【ネタバレなし】サンダンス映画祭、ベルリン国際映画祭W受賞作『WE ARE LITTLE ZOMBIES』を観ました

ゾンビ映画ではありません、はい。

両親を亡くしたのに泣けない、そんな主人公の少年少女たちが、
心の無い自分たちをゾンビになぞらえて
生きてるか死んでるかわからないけどとりあえず生きていくお話。

観たのは一月くらい前なんですが、正直ここまで心に残った邦画はあまりありません。

とりあえずこれを見て片鱗を味わってください。youtubeにあがっている架空のMV。


【観たことない魅力】

多くのところで「今まで観たことのないタイプの映画」と言われているようです。

色づかい、音楽、カットが特徴的なせいもあると思いますが、

多くの人が斬新に感じている要因は「主人公の少年少女が夢も希望もはじめから持ってない」という設定と、それが根幹になったストーリーにあるのではないでしょうか。

しかも絶望しているわけでもない。両親が死んでも泣けないくらいに感情が希薄なんです。

普通は無感情、無感動をドラマにしないんじゃないでしょうか。だってドラマチックにならなそうじゃないですか。感情無いんだもん。

なのに、ものすごくドラマチックでした。

生きてるか、死んでるかわからない。
新しい生死の描き方。生死をテーマにしていてそれが新しいならそりゃ心に残るでしょ。

【舞台挨拶にて】

この日は上映後、長久允監督の舞台挨拶がありました。

この映画を作ろうと思ったきっかけとなったのが、ネット経由の指示に従うミッションゲームによって自殺者が出たニュースだそうです。

インターネットネイティブ世代にはこの世の中がどう見えているのかわかりませんが、

改元もあったこの年、監督から次の世代に向けて「希望や夢が持てなくても、生きる選択だけは捨てないでおこうよ」というメッセージがこの映画に込められている気がします。

もちろんこうした普遍のテーマは、生きることの無情さを感じている大人にも刺さる。

【ヒロイン・中島セナさんの存在感】

僕は芸能関係に疎いオッサンなので知りませんでしたが、飛ぶ鳥を落とす勢いの人気モデルさんなんですってね。

監督の舞台挨拶では、演技なんかしたくなかった当時のセナさんを、3ヶ月間かけて文通で(!)口説き落として出演してもらったのだとか。

冷めた13歳のヒロイン。

確かにこの人しかいないと思える存在感でした。

【音楽について】

自称音楽クリエイターとしては、作品を通して散りばめらたファミコンサウンド(チップチューン?)が、無感情さと感情の間を行き来している感じがして絶妙でした。

また、劇場に入って暗転するまでの間、
記事冒頭に載せたテーマ曲が流れ続けており「変な曲流れてんな〜」と思ってたんですが、
映画が終わる頃にはすっかり頭から離れなくなっていました。

ボーカルのピッチのズレもさることながら、ドラムの絶妙な下手さ加減なんなんだろうね。
映画中に流れるMVはモーレツに痺れた!


以上、すっかり虜になってしまった映画のレビューでした。



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