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【2023TDLレビュー】TEX先の先を見据えて

 TEXは今回のトレードデッドラインでマックス・シャーザーをはじめ、投手の補強に重点を置きました。放出した見返りの質はほどほどでファームシステムもそれほど傷めずに弱点を埋められたのではないでしょうか。2年前にシーガーとセミエンを長期契約で獲得した際、個人的にはやや早いという印象を持ちました。しかし、チームのコアとなる選手への先行投資が実りつつあります。

〇TEXの主要なトレード一覧

※ Pro Rkはプロスペクトランキングの略。MLB公式のランキングを用いている。全は全体の順位。#は旧所属における順位。外は旧所属TOP30外

〇レビュー

 レンタル選手メインながらも的確に弱点を補強しました。先発はシャーザー、モンゴメリーと2枚獲得。シャーザーについてはオプトアウト非行使が決まっておりFAまで1年半、モンゴメリーはオフにFAと保有期間が1年ズレています。1人だけ残すことで翌年度以降のローテ編成に向け、確実性と柔軟性が担保したように見えます。一方、リリーフは早めにチャップマンを獲得したほか、モンゴメリーのトレードでストラットンをまとめて獲得と巧く立ち回りました。

 トレードを全体的に見ると、全体TOP100レベルのプロスペクトはアクーニャ弟を放出したのみで、小さい見返りで必要なポジションを補強できました。TEX傘下という括りで見ても、3位、11位、14位+αのみと獲得した選手の質・量と比較して痛みは小さいと言えそうです。ハイムのケガで緊急的に必要になった捕手もヘッジスをインターナショナルボーナスプールのみでギリギリで獲得するなど、最後まで巧い立ち回りだったと思います。

〇TDL直後のチーム状況

 TDL後は全勝しており、TDL前の不調から脱したように見えます。特にTDL翌日からシャーザー、モンゴメリーが登板した試合はいずれもQSのうえ、リードを保って降板。野球における最も基本的な勝ち方ができています。ローテ1、2番手の質が上がったことでそれまで1、2番手だった投手が3番手以降に下がり、マッチアップが楽になったことも連勝の要因かもしれません。フロントスターターの補強は本人のパフォーマンスだけでなく、ローテ順が下がる投手が勝ちやすくなる、パフォーマンスの悪い先発投手をローテから外せる、といったコスパの高い補強になりますが、早速体現しているように見えます。

〇2024年以降の見通し

 2024年は引き続き戦力が維持されそうです。モンゴメリー、ペレスのほか、ストラットン、チャップマンらがFAとなりますが、FA補強やオフのトレード、来年のTDLでリカバリー可能でしょう。ペイロールも2024年こそ167Mロックされていますが、2023年並のペイロールを許容するなら調停を除いて40M程度空きがあります。また、調停で大きな年俸になりそうな選手がナサニエル・ロウくらいしかいないのでFA市場でそこそこ戦えそうです。

 また、TEXのロスターを見ると、若手は2024年に初めて調停という選手が多く、彼らのサラリーが上がるタイミングでシャーザー、ヒーニー、イオバルディらの契約が切れるので財政面での硬直化のリスクは小さいように見えます。先発ローテのFA流出を経た2025年頃にデグロームが復帰し、オーウェン・ホワイト、ジャック・ライターらのスタータープロスペクトが定着すれば、先発ローテは十分に回るとも考えられ、大型FAの必要性は低そうです。デグロームとの契約自体が先行投資として機能するのではないでしょうか。

 打線はシーガー、セミエンを中心にガルシア、ロウ、ハイムらはまだまだ高パフォーマンスを見込めます。また、タベラス、デュラン、ヤンと下の世代も戦力になりつつあります。年齢面はもちろんのこと、契約期間やFAや調停の時期を見ても、かなり綺麗に分散しています。今後はコンテンドしながら部分的に売りトレードを行ってファームの質を維持するという手法もとることもありそうです。

 現状、TEXのロスターマネジメントを見ると、今年のプレーオフ復帰や数年のコンテンドという視点ではなく、さらに先も見据えているように見えます。コンテンダーを数年続けると高齢化とファームの枯渇化が起こりがちですし、TEX自身も2010~2016年の間に5回プレーオフに進出した後は、タンキングに近い再建を経て今に至ります。しかし、今回のTEXは目先のプレーオフ争いはもちろんのこと、5~7年後に2017年以降のような再建に追い込まれるリスクを最小化しようと動いているようにも見えます。先の長い話ですが要注目です。

※画像はMLB公式


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