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1週間の夏休み

医師になってから研修医のときを除いて、夏休みを1週間必ず取っている。

夏休みに限らず、長期休暇を積極的に取るようにしている。

さぼりたがりであることは確かながら、それ以外に理由がある。

ワーカーホリック予防

ワーカーホリック=仕事中毒。

仕事ばかりしていて、仕事以外のことが考えられなくなる状態のことである。

ワーカーホリック予防の最良の方法は、自分がいなくても仕事は回る、という当たり前の事実を確認することである。

長期休暇を取り休暇中は、基本的に職場からは連絡をしないようにお願いをしておく。

これを定期的に行えば完全に予防できる。

今はお盆の期間に休む人が増えたとはいえ、お盆は自分以外の人も休んでいるため、ワーカーホリック予防には不十分である。

自分以外の人は働いていて、自分がいなくても仕事は回るという状態が重要なのである。

医療のシステムを整える

医師である自分がいなくても、ある程度のレベル以上の医療が提供できるということは重要である。

それは主治医がいなくても、基本的な治療の方向性をもとに、本人の現在の状況を見て看護師をはじめとする職員が、自分たちで考え自分たちで判断し治療に当たるというシステムが必要になる。

普段の業務の中で意識して行い、定期的な自分の長期の休みの中で実践されていく。

その作業が重要となっていく。

ということで定期的に長期休暇を取るようにしている。

ただ新型コロナがまん延するようになってからは長期休暇を取っても、出かけることもなかなかできず、家でゴロゴロしていることが多いのは残念である。

素直な利用者

夏休みを取っている間に一番影響を受けるのは当然ながら入院患者である。

外来患者は「この日 外来休みなので○日か○日に来てください」と伝えれば終わる。

勘のいい人は「夏休みですか?」と気がつくものの、多くの人は気がつかない(うすうす気がついても言わないのかもしれない)。

入院患者は診察する曜日が概ね決まっているとはいえ、他の曜日も病棟をうろうろとしているのでさすがに1週間居ないと気がつくし、事前に話をしておかないと精神的に不安定になってスタッフや他の医師に迷惑が掛かってしまう。

そのため全員に「来週夏休みでいません」と宣言をする。

「えーーー!」とあからさまに嫌そうな顔をする人。

「そうですか」と興味なさそうな人。

その人それぞれではあるものの、ほとんどの人は「ゆっくり休んできてくださいね」「気を付けていってきてくださいね」と優しい声をかけてくれる。

そしてほとんどの人は、自分が休み中は困ったことがあっても、しつこく訴えたりせず我慢して待っていてくれる。

非常に素直な人たちである。

そういう人たちに感謝。

入院している人たちは病気のため症状がある、そしてその症状は”普通の人”には理解しづらい。

しかし頭がおかしくなった人ではなく、素直な心を持っている人であることを知ってほしい(もちろん性格の悪い人もいる)。

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