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M-1グランプリ2019の感想をつらつらと

ミルクボーイの優勝で幕を閉じたM-12019!
過去最高の面白さでは?と思えるぐらいのレベルの高さ。興奮したので、熱のあるうちに、つらつらと思ったことを書きたいです。

■ミルクボーイ

圧巻の優勝漫才。最初から最後まで、ずっとウケ続ける漫才も珍しい。
ウケウリですが、コンテンツって「ハード」と「ソフト」があると思いますが、その両面で優秀なネタだったのかなと。
まずはハード面。本当は、ネタフリ → ボケ → ツッコミ っていう笑いを取るまでに王道ではステップがいくつか必要。このシステムの漫才は、テンドンのスタイルなので、圧倒的にステップが少ない。掛け合いのワードが全て無駄がなく笑いに繋がっている。「ほな◯◯やないか、ほな〇〇とちゃうか」これだけシンプルでわかりやすいもので、後半はそうくると思っていても笑ってしまうっていうのがシステムのすごいところ。
ソフト面の話。今回は「コーンフレーク」というテーマ。今の流行系の笑いの中に「共感」と「偏見」があると思っています。「共感」はちょうどいいわかるーっていうぐらいのワードを出したり、みんなの想像のちょっと上の共通項を出すことで笑いにつながるやつ。霜降り明星とかもこれが得意なんだと思っています。コーンフレークのネタもみんな知ってるけどまだみんな言ったことがない「あるある」ぐらいのところを盛り込んでいてめっちゃ笑えた。スカーフ巻いたトラとか、ミロとフルーチェとか。「偏見」はあるものを拡大解釈して言い切ることによる笑い。納言のみゆきさんとかの街いじりとか。朝寝ぼけてるときしか食べれない、楽して食べたいという煩悩の塊とかその当たりがそこにあたるのかなと。その流行系がソフトとして2つものっかっているお化けみたいなネタでした。
ミルクボーイさんは、10年ぐらいこのシステムでやり続けているとのこと。
職人さんのように1つのハードを磨き続けると良いソフトに行き当たって、爆発するんですね。いや。圧巻でした。最後のトロフィーをいただきましたは感動でした。

■かまいたち

2番目という絶妙なタイミングで、このウケ。素晴らしい。力しかないです。かまいたちがすごいなと思ったのは、何度も見たことあるUFJのネタやのにこんなに笑えるんやってところ。つまり、M-1用にネタは同じやのに構成や間のやりとりのちょっとした部分で漫才はぐっとウケ量が変わるってことなんだと感じました。山内さんのキャラが面白いのは何年も前からわかっているところ、それに加えて昨年(2018)はネタ設定のわかりやすさ、小ボケの妙などを見せてくれた。その昨年の良さに加えて今年は本ネタの中での大きい笑いがついて来ていた。まとめるとかまいたちの凄さは笑いを取れるバリエーションの多さ!ネタ設定の親近感!これで優勝できないってことはレベル上がっているだけ。

■ぺこぱ

みんな言っていると思いますが、時代に乗っている新しいシステムなんだと思います。突っ込まない、怒らない、全て受け入れてしまうんですね。
「ボケに対して突っ込まずに、受け入れなさい。どんな風に?」っていう大喜利を見せてもらって、それの回答がめちゃくちゃおもしろかった。
「知らない間に、正面が変わったのか?」っていうのは特に私は刺さりました。受け入れるのであれば、正面すらかわるんですよ。この大喜利はまだまだ回答が作れそうで先がまだまだ見れると思います。売れそう。
後は、ワードにメッセージが性があるので、ちょっと社会性あるのもよかったですよね、ウケる「キラーワード」の1つの要素に「叫び」っていうのがあると思います。なんか心がこもっている魂が乗っている言葉ですよね。昔の麒麟・田村さんの「お前がしっかりしろよ、麒麟は」ってやつとか。ぺこぱにはそれがありますよね。「キャラ芸人になるしかなかったんだ」「できないことはできないって言おう」「その漫画ってなんなんだ?」叫びを笑いに変えて、会場を沸かせる力がある人は波にのって走っていきますよね。すごかった。

■和牛

敗者復活から、衝撃は「敗者復活と同じネタか・・・」それに尽きるような気がする、間違いなく面白かったネタ。敗者復活で見たときは優勝できるネタだと思った。毎年このレベルのネタを作るってこと自体が事件性のあること。毎年期待を越えるために、自分たちの作ってきた去年の完璧に新しいナニカを加えて魅了してくれる。冷静に考えれば、1回優勝することよりも難しいことをやっているコンビなんです。
今までもよく、今年も良かったのは、よく声の通る演技力・テンポ・後半に盛り上げてくれるネタ構成。
今年完成させてくれた新しさは、「舞台を縦につかって笑いを取る」「川西さんがボケに回ってくる意外性」。
縦に使うことって新しいし、テンドンとしてはとても見ていてフレッシュでした。また普通はしゃべくり漫才じゃないと難しいツッコミ役が急にボケに回るっていう行為をコント漫才で見せてくれた。和牛という人たちに新しい漫才を作らせるM-1ってすごい大会ですわ。

■見取り図

見取り図で上がれないんですよ。今年レベル高い。とても進化していた。
元々、見取り図の面白さは、ぼそっとしたボケで伏線を埋めて、ハイトーンツッコミで回収するスタイル。そのツッコミのワードセンスとか、伏線の回収具合で大きな笑いを生んでいるパターン。反面、笑いを取るまでの間隔が長くなってしまうデメリットもあると。今年は全然違った。ワードセンスの良さをそのままに、ボケ数を多く、テンポや掛け合いの量が桁違いだった。
埋めるべき伏線の部分をうまく「見た目」に持っていって、笑いをとるまでのスピード問題を解消。テーマもわかりやすい喧嘩のスタイルになることで、ボケ・ツッコミの掛け合いや数が多くなっていた。まだまだ進化する二人を見てみたいです。

■からし蓮根

コント漫才では、ナンバーワンだと思う。周りが新鮮味のあるシステムで勝負してくる中で、王道のTheコント漫才で勝負。漫才ではボケかツッコミで笑いを取る量が傾く傾向があることが多いが、からし蓮根はバランスが優れていて、どちらでも笑いがとれる。今回もTHE王道。1個1個のボケ単体の面白さでいうとTOPレベルだと思った。急に外に飛び出すところ、6時半、最後バックで逃げるところ。。。記憶にのこるボケでした。
逆に1個1個に関連性が薄く、笑いをとったものをつなげて次に繋げる連動性が低かったのかなと思う。まだまだ進化するはず!!!

■オズワルド

ミルクボーイの後は、やりづらかっただろうにと、TOPぐらい難しい出番だったと思います。こちらもツッコミのワードを生かした笑いの爆発が得意なコンビ。やはり近年はツッコミ回収型のコンビが人気で、ウケ量も多い傾向があるなと思います。最初にしっかり自己紹介から入って、一番静かになってから話はじめたコンビだなと思いました。空気感を自分たちのものにしきってから、始めるのがThe東京スタイルという感じで印象的でした。ポイズンガールバンドとか、おぎやはぎとかもそんな感じですよね。
ツッコミが基本、切れすぎない、優しいスタイルで中盤まで行くのが面白くって、突っ込みきらずに「疑問系」でやっていくのがとても秀逸。時代を感じます。昨日もいたかじゃない?1ターン聞き逃した?とかめちゃ面白かった。一番は、どこに縦回転の回転寿司があるんだよってところ。

■すゑひろがりず

過去最高の大会になった要因の1つが、すゑひろがりずの出番順ですかね。
一旦全然違う空気感にしてくれる、雰囲気の違いで、飽きずに見られたと思いました。フレーズを古語でいうって普通におもしろくて、それの一つの完成形な気がします。トータルテンボスの「やんごとねぇ」とか、1つのボケのレベルで利用されることは多かったけど、真面目にそれを中心に据えてやりきっているのがいいなと。古語を使うっていう展開に少し中盤、客が既に飽きてちょっと中だるみの時間は合った気がする、ただ最後に関白だーれだで大きく盛り上がりポイントを作っていて印象は最高でした。
毎年M-1の3回戦で見ることが多かったんですが、爆発的にウケていて、まだまだネタはある二人です。個人的には、はじめてのおつかいのネタが好きです。

■インディアンス

ハイスピード漫才の最前線。今回は何かがおかしかった?緊張してたのか?
実力の半分も出てなかった気がする。テンポと間がもっちゃりしていて。。。
インディアンスの凄さは、ボケ数だけではない。小さいボケをずっと羅列しつづけることで、会場のクスクス笑いをずっと常に取り続ける、それが小さい間になっていき大きい爆発を生む、
元々、テンポの早いスタイルの漫才は女性ウケは高く、人気がずっと出る!来年さらに進化して優勝ねらって売れてほしい。

■ニューヨーク

トップバッターは毎年難しい。とはいえ、凄い良い空気を作ったコンビでした。ただ、TOPはやりにくいコンビなのも確か。なぜかというと、絶妙に口悪いから。女の子を敵にするぐらいのツッコミの口の悪さなんですよね、だからツッコミのワードで男的には爆笑できるんですが、会場の笑いがついてこない感じで、歌が走りきってしまう感じになってました。
逆にそこは、本当はいいところで、男はちょうど好きな、世の中のちょっと痛いところみたいなあるあるをバッサリ切っていくところ。それを歌にしてしまって、ウケをとるのはすばらしい。歌やのに、掛け合う感じもすごいなと、「百万回をどこに入れてるねん」っていうの。
ボケとしては、1曲の中で複数の女愛さないってところと、「れいせーい」ってところがめちゃよかった。

■敗者復活戦で思ったこと

人気とウケ量が拮抗していたのが、ミキ。進化を見せたのは、亜生さんの方のツッコミ系の言葉使い。元々テンポがいいコンビかつ、昴生さんのほうがツッコミボケなので、どっちがどっちかわからんようになるぐらいのほうが集大成なのかなと。決勝もあるぐらいでした。

人気量がないけれども、ウケが凄かったのは、天竺鼠!
ラストイヤーでもうM-1で見れないなんて、悲しすぎる。大笑いをとるスピートは決勝メンバー含めてもNo1の力がある。内容も構成なんてぶっ飛ばしてとにかく、急に最大瞬間風速を吹かせる。
ロジックで説明できない笑いを作れるちからってすごいなって思います。

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