Unsilenced

Unsilenced
https://unsilenced.fr/en

聾者コミュニティのためのフランスのプロジェクト。
Unsilenced = 黙らない -> 声をあげる的な意味だろうか。
UXおよびデザインが素晴らしく、また企画力も素晴らしく感動した。

概要
聾者であるダンサーが曲に合わせて手話を交えながら踊り、ストーリーを伝える。ダンサーのビリーは3歳の時に聴覚を失ったという。それでもマイケルジャクソンに影響を受けて踊り始めたのことだった。
「聾者のことを考えよう!」という、興味を持たれにくいテーマを、人にフォーカスを当てることによって、よりドラマチックにかつスタイリッシュに伝えている。

解説
キービジュルに動画を持ってきており、マウスを長押しすることで字幕(手話の内容)が有り無しが切り替わる。手話をひとつの言語として捉えた表現であり、字幕をつければ彼らの言いたいことがスムーズに伝わる、という体験になっている。これだけで十分素晴らしいのだが、歌詞の内容も等身大で実に良い。歌詞 / メッセージの内容は以下。

This place,
And me
Alone

I spoke,
You couldn’t hear me.
I moved,
You couldn’t see me.
The stories on my fingertips.
The stories on my fingertips,
too loud for these lips.

Unlock the world inside me.
This isn’t just a song I need to sing.
It’s a barrier we need to break.

I spoke,
You couldn’t hear me.
The stories on my fingertips,
too loud for these lips.

This silence isn’t what it sounds like.
This silence has so much more to say.

決して聾者を弱者として言っているわけではなく、
自分が他者との間に壁を作っていて、それを打ち破らなければならない、という内容だ。
目から鱗、というか日本の24時間テレビだと「こんなに頑張ってるんです!」という苦難をテーマにしがちだけど、耳が聞こえないということを一つの個人の特徴として悩みながらも成長したいという気持ちがテーマとなっている。

見せ方というか出口が違うのだ。同情や憐憫を誘うのではなく、見る人を鼓舞する。彼らのメッセージが胸に刺さったのは、きっと聾者だけではないはず。そんなテーマと世界観が、色合いにも現れている。

まるでアーティストのWebサイトのようなテイストで、モノトーンのシックなページに仕上がり。このページの意図を知った後では葛藤や不自由さ、シリアスさがビジュアルとして表現されているのだと感じる。

伝えたいテーマをどのような手段で届けるか。
これはデザイン以前の話だ。
こういう深いところからバランスを取って最高のアウトプットを探っていきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?