2020年上半期個人的ベストミュージック15

2020年も半年過ぎた…って冗談でしょ。映画館も美術館も、当然フェスもライヴもNGだなんて何だこれ、っていう数ヶ月を過ごしつつも、音楽は何とかリリースされているのです。とはいえそれすら今後の世の中次第で減っていく可能性もある(ライヴのグッズ収入が多くのミュージシャンの収入源なので)。数々の音楽関係のクラウドファンディングを必要経費のような気持ちで投資しつつ、せめていい音楽をSNSの端っこでつぶやき続けるのが、いちリスナーに出来ることなのです。ということで毎年恒例の上半期の振り返り。順不同。

『ニュース』 東京事変

東京オリンピックが開催されていた世界線にサウンドトラックとして鳴り響いていたであろう1枚。そういう意味ではどうも所在なさげに宙ぶらりんになってしまっているような感じもあるのですが、世界情勢に関係なく、当たり前のハイクオリティな名盤。また東京事変の新作が聴けていることが2020年の数少ないグッドニュース。

『海辺のSENTIMENTAL』 Mikazuki BIGWAVE

フューチャーファンクと呼ばれる80s歌謡曲をブリブリのエレクトロサウンドで味付けしたジャンル。このジャンル、クリエイターの素性がわからないことが多く、このアーティストも詳細は不明ですが、フューチャーファンクの奇妙な、でも心地よい音に、アニソン的なキャッチーフレーバーまで加わっていて、脳内ディスコは大騒ぎ。うちで踊ろう。

『TBEP』 tofubeats

うちで踊ろうと言われたら、tofubeatsだって黙っちゃいないはず。楽曲のパワーが強過ぎて本人の意図せぬところでシーンのアンセムとなってしまうのは、時代を背負うアーティストの宿命ですが、彼もその磁力を持った一人。<今夜クラブに出かけようかな/明日も暇じゃない予定あるけど>("クラブ")という歌詞の曲がこのタイミングに出てしまう時代性。

"Say So (Japanese Version)" Rainych

アメリカのシンガー、Doja Catの曲をジャパニーズカルチャー好きなインドネシアの歌い手が歌詞を和訳してカバー、という多様性の極みのような事象。歌詞の乗り方がめちゃくちゃ気持ちいいし、アニソンや日本のポップスからの影響を感じさせるスイートなヴォーカルがさらに心地よい。

『MATOUSTIC』 竹内アンナ

彼女のことは去年くらいからずっともっと評価されるべき、と思っているのですが。J-POPリスナーにも届くだろうキャッチーなポップセンスと、アコースティックギターながらグルーヴィーなプレイ。藤原さくら的なスター性を兼ね備えた本格派。こんな濃厚でそれでいて爽やかなアルバムが作れるなんて、本物です。

『THE PARK』  赤い公園

バンドとして脂が乗っていることが伝わってくる。どんだけトリッキーで、重厚で、鋭くても、抑えきれない疾走感とポップセンス。Aメロ、からのサビの連打っぷりで衝動の臨界点を突破していく”ジャンキー”、今のバンドの状況を重ねたような歌詞が沁みる”曙”などどの曲も強度がすごい。邦ロックど真ん中を背負わんとするバンドのハイライトとなるだろう1枚。

『strobo』 Vaundy

今年の邦楽シーンのMVP。本当なら今年の夏フェスとかに引っ張りだこでさらに大ブレイクしていたことでしょう。とにかく器用で、爽快なシンガロン楽曲(”灯火”)、シティポップマナーなキラーチューン(”東京フラッシュ”)、内省的バラード(”僕は今日も”)と何でもハイクオリティにこなす鬼才っぷり。2020年代のエース候補。

『HELP EVER HURT NEVER』 藤井風

今年のMVPのもう一人。無造作な佇まい、キャッチーな曲名からのグルーヴィーなサウンド、色気のある関西弁ヴォーカル。これはモテる。みんな好きなやつなのであまり書くことが無いのでもう聴いてください(レヴューの放棄)。

"ほろよい" kojikoji

ヒップホップのカバー動画などで話題になったシンガーソングライター。アコースティックギター中心の必要最低限なサウンド、朴訥でスイートなヴォーカルと隙間を感じさせる力の抜けた心地よさがある。

『ファイト』 左右

ストリーミングやYouTubeにあまり音源が無いのですが。パンク的なサウンドながら、熱狂というより、平熱で淡々としていて、若干のナンセンスさもあり、形容しがたいが気づくと癖になる。ZAZENやトリプルファイヤーに通ずる佇まいを感じます。

『Future Nostalgia』 Dua Lipa

全世界で大ヒットの次世代ポップスター。アルバムタイトルの通り、80sディスコへの偏愛を感じるもはやめちゃくちゃダサい(=最高)くらいのサウンドがとにかくツボにハマる。でも意外とビートに重さがあるのは現代的でもあって、ちゃんと更新しているところがさすが世界的ディーバといったところ。

『ニンゲン』 カメトレ

解散ライヴがこのご時世のため延期(チケット取ってた)、最終的に無観客配信となってしまったアイドルグループのラストアルバム。シンセのリフがどの曲、どのパートも外れなく、ポップで切なくて最高。ヴォーカルとサウンドのバランスも絶妙でいやあ、本当にによくできている。

『原因は自分にある』 原因は自分にある

スターダスト所属男性アイドルグループの改名後のセルフタイトルデビューシングル。グループ名や曲名をはじめとする歌詞の世界観や鍵盤の音の使い方にボカロ的フレーバーを感じさせるのは、スタダの他のグループやジャニーズにもあまり無い方向性。

"I See..." 乃木坂46

令和の時代になろうとも、私たちはSMAPの亡霊なのですが、亡霊も思わず成仏するようなスマッピー(造語)な名曲が乃木坂のカップリングにありました。イントロから爆笑するぐらいのヒッピハッピシェイクっぷり。この曲を生音のバカテクバンド演奏で聴かせてくれたらもうこの世に未練はない。

"ポップミュージック" Juice=Juice

東の坂道に対するは西のハロプロ(どっちが西とか無いけれど)。イントロからサビまで、あちこちに隠された(ストレートすぎて隠れていないが)洋楽、さらにはその洋楽をオマージュされた歌謡曲のサンプリングはMVの世界観も合わさって、ダサカッコ良くて最高。ハロプロお家芸のこぶしの効いた歌唱もまた相性抜群。

ということで次は年末に。その頃にはライヴにも行けるようになっているのでしょうか。

『ニュース』 東京事変
『海辺のSENTIMENTAL』 Mikazuki BIGWAVE
『TBEP』 tofubeats
"Say So (Japanese Version)" Rainych
『MATOUSTIC』 竹内アンナ
『THE PARK』  赤い公園
『strobo』 Vaundy
『HELP EVER HURT NEVER』 藤井風
"ほろよい" kojikoji
『ファイト』 左右
『Future Nostalgia』 Dua Lipa
『ニンゲン』 カメトレ
『原因は自分にある』 原因は自分にある
"I See..." 乃木坂46
"ポップミュージック" Juice=Juice


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