ドキドキ!プリキュアについて【12】

「ちょっとぉ! あたしが登場したあたりから、Noteが全然更新されてないじゃない!」

「飽きたのよ、きっと……」

「まあまあ六花、そんな身も蓋も無い言い方しなくても」

「ダメ人間の亮太さんにしては、むしろよく続いたほうですわ」

「このままうやむやにして終わらせるつもりなんじゃ?」

「一度はじめたことは最後までやり遂げなさい!!」


はいはい。お久しぶりです。娘に尻を叩かれたのでNote再開します。

ていうか別にサボッていたわけじゃないんですよー。


16話から22話までのシークエンスはレジーナを中心としたエピソードです。

その9でも触れた通り、レジーナはお話をかき回す我が儘でお転婆なお姫様として登場させるつもりでした。ところが、トランプ王国の設定と組み合わせた時に物語は予想外の化学変化を起こしました。

「王国を滅ぼした敵の娘を許せるか否か」

これは非常に重く、厄介なテーマです。

現実に置き換えると「殺人を犯した男の家族と友達になれるか」みたいな話です。容易に結論なんか出せるものではないし、何よりニチアサの枠の中で語るべきドラマではありません。かと言ってキャラクターの感情を捻じ曲げるのは避けたかったので、我々は検討を重ねました。

16話で成田さんが出した結論は「とにかく自分の気持ちを相手にぶつけること」でした。キュアソードにとって、レジーナは絶対に許せない存在だし、そのレジーナと友達として受け入れようとするマナの感情は到底理解できません。普通なら喧嘩別れになりそうなところですが、ソードは自分の気持ちを伝えたうえで、マナたちと行動をともにする道を選びます。主義主張が違う人と付き合いを続けるのは、成熟した大人でも難しいことだと思いますが、プリキュアを観て育った子供たちが寛容な世界を築いてくれることを願いつつ……。

当初は、真琴とマナの感情の行き違いは尺を使わないと描き切れないと考えていましたが、16話の落としどころが鮮やかだったので、17話は再びロイヤルクリスタルを巡るエピソードになっています。発注の段階では、舞台は彫刻の美術館ではなくありすのお屋敷で、ありすの父・星児もここで登場させる予定でした。多分、新規に説明しなければならない事が多くなるので省いたのだと思います。

ジョー岡田がトランプ王国の騎士だったことが明らかになるあのシーン、うちの娘はあの鎧姿を見て思わず息を飲んでいましたよ(笑)。

「王女さまは〇〇が好きだったわ」シリーズ、最後を飾る18話は機関車です。ネタとしては少女漫画から完全に逸脱していますが、プリキュアなら許されるだろうと思い、敢えて組み込んでいます。

田中仁くんは、この話のために栃木県の真岡鉄道まで自主シナハンに出掛けたそうです。週末毎にSLが走るこの路線、春になると沿線に菜の花が咲き乱れます。お近くの方は是非。

19話は、毎度おなじみの(?)ゲーム回。ジコチュー側がそれぞれ自分勝手なので自滅するお話なんだけど、なぜかジコチュートリオのファミリー感が出た話でもあります。

20話は、雪山で遭難する二人という発想がまずあって、そこに話を無理やりはめ込んで貰った形です。この頃はまだ、ドラマにリアリティを保つラインを探ろうとして、雪山の場所を国内にしたり、移動もヘリで行ける高度までにしたりと、細かいところで苦労しています(後半まで行くとさらっと宇宙まで行っちゃったりしますけどね)。

21話は、これまで何度か繰り返し描写してきたマナの博愛描写……身の危険を顧みず相手を助けるという行動の集大成として設定しました。芥川龍之介の「蜘蛛の糸」は主人公がジコチューだったがために亡者とともに地獄に落ちますが、マナは落ちることすら許さない、まさに鋼のメンタリティです。

本読みの現場では、キングジコチューは「娘に依存してしまうダメな父親、しかもDV」という見解で一致していました。続く22話で手のひらを返して甘い言葉でレジーナに許しを請う姿は、まさにそれです。愛などいらぬと言いつつも、娘なしでは生きて行けないのです。

それと、ツイッター上でチラッと書きましたが、マナがレジーナを家に連れて来たくだりの家族のやり取り。

「また人助けというわけか」「マナのそういうところ、誰に似たのかしら」「本当にねえ」

というのは、マナのお婆ちゃんのことを指しています。劇場公開前なので、判る筈はないのですが、その姿は見えなくともそこに存在していた「匂い」は感じて欲しいから、敢えて入れて貰っています。

また、マナの部屋でレジーナが「幸せの王子」の絵本を読んで貰うシーンを入れたいと思っていたのですが、これは後の32話(亜久里が幸せの王子のあらすじを知って衝撃を受ける)と42話(マナに絵本を読んで貰ったことを覚えている)に分離して採用されました。

さあ、ラストまで頑張るぞー。

それでは、また。

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