今年のこと

社会人になってはや5年目。社会の現実に呑まれた、というよりその時々の選択の結果なのだが、手応えのなさ過ぎる社会人生活を続けている。
同じチームにはいつの間にか年下が居るのが当たり前の年齢になってもなお、派遣社員として、職場ジプシーなのだ。現実にも自分にも嫌気が差し、そろそろ落ち着きたい…と2年目から思っているから、それも3年以上になる。30代を目前にして、仕事面の安定はいよいよ差し迫った課題だ。そんな中、今年は今後を考えるうえで端緒となる出会いや、自分がなにを大切にしているか原点を見つめ直すような出来事が相次いだ。

今年、相も変わらず現実に不甲斐なさを感じながら再認識したことは「エンタメが、どれだけ人や社会を元気にするか」ということだ。
旧ジャニーズ事務所は、元社長の性加害問題で解体となり様々な変化が起きた。その余波の中には、残念ながら広告や番組の収録中止など、ファンが楽しむ機会が無くなってしまうものもあった。そして個人的には、私がティーンの頃にそれこそ元気をもらい、現実に立ち向かう勇気を得ていたアイドルたちを世に送り出し、日本の芸能史上でも重要人物であろう、かの社長にまつわる今年見聞きしたあれこれは「自分が見てきたもの」のことを振り返る大きなきっかけとなった。
もちろん、ただの受け手には、真相など知る由もないけれど。
そんな折、例の問題が大きくなるより少し前、夏頃新しい職場で同僚と話していて「倉科カナと菊池風磨のドラマ(隣の男はよく食べる)みた?」と言う話になり、興味が湧き10年以上ぶりにドラマで菊池風磨を見て、案の定SexyZone沼に入り込んだ。こんなに人間の心の奥行きを表現できる素敵な俳優になっていたことを
全く知らなかった。よくしたもので、菊池は今年全クールのドラマに出ている。
1月クールは乗り遅れたが「ウソ婚」→「ゼイチョー」は流れに乗ることができた。そして、菊池を見始めると当然のように中島健人にも目が行く。すっかり「ふまけん」にハマってしまったのだ。彼らを初めてみた「スクラップティーチャー」から15年も経つことに、お互い中学生だったよね、と勝手な感慨も感じてしまう。私はB.I.ShadowやNYCboysが好きだったので(SexyZoneのデビュー前)
久しぶりにしっかり見た彼らがアイドルとして常にファンに寄り添い
厳しい道を志を持ちながら歩み続けていたことがわかり、同世代として尊敬の念を抱いている。アイドルから活力を得て、私も自分の目標に向かって歩く覚悟が決まった。

もう一つ、今年、自分のことを見つめ直すきっかけとなったのは、脚本家の山田太一さんが亡くなったことだ。山田さんは、私がテレビドラマを好きになるきっかけを作った人だ。ちなみに、アラサーには珍しいと思うが、山田さんの作品に影響されたという作り手の方は今の40代後半以上では、かなり居るはずだ。
今年印象的だったテレビドラマの一つ「だが情熱はある」のプロデューサーさんもXに山田さんへの想いをポストしていた。あのドラマの各エピソードのサブタイトルは「ふぞろいの林檎たち」からとったものだ。そして今年は「ふぞろいの林檎たち」のパートⅤが本で出た。この作品の根本である、良いことも悪いことも人生にはあり、踠くこともある。そんな中でもどういう選択をし、どう生きるかはそれぞれにかかっている、というメッセージが改めて沁みた。そして現在、制作現場には身を置いていないが、テレビの世界の片隅にいるのは山田さんの作品に、中学生の時に出会ったからだ、と言う思いを強くした。

なにもまだ解決していないし、具体的な流れが引き寄せられたわけではないけれど、希望が持てたのは、いつもよりしっかり、じぶんの足元が見えた気がしたからだ。本気で準備をし、歩みを進める年末にしたい。