「Wake Up, Girls! 新章」第3話を見て

この秋からテレビ東京系にて放送が始まった、
「Wake Up, Girls! 新章」。
アニメが好きな人達の間でのこの作品の話題の中心は、
「山本寛監督をスタッフから外して新章がスタートしたこと」
だったりするわけですが、
その辺りはご本人を含めてもっと詳しい人にお任せしまして。
今週放送された第3話に、
色々と気になる部分がありました。
全体的に見えてくるのが、
作品に流れるアイドル観の若干の「古さ」です。
例えばファッション誌のモデルを務めるメンバーの写真を見た女子高生が、
本職のモデルと比較してスタイルをあれこれ言うシーン。
本人も自分の至らなさに悩んでいたところに、
男性向けのグラビアのオファー。
勇気を持って水着になったら、
メンバー達に「こっちの方がいいよ」と言われる…
という展開になっていたのですが。
今、ファッション誌のモデルをやっているアイドルってたくさんいます。
乃木坂や欅坂の皆さんや、
夢みるアドレセンスの志田友美さんだったり。
女性読者からも偏見なく支持されてますし、
TGCなどはアイドルなしでは成り立たなくなってます。
「モデルよりもアイドルの方が格下」
「アイドルは水着グラビアの方が似合う」
みたいな風潮はもはやないですよね。
逆に乃木坂のメンバーは水着グラビアをやらない…
なんてことにもなっているわけですし。
次に、ミュージカルのオーディションを受けたメンバーが、
その壁になすすべなく跳ね返されるシーンも出てきます。
これも根底にあるのは、
「アイドルにミュージカルは難しい」
という認識だと思うんですけど、
今、舞台に出ているアイドルってめちゃくちゃ多いですよね。
例えば乃木坂の生田さんのように、
トップレベルのミュージカルのオーディションを勝ち抜いている人もいます。
厳しい演劇の世界においても、
アイドルの評価は変わりつつあります。
この2つの事例を見ても感じるのが、
「板垣伸監督は現実のアイドル界をどこまで知った上で作っているのか?」
ということなんですね。
それを紐解くヒントとなるのが、
放送前に公開されたこちらのインタビューです。
http://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1507947149
板垣監督はこの中で次のように語られています。
「“アイドル”という象徴に対して、
僕があまり感情移入してこない人生を歩んできた。
だからこそ、監督を務めるにあたって、
これまで以上に想像力を膨らませる必要がある。
ということですね。」
アイドルに感情移入してこなかったことが、
必ずしもマイナスになるとは限りません。
知らないからこそ先入観なしに描けたりもします。
しかし、気になってしまうのが、
「想像力を膨らませる」
の部分です。
アイドル界をリアルに描くのであれば、
「想像」だけでは駄目だと思うんですね。
今のシーンをメジャーからローカルな人まで徹底的に見ないと、
現実とはかけ離れた物になってしまう。
作品を視聴していて感じるのが、
この部分がちょっと足りてないところなんです。
第3話では情報番組や写真撮影に挑んだメンバーが、
「アイドルらしさ」を要求されます。
そのイメージに悩み続けて、
答えを出していくわけですが…。
ここに描かれる「アイドル」像が、
現実とズレている気がするんです。
欅坂46を見てもわかる通り、
アイドルのイメージは変わりつつあります。
「アイドルらしくないアイドル」が、
シーンの先頭を走っています。
平手さんの男装グラビアなどは象徴的なわけですが。
WUG新章の中でのアイドル観って、
「AKBが一般層にも浸透し始めた時代」
で止まってる感じがするんですよね。
例えばこれがギャグアニメなら、
その感じでもいいんです。
重要なのはそこじゃないので。
でもWUGは徹底的に、
「今までのアイドルアニメが掘り下げなかったリアル」
を描いてきた作品ですよね。
それならちゃんと新章においても、
前作から歳月が経ったなりの時代の変化を取り入れるべきだと思うんです。
先程紹介したインタビューでは現実世界とのリンクとして、
「アイドルブームの終焉」
が挙げられていますが…。
何ていうか、強調すべきリアルはそこじゃないかなあって感じで。
深くリサーチしてないからこそ、
その視点だけに留まってるような気もして。
今後の展開がどうなるかはわからないですけど、
アイドルが好きな人達が、
「そうそう、今のアイドルってこうだよね」
と納得できるようなストーリーがもっと見られればいいなあとは思っています。





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