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漫才「親知らず」

ツッコミ「どうもー、よろしくお願いしまーす。」
ボケ「お前、何か顔色悪くない?」
ツッコミ「いやー、親知らずが痛くてさ。
食事するのもちょっと大変で…。」
ボケ「あー、それは抜かないと駄目だね。」
ツッコミ「え、お前経験あるの?」
ボケ「そうだね、14歳の時に…。」
ツッコミ「え、早いね。」
ボケ「でも大変なのは抜いてからだよ。」
ツッコミ「え、知りたい。教えてくれよ。」
ボケ「まず家からは追い出されるよね。」
ツッコミ「親知らずってそういうことか!」
ボケ「最低限の生活費だけ渡されて、ボロアパートで独り暮らしよ。
『あんた、若いのに大変ねー。』
って、大家さんから声かけられて、
『いや、実は親知らずで…。』
って、言ったら強く抱きしめられて、
『これからは私が親代わりよ!』
って。」
ツッコミ「良い大家さん!会ってみたいなー。」
ボケ「それで隣りに挨拶に行ったら、
『そうか、俺も同じ理由だ。』
って、口を開けて跡を見せられて。」
ツッコミ「その人いくつ?」
ボケ「確かその時、32かな?」
ツッコミ「え、遅いね!」
ボケ「まあ、個人差あるしね。
親にも色々言われたらしいよ。
『あんた、いつになったら抜くの!?』
『抜かない息子なんて恥だわ!』
って。
ある日夜中にふと目が開いたら、母親がペンチ持って立ってたって。」
ツッコミ「怖いな…そうはなりたくないな。」
ボケ「ああ、知られざる日本の闇だよ。」
ツッコミ「それでその人は今どうしてるの?」
ボケ「何か実家に帰ったらしくて。」
ツッコミ「え、本当に!?」
ボケ「付け親知らず。」
ツッコミ「それなら一生抜けないもんな。」
ボケ「抜けない期間が長すぎたんだな。」
ツッコミ「ちゃんと仕事をしてりゃいいけど…。
それでお前はいつまでそのアパートにいたの?」
ボケ「うん、高3の3学期の途中。」
ツッコミ「えっ!?卒業寸前なのに!?」
ボケ「また親知らずが痛くなってさ…。」
ツッコミ「そうか!1本だけじゃないし!」
ボケ「でもしばらくはごまかしてたけど、大家さんに見抜かれちゃって。」
ツッコミ「まあ、やっぱりそうなっちゃうよね。」
ボケ「2人で一緒に泣き明かしたよ。
『ごめんね…私もずっと一緒にいたいけど、何せ私は親代わりだから…。』
って。」
ツッコミ「うわ、切ないねー!」
ボケ「その後抜いてアパートを出て、そこから今の生活ってわけだ。」
ツッコミ「でもそれがなかったら俺とも出会ってないし。
運命ってのは不思議なもんだねー!」
ボケ「ああ、ここでまたターニングポイントが来たよ。」
ツッコミ「え!?何でだよ、変なこと言うなよ。」
ボケ「実は…俺もまた親知らずが…。」
ツッコミ「え、そうなの!?」
ボケ「ほら、見てくれよ。」
ツッコミ「今の我々の親代わりといえば…。」
ボケ「まあ、そういうことだ。」
ツッコミ「あー!そっかー!」
ボケ「ということで俺達。」
2人「我が事務所を独立します!」
ツッコミ「正式にはいつ?」
ボケ「逆に仏滅!」


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