの楽曲が並びつつ、統一感があるのはひとえに彼女の歌の表現力によるもの。ありがたく聴かせて頂いております。

3. 『DIALOGUE+1』  DIALOGUE+

声優によるアイドルグループ。プロデュースの田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)節が炸裂したハイカロリーな楽曲を声優ならではの声の表現力の説得力で歌いこなす、殴り合いの果てに生まれたのがこのアルバムです(別にバイオレンスさは無い)。”人生イージー”冒頭のユニゾンの声の揃いっぷり、曲中のセリフ的な掛け合いのまさにアニメ的楽しさは声優アイドルだからこその楽しさがある。

2. 『青春群像』タイトル未定

タイトル未定、という名前の札幌で活動するアイドルグループ。アルバムタイトルにある通り、「青春」をテーマにした、ひたすら少女たちの今を切り取るようなアイドルソングのお手本のような楽曲が並ぶ、短編小説集のようでもある。楽曲はいい意味で癖が無いのだが、その楽曲を特別にしているのはやはりメンバーのパフォーマンスにある。特にヴォーカルにおける中心となっている冨樫優花の子が唯一無二であり、アイドル界の新たな歌姫というべき歌声になっている。

1. 『月の兎はヴァーチュアルの夢をみる』月ノ美兎


VTuber(ヴァーチャルYouTuber)の先駆け的存在の一人、月ノ美兎の1stアルバム。楽曲提供陣がアニソン界隈、アイドル界隈、サブカル界隈の絶妙なラインの組み合わせで、そのどれとも違う個性が発揮されている(そしてそれはちゃんと月ノ美兎本人の個性からくるものになっている)。音楽活動をメインとしていないVTuberという存在だからか、ライヴ映えが最優先にされていない楽曲が多いのも特徴で、ゲーム音楽で有名なササキトモコ提供の”それゆけ!学級委員長”やダンスミュージックながらウィスパーボイスが心地よい”ウラノミト”など「インターネット上で聴くことに最適化された」楽曲が2021年のどの音楽とも違う手触りがする。


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