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2023/01/06

ライブが今月末に控えていることもあり、スケジュールが少しタイトであることもさることながら、練習などもあるため歌う機会が非常に多くなりました。
歌には特別なエネルギーを使う、と思います。ダンスやスポーツをしたあとのような充実感と疲労感が相俟った高揚感はさほどなく、絵を描いたときと同じエネルギーで、終わったあとは疲労感とも言えない空虚さが全身の力を奪い去るのです。だから歌いたくて仕方がない、という人は才能なんだと思います。うらやましい。

音楽は好きですが、歌うことはあまり好きではありません。もとより僕は人前に出ることが苦手ですし、他人が作った歌を歌うことは借りているようで抵抗があるのです。それでも時代は変わってきて最近は聞くための音楽もあれば歌うための音楽もあるご時世ですから、少しずつ適応していかなければなりません。自らのエゴで自分の中の時代だけに閉じこもるのは怠け者がすることです。何歳になっても常に時代を感じる人間でいたいのです。
だからこそネット活動者として活動する上で若い子や僕の人生の先輩方が見てくださっている中でより多くそういった方々に楽しんで頂くためには自分の世界には無いものも積極的に取り入れていかないといけないのです。だからたまに、真顔でコムドットの動画とか見ています。それで少し心を失ったあとに、飼育員に甘えるパンダの動画などを見て笑顔になったりします。世の中うまく回っているものですね。

「Show down」までもう一ヶ月も無い状況下で、僕の心は手ぶらで宇宙に放り込まれたような焦燥感と、孤独感が常に僕の血を冷たくしてきます。ステージの上に立つ以上は、特別な何かでないといけません。ファンの好意に甘えたり、軽い気持ちで茶化していいような空間ではないのです。ステージとはすべてのエンターテイナーにとって神聖な場所で、僕にとってそこが恐ろしいから極力避けてきました。祭壇のようでもあるし、死刑台のようでもあるのです。
僕が初めてちゃんとしたステージに上がったのは、MCバトルというラップバトルの大会でした。そこまで大きな会場ではありませんでしたが、ステージに上がってマイクを持った瞬間の感覚は今でも忘れません。会場の熱気と反比例して冷たくなる体温と、巡りを鈍くなる血液と、徐々に回転速度を落とす脳と、早まる心臓。すべて会場中に蔓延している温度や空気や見えるものすべてがウイルスみたいに体を蝕んでい体と心のバランスを奪っていくのです。正直一番最初のときの記憶はあまりありません。たぶん記憶中枢が死んでいたんだと思います。
結果的にそのMCバトルは2回戦で負けて、その中である経験をしました。相手のラッパーの方がとても上手い方で、僕も頭が真っ白で何言ってるのかわからない状態だったし、感覚的に「あ、これ絶対負けた」と思うときがあったのです。会場も相手のラップに歓声があがり、そのときはもう誰も僕のことを見てなどいませんでした。会場の空気感が僕が離れたと感じた瞬間に深い安心感を得てしまい、自分の不甲斐なさに無性に腹がたったのです。なんでこう、自分は逃げ腰な心なんだろうと。情けない。臆病で卑屈で。でも、一生僕はそうやって鳥から逃げる芋虫みたいな生き方をしていくんだろうなと気味の悪い真理に気づいたような気もしました。

でも、俺ライブするんですよね。しかも1000人が入れる会場で。最初は本当にやりたくなかったけど、次第にやらなければならない気がしてきて気がついたら必死にライブ練習をしている自分がいたのです。たぶん本番まで、命を削る勢いで練習をすると思います。情けなかったあの頃の僕じゃなくなったのだと、証明できれば僕にとって一番の救いですし、それを見た誰かの救いになればこれほど嬉しいことはありません。やっべぇ凄い長文描いちゃった。作業に戻りますわ。

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