摂食障害で得たものと失ったもの

摂食障害になってはや10年超。ずっと、完治したらまとめたものを書きたいと思っていた。

完治とまではいかないが、ほぼ治ったといってもよい状態になってきたのでここらでひとつまとめてみたい。


さて、タイトルに"得たもの"と"失ったもの"と書いたが、得たものは正直なにもない。自身のメンタルが保てた、という点ではよかったとのかもしれない。

■失ったもの
・お金:ざっくり年間200万円×10で2000万くらい
・時間:仕事とちょっとした旅等以外はすべて過食嘔吐のために時間を使っていた。計算するだけでぞっとする。
・健康:直接的な原因として何かなっているわけではないが、過食嘔吐しても太っていったし、たまに普通に食べるとかなり太る。幸いにも逆流性食道炎等にはなっていないが疲れやすくなった(加齢もあるだろう)し、毛細血管の切れる感じがかなりする。

人間が生きていくための大事な柱をがっつり3本失いまくってきた10年だった。

この10年以上どういった生活をしてきたかというと、大学生のころから過食嘔吐との付き合いをはじめ、学生時代のバイト代のほぼすべてを過食嘔吐に次ぎこんだ。大学生なのに食費が月8-10万は当たり前。もちろん一人だ。社会人になってもずっと同じ。食費はさらに上がった。

家に帰る途中でスーパーやコンビニによっては目についたものをすべて買っていく。コンビニは毎週火曜日が新商品発売なのだ。パンやおにぎり、麺類等をメインにコンビニの商品で食べたことのないものはなかった(嫌いなものは除く)

そして家で一人、ひたすら詰め込んでいく。水分摂取も欠かせない。あとでちゃんと吐けるように。

当時は食べて→吐くこのサイクルを1R(ラウンド)と呼んでいた。

多い時には1日10Rくらいしていた。気持ち悪くて、頭も痛くて、涙が出て、苦しくて、それでもやめられなくて毎日毎日、繰り返していた。

やめようと思って1日我慢できて、「やった、この調子」と思っても次の日にはまた反動でずっと食べて吐いてしまう。

どうして止められないのかわからなかった。

休みの日は一人でカフェをめぐって食べて食べて詰め込んではどこかで吐いた。

病院に行く勇気はなかった。ネットでいろいろ調べてみると幼少期の家庭環境に問題のある人がよくなる、だとかそういった記事も見た。

自分は地方出身で、その中では恵まれた環境で愛されて育った自信があるし、両親も兄弟も大好きだ。いったいなんでこうなってしまったのか、まったくわからなかった。

自分の趣味みたいになってしまっていた??貯金もできず、時間も浪費して、美味しいとも思えず、こんな趣味があってたまるか。

そうこうして何年もやっているうちに感じるようになったのは食べているときより吐くときの方が気持ち良いということ。

自分のだめなところ、いやなこと、なにかわからないもやもや、将来への不安、そんなもんが全部まとまって口からでていくようなそんな感じ。

吐くために食べている、そんな感じで数年過ごした。2chのカショオスレによく今日のメニューを書いたりもしていた。

ちなみによくネット等では過食嘔吐の人は手に吐きダコがあるからすぐわかる、とかガリガリだから、、等あるが私の場合はお腹に力を入れればすぐ吐けるし、時間もかからないから普通の人がトイレで用を足すのと同じくらいの時間で吐くことができたし最初こそは痩せていたが、体が危機感をもったのか少し食べてもどんどん太っていったので見た目にはめちゃくそに健康そうな感じだ。

なので周りの誰かに気づかれる、心配されるということは一切なかったし自分としてはそこは絶対避けたいものだった。

必然的に友人との飲食を伴う時間は避けるようになった。少しでも食べてしまうと吐かないと気が済まないし普通の食事ができないからだ。

それでも飲み会は飲みすぎて吐く人もいるので違和感なくトイレにいき吐くことができたので問題なく参加してきた。

彼氏がいたこともあるが特にバレることもなく生活できていた。外出先であれば男女で必ずトイレの場所は違うからだ。(当たり前であるが)

普通に大学を卒業し、問題なく就職し、普通に働いて、、、ということをしながらもうこのまま一生これと付き合っていくのかもしれないな、ということを考えることも増えた。

これまたネットで治った人の体験談を読んでいるといつのまにか治った、結婚して子供産んだらそんな暇はなくなった、そもそも体力的にもう無理になった、というものが多かった。

なるほどね、ほんならもう結婚するか、もう体力的に限界になるまで付き合ってやろうじゃないの、という気持ちだった。

相変わらず病院に行く気はなかった。摂食障害で病院に行くことは自分の変なプライドが許さなかったし、病院に行って治る気がしなかった。

否、治そうという気持ちがなかったのかもしれない。

そんなこんなで会社でも吐き続けるような生活を続けていた自分にも結婚という転機が訪れた。

結婚したからといってすぐ治るわけはもちろんないのだが、常に家に人がいる、ということから回数が必然的に減った。

でも自分しか家にいない、というときはここぞとばかりにいろいろ買ってきて食べて吐いて、ゴミを片付けて、、何もなかったかのように、ということも何度もやっていた。

それでも毎日何Rもしていた過食嘔吐の回数は週に1Rくらいまで減っていた。そして、たまに一人のときがあると、「わーーやっと吐ける」と思っていろいろ買いにいくのだが、実際食べても美味しくないし、吐いても苦しくて「一体自分は何をやっているんだろう」と毎回思うようになった。

そこからは早かった。もう今は基本的には過食嘔吐をしなくなった。

でもたまに、2-3か月に1回くらい無性に過食嘔吐をしたくなることがあって、やってしまう。そして、やっぱりこんなことしてもなんもならん、もうやらんぞ、と思う。そう思えることにまた安堵する。

過食嘔吐をするようになってもう10年以上、こんなにあっけなく、過食嘔吐をしなくても生活ができるようになるんだ、と呆気にとられつつも嬉しい。

これまで無駄にしてきてしまった時間やお金、そして健康もできる範囲で取り戻したいと思っている。

過食嘔吐をしていたころと今とでよく思うのは菓子パン/総菜パン(袋にはいってるやつ)って美味しくないなと感じるようになった。あれだけ大好きだったのに。

もし、今過食嘔吐がやめられなくて悩んでいる人がいたら、病院に行くもしくは、行けない、行きたくない人は、時が解決するのをまってもいいのかなと思います。(もちろん他人に迷惑をかけるような状況になっているのであれば即病院に行ってください)

※何か質問等あればコメントにて受け付けます。回答できる範囲で回答いたします。

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