なんか好きだったあの人のこと
それが恋だなんて思えなかったけど
一緒にいるのは楽しかった
アメリカに出張する僕に
自分の好きなアメリカでしか買えないおもちゃを
僕に買ってきてと頼んだ
頼まれた僕はそのお願いに含まれた好意を感じることが出来なかった
だから行きも帰りも車で成田まで送り迎えしてくれたことも
仕事の忙しさに心を奪われ
何だか親切な人だなとしか思わなかった
だけど僕らはどんどん近づいて行って
でも近づくスピードが少し違っていたみたい
だから先にノッキング起こしたのはあの人だった
連絡が取れなくなって
久しぶりに連絡が来て
会った時にはもう妊娠していて
幸せそうで
これから結婚する相手のことも説明してくれた
一体どんな思いで僕にそんな話をするのか
それさえも僕はちゃんと感じることが出来なかったと
今思う
風の噂で君がシングルマザーになっていると聞いた
あの頃スピードが違い過ぎて
行き違ってしまった僕ら
一度行き違ってしまったら
二人はどんどん離れていき
二度と会うことはない
今日思い出したことは
あの時の僕たちは
嘘はついていなかったということ
それは大事なことだと
今日思ったんだ