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【2023TDLレビュー】STL久々の売り手ムーブはまあまあ

 STLは今回のトレードデッドラインで純粋な売り手の立場として動きました。21世紀になってからシーズン負け越しは2007年の1回のみで、その2007年も売り手ムーブはしていなかったので、デッドラインを売り手として迎えたのはいつ以来でしょうか。個人的に知らない時代かと思います。とりあえず、多くのプロスペクトを獲得したことは、将来に向けて悪くない動きでした。

〇STLの主要なトレード一覧

※ Pro Rkはプロスペクトランキングの略。MLB公式のランキングを用いている。全は全体の順位。#は旧所属における順位。外は旧所属TOP30外

〇レビュー

 レンタル選手メインの放出でファームを厚くできたと思います。2023年はWAR、得失点の割に投打がかみ合わず振るいませんでしたが、逆に言えばコンテンドできるだけの戦力を残しながらファームシステムも強化したとも言えます。ファームシステムランクでは未だに下位ながら、層は確実に厚くなりました。特にプリエトやサジェーシーはとても魅力的だと思います。

〇TDL直後のチーム状況

 25日まで9勝11敗とそこまで悪くない成績です。ヤディアー・モリーナ引退の影響が叫ばれていましたが、捕手コントレラスでバッテリーも落ち着いてきました。また、基本的にオフにFAになる選手がいなくなっただけで長期契約で囲っていたり、FAまで期間のあるレギュラーは健在。トッププロスペクトのメイソン・ウィンが昇格し、ノーラン・ゴーマンも復帰しました。若手に経験を与え、来季につなげるという面では悪くない状況だと思います。また、ここに来てスティーブ・マッツが復調しつつあるのも来季以降を見据えてポジティブな材料です。

〇2024年以降の見通し

 長期契約組の負担もあり、111Mがロックされていますが、調停で大きな負担はなさそうなので2024年に向けてほどほどに補強できそうです。イメージとしては15M前後で2~3年の先発投手の獲得が最優先で次にリリーフ投手の枚数を増やすといったところでしょうか。2021年デッドラインのようにロートルのスターターを獲得して勢いに乗ったようにSTLはデッドラインのちょっとした補強で一気に稼ぐ年が少なくありません。デッドラインまで貯金1桁行ければ十分勝負できそうなので、まずは最低限投手陣を整備したいところです。

 長期的に見ると、ゴールドシュミットの流出、アレナドの衰えがリスクとしてありそうです。ただ、野手はFAまで期間のある若手で占められているのでそこまでリスクにはならないと考えます。むしろ、先発ローテーションの方が不安です。トッププロスペクトであったリベラトーレが振るわず、トンプソンやウッドフォードに将来は託せません。ファームを見てもヘンスやロビーはまだ時間がかかりそうですし、グレースフォやマクリーディも期待は禁物に見えます。そうした意味では、FA市場かトレード市場でエース格の先発投手を獲得するというのは、一つの手段としてアリではないでしょうか。

 総じてみると、課題の投手力クリアできれば、十分にコンテンダーとして戦える陣容を数年保てるというロスターになっていると思います。今後の投手補強に注目です。

※画像はMLB公式


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