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パリッコ/スズキナオ『ご自由にお持ちくださいを見つけるまで家に帰れない一日』好評発売中!

 そもそも「酒」という嗜好品が、世の中にとっては無駄、余剰な存在であると言える。そして、それについての原稿ばかりを主に書いているふたりのライターが、「酒の穴」なる珍妙なユニットを名乗り、誰に頼まれたわけでもない取材を、ひたすらくり返してきた。本書はその記録であり、はっきり言って、こんなにもこの世にあってもなくても大勢に影響のない奇書はない。けれども、僕らは心の底から、無駄、余剰を愛している。だって、無駄や余剰のない世の中ほど息苦しいものはない。      

パリッコ「はじめに」より

 ひとつ確かなのは、「酒の穴」の記事のなかの私は、いつもなんだか楽しそうだということである。上機嫌で、ずいぶん調子がいいように見えるのだ。やったことはないけど、自分が居酒屋で酒を飲んでいるところを録画した映像をあとで見返したら、きっとこんなふうに見えるのかもしれない。いつもより幸せのギアが一段階上に入っている感じ。この本を読み返すたびに私は、「なんだか楽しそうな日々を過ごしているじゃないか!」と、自分の人生もなかなか捨てたものじゃないと思えるだろう。

スズキナオ「おわりに」より

一期一会、偶然の世界。だからこそ、「ご自由にお持ちください」にはロマンがある。
「デイリーポータルZ」の人気企画を厳選し書籍化。

パリッコ/スズキナオ『ご自由にお持ちくださいを見つけるまで家に帰れない一日』(スタンド・ブックス)


〈ただ、酒を飲むだけ〉のユニット「酒の穴」のパリッコとスズキナオによる、上機嫌な対話エッセイ集。「展望飲み」「冷やしアメリカ」「ニセ正月」「弁当将棋」……、いつもより幸せのギアを一段階上に入れて、〈無駄と余剰〉の可能性を追求する全26編。

パリッコ/スズキナオ(著)『ご自由にお持ちくださいを見つけるまで家に帰れない一日』
スタンド・ブックス ISBN:978-4-909048-14-1 C0095 四六変型判並製  372ページ 税込1,980円
2022年9月29日発売 (電子書籍版あり)
装画・章扉イラスト:INA / デザイン:戸塚泰雄(nu)

目次

はじめに  パリッコ
第1章 歩くきっかけさえあればなんでもいいんです――対決
ご自由にお持ちくださいを見つけるまで家に帰れない一日
サイゼリヤでメニュー名だけを頼りに1500円分注文する遊びが楽しかった
砂町銀座商店街で作る商店街おつまみ弁当対決
「桜上水」と「桃山台」で桜色と桃色を探す旅
ひとつの弁当から好きなおかずを取りあう「弁当将棋」
第2章 一生聞く機会もないはずだった言葉がどんどん降ってくる――無駄
冷やしアメリカはじめました
「ニセ正月」で年中正月気分
あなたの「5、6個コレクション」見せてください
新しく考えた「スガシカオゲーム」をやってみよう
来年の「酒カレンダー」を作ろう
あえて10年前っぽい感じで過ごしてみる一日
第3章 お店の長い歴史からすればほんの一瞬のことにすぎないけど忘れられない思い出がある――酒場
天国に一番近い酒場「たぬきや」跡地で飲む
「川の駅 あづま家」を目指し妙典の街をふらり旅
小さな悩みは消滅! 東京「展望飲み」めぐり
東京と大阪、それぞれの酒場「酒の穴」で飲む
閉店してしまった木場の名店「河本」その後の話
第4章 日常に突然ぱーっと希望の光が差し込んだ感じ――実験
カニカマがカニに肉薄! 「昆布酒漬け」大検証
小瓶スパイスをふりかけるだけのスパイスサワーが楽しい
実は単品で買える! ナゲットソースで色々食べてみる
定番なのに食べずに生きてきた「素通り食品」の美味しさ
いつもの自分“じゃないほう”を選ぶご近所散歩
第5章 歩いてると予想してなかったものがパッパッと現れる――放浪
桜の季節にだけ現れる幻の茶屋を探しに
徒歩で5時間「北極」を追いつめる旅
徒歩で5時間「南極」を追いつめる旅
雪見酒がしたくて秩父のほうへ
冬の海を見に行くだけの旅
おわりに  スズキナオ


飲酒ユニット【酒の穴】(パリッコ・スズキナオ)

パリッコ : 1978年東京生まれ。酒場ライター、漫画家/イラストレーター、DJ/トラックメイカー、他。酒好きが高じ、2000年代後半より酒と酒場に関する記事の執筆を始める。著書に『ノスタルジーはスーパーマーケットの2階にある』『酒場っ子』他多数。
スズキナオ :1979年東京生まれ、大阪在住のフリーライター。『デイリーポータルZ』、
『集英社新書プラス』『小説新潮』などを中心に執筆中。著書に『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』『遅く起きた日曜日にいつもの自分じゃないほうを選ぶ』他多数。
帯コメントは、Bose(スチャダラパー)さん、日比麻音子(TBSアナウンサー)さんです!



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