さよならの向う側

 昨夜のSexyZoneとしての最後のオンラインライブを以て、中島健人はソロへの道へ進む。
私個人は、最初に驚きこそしたものの、発表後の中島のどこか晴れ晴れした表情から、寂しい気持ちより今後を応援したくなる気持ちのほうが強かったのだが、昨夜のライブはそれが正解だったと強く確信させるものだった。昨夜のライブには一足先に卒業して新たな道を歩むマリウス葉も一部参加した。それができる事が何よりも彼らが歩んできた道のりが温かく、そして5人で支え合ってのものだったかの証左である。
 同じ昨日、鈴木おさむも放送作家を辞めた。
私は鈴木のドラマや舞台が好きで著書もよく手に取っていたので、彼が放送作家を辞めるということの方が喪失感としては大きい。
中島はこれからも沢山の作品を生み出すだろうが、もう鈴木おさむの新作を楽しむことはできないのだから。鈴木の引退作の「離婚しない男」は大きな話題を呼び、先週出版された「もう明日が待っている」も15万部の売上を記録している。これは彼が間近で見てきたSMAPとの歩みを記した小説だ。これをピリオドにしたのは、大切な思い出を歴史(アイドル史としてもテレビ史としても)として記しておきたかったからに違いない。
 そしてもう一つ、私の大学時代の恩師も定年を迎えて先日お祝いのパーティがあった。私自身は、ヌルーっと何も変化のない春を迎えたが、節目を迎えた人を見て感じた事がある。それは普段から何を大切にして歩んでいるか、を自らに問い続けなければいけないということだ。何を大切にして歩んできて、終わりを迎えるのか。大きな事を成し遂げて、もうやりきった!というパターンもあるかもしれないし、全く新しいことをやってみたい!というパターンもあるだろう。或いは、やっぱり向いてないし、しんどい…というパターンもあるかもしれない。 
 一つ言える事は、何かを続けることはとてつもなく大変で、時には戦い続けないと見えない景色があるということ。この景色はきっとご褒美でもあり、次のステップでの支えでもあるのだと思う。私はまだその景色が見れるほどのことを成し遂げていないことを痛感した。
この向こう側の景色を見てから、社会人生活を終えることがひとつの目標だ。ちなみに、私の中でひとつのことを続けるカッコよさを体現しているのは石井ふく子と桑田佳祐だ。石井は60年以上、桑田も半世紀近く第一線を走り続けている。私も大きな何かを成し遂げる才能があるかはわからないけれど、歳を重ねたときに後悔のない人生を歩いていたい。