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「労働条件の確認、キチンと書面で行っていますか?」

社会保険労務士の山地です。

3月になりました。そろそろ新規学卒者を迎え入れる準備を始めている企業もあれば、年度単位で契約している労働者の契約更新の時期に来ている企業もあるでしょう。

どちらにしても、大事なことは労働条件を書面にして労働者と使用者(会社)でお互いに確認するということです。

労働基準法上、使用者(会社)には労働者に対して雇い入れの際、賃金や労働時間などの労働条件を書面の交付により明示する義務があります。

必ず明示しなければならないものは次のとおりです。

1.労働契約の期間(有期契約なのか、無期契約なのか)
2.有期契約の場合は、契約を更新する場合の基準
3.就業の場所、業務内容
4.始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無(残業があるかないか)、 休憩時間、休日、休暇、交代勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項
5.賃金の決定、計算、支払方法(手渡しか銀行振込か)、賃金締め切り日、賃金支払日
6.退職に関する事項(解雇の事由を含む)

このほか、臨時に支払われる賃金や賞与、休職に関する事項など、会社として定めているものがあれば明示する義務があります。

もし雇い入れる労働者がパートタイマーであれば、

・昇給、賞与、退職手当それぞれの有無
・雇用管理改善のための相談窓口として、担当者の氏名、役職、相談部署

の記載も追加する必要があります。これはパート・有期労働法によるものです。


労働相談の対応をしていると労働者のかたから賃金について相談されることがあります。その多くはきちんと支払ってもらえていないのではないか、つまり本来支払われるべき額より少ないのではないか?という相談です。

なかには給与明細書を持参する人もいるのですが、労働契約書(雇用契約書)か労働条件通知書はありますか?とたずねると、もらっていないとか、もらったのかどうか記憶にないという人が圧倒的に多いのです。

社会保険料の金額であれば賃金額からザッと計算すればあっているかどうかの検討はつきます。しかし、そもそもどういう契約なのかがわからなければ、給与明細の金額だけ見てもあっているのか間違っているのか、わかりません。

どうも皆さん、「労働」については「契約」しているという意識が薄いかたが多いように感じます。(^_^;)

契約書を取り交わすと言ったら車や家など高額なものを購入したり、アパートやマンションなどを借りたりするときだけだと思っていませんか?

労働基準法は使用者(会社)に労働条件を明示するよう義務付けていますが、労働契約自体は口頭でも成立します。契約内容を書面で確認しておかないと、後々「言った」「言わない」の水掛け論に発展します。

労使双方で確認した書面にそれぞれ署名・捺印をし、トラブルを未然に防止しましょう。キチンと準備してお互いに気持ちよく新しいスタートを切ってほしいと思います。(*^_^*)


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