No.015 海底二万里 ジュール・ヴェルヌ 著

突然ですが、ヨルシカのセカンドアルバム、『エルマ』すごくすごく素敵でした!音楽の根底に潜む文学がエモかったですね(笑)

そんなヨルシカの楽曲『ノーチラス』に影響されて重い腰を上げ、この本を手に取ったわけですが、想像以上に面白かった!!

というわけで今回は、フランスの文豪ジュール・ヴェルヌの代表作『海底二万里』の感想です!

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ときは1866年、大西洋に謎の巨大生物が現れた!異形の<怪物>の目撃譚に人々はおののき噂した。白鯨か?伝説の怪異か?はたまた自然現象か?議論が沸騰するなか、アロナクス教授はその正体を暴くため、使用人のコンセイユとともに高速フリゲート艦に乗り込む。それが、驚きべき旅の始まりになるとも知らずに────。少年から大人までをも魅了する海洋冒険ロマンの傑作、新訳。
(出典 新潮文庫 上巻あらすじ より)

〇 一八七〇年

 この作品には、多くの海洋生物の名前が出てきます。時には一ページ全てが短い説明の付いたカタカナの羅列だったりもしました。残念ながら私は海洋生物には疎いため、そのほとんどがよく分かりませんでしたが、分かる人ならきっとより面白いのだと思います。

上下巻ともに最後に語句の解説が付いていて、とてもありがたかったです。

 上下巻合わせて九百ページ以上にもなるとても長いお話なので、ここでは好きなシーンをひとつ語るにとどめておきます。

 私のお気に入りのシーンは、海底散歩のシーンです。

 ネモ船長に誘われ、アロナクス教授とコンセイユは潜水服を着用し、海底を歩きます。

 午前十時。海底に差す太陽の光。視界には実際に見たことのない植物と軟体動物が広がり、見渡す限り、全てが太陽スペクトルの七色の光を帯びて、輝いている。

 その光景を想像しただけで、身体の震えが止まりませんでした。

 美しく強烈なその光景が見たくて見たくて、海に行きたい衝動が湧き上がって、でも、海底には行けないよな、って思って、落ち込むところまでがワンセットですよみなさん。

 私の語彙力では伝えられないくらい、美しい比喩も相まって、本当に美しいといか言いようのない場面なので、興味を持った方は是非とも読んで欲しいです。

 そして、感想のタイトルにも書きましたがこの小説は、今からおよそ百五十年前、一八七〇年に出版されたものです。下巻の解説にも書いてありましたが、当時の日本は大政奉還からまだ三年しか経っていません。

 これほど昔の作品にも関わらず、当時の科学技術の数歩先が描かれていることには脱帽するしかありません。きっとその未知への好奇心こそが『海底二万里』を今も昔も人々を魅了してやまない一因なのではないでしょうか。

 さて今回はここまでです。

 おそらく世間一般的には、ノーチラス号やネモ船長、というワードからそのまま直接『海底二万里』を想像する人が多いと思うのですが、私の場合、幼少期に庵野秀明監督作品であるアニメ『ふしぎの海のナディア』を先に見てしまったがゆえに、そのイメージが上巻を読み終わるくらいまで抜けなかったことを余談として添えておきます。

それではみなさま、よいお年を。

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