雑煮

小さいころから好き嫌いなく、何でも美味しく食べてスクスク育った。
大人になった今も何食べても大抵美味しい。嫁から言わせたら「料理のし甲斐がない。」という事になるようで、母親に会う度に「お母さんの育て方がオカシイから!」苦情申し立ててます。ゴチャゴチャ文句を言いながら食べるよりは良いと思うのですが…結婚16年目。嫁のココロ、今だ解らず。

好きな食べ物は餅。醤油+砂糖、あんころ、キナコ etc.etc.
子どものころから大好きで、正月に雑煮が出来上がると有頂天!何杯もおかわりして兄貴や妹の分まで食べつくす勢い。

忘れもしない小学4年の正月。ゆく年くる年を観て、朝寝坊した元旦午前11時。寝巻のまま食堂に行くと美味しそうな雑煮の匂い。

あけましておめでとう

おせち料理が並び、親父がビールを飲みながら正月番組を見てる。両親と兄弟3人。穏やかな新年の始まり。
私とは正反対に味にウルサイ兄貴が「今年の数の子はちょうど良い濃さだね」「馬刺し用の醤油を出してよ」なんて母親にしたり顔で言うのを聞きながら、雑煮に取り掛かる。正月に食べる餅ってのはいつにも増して美味しい。
お代わりする私に「ちとるは餅が本当に好きだね~」と最初はニコニコ顔でお椀を受け取ってくれていた母親が、さすがに5杯目には「これが最後だからね。」と心配顔。それでも餅が食べたい私が6杯目のお代わりをしたら、母親は「もう餅は無い」と御汁だけをお椀についでくれた。

ガッカリした私は「餅が入ってないならもう食べん」とわがままを言ってトイレに立った。

時間にして数分後、トイレから戻ってお椀を覗くと御汁の底に白くてまぁるい餅。(オフクロが入れてくれたんだ!)うれしくなった私はニコニコ顔で「お母さん、ありがとう!」と叫び、お椀の底の餅めがけて箸を突っ込んだ!

次の瞬間、餅はお椀の中で雲散霧消。なんのことはない、私が餅と勘違いしたのは御汁の底に沈殿した白味噌だったのだ。あの時ほどガッカリした瞬間は46年の人生でもなかなかないねぇ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?