2020年5月24日

劇団ロロによるリモート演劇、『窓辺』をYouTubeで鑑賞。4月から月イチペースで配信されている20分ほどの連作短編演劇で、今月はその第2弾となる。とある2人がビデオ電話でやりとりする様を描いた作品で、ロロならではのドキリとさせる会話のやりとりが今回も素晴らしい。彼らの作品は「境界」が重要なモチーフとなっている。自己と他者、生と死、過去と現在など、様々な境目が確かに存在し、それは時にそれぞれを切り離すのだが、その境目にお互いが触れ合う瞬間がとても美しいということも彼らの演劇を観ていると感じるのだ。今回の作品でも、お互いの画面に映らない部分の景色を伝えるシーンがある。コンセント、壁掛け時計、ブレードランナー、はちみつとクローバーなど固有名詞も含めて部屋の、さらには部屋の外(Uber Eatsの配達員の姿)まで様子を言葉をもって伝える。その言葉の積み重ねによって、観客も、そして劇中の会話相手も少しずつ相手のすがたかたちが見えてくる。四角い画面の中しか共有できないけれど、言葉を通じて境目を越えようとする試みこそが、相互理解、コミュニケーションそのものなのだ、ということをロロの作品は実感させてくれる。多分リンクはそのうち消えてしまうようなので、6月に上演される次回作をよければぜひ。

緊急事態宣言下、最後の東京の夜になりそうだ。昼過ぎにスーパーに買い物に行った時も、マスクをしながら夜中家の周りをジョギングした時も、家の周りは平常時に近い人通りになってきていて、政府になんと言われようとも、われわれはこれ以上うちにこもることは出来ないのだなと。感染拡大の観点からは褒められた行動ではないのだろうが、やっぱり生きること、すなわち外に出ること、なんだなあ、と改めて思っています。TOHOシネマズで映画を観て、そのまま渋谷でライヴを観て、回転寿司食べて帰る、そんな土曜日を過ごしたいものです。


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