見出し画像

精神科病院が救急車を呼ぶとき

まれに病院が救急車を呼ぶことがある。

精神科病院の場合、身体疾患が悪化し、精神科病院では対応が無理で、一般科の病院に転院が必要なときである。

先日 身体的に急変した人を助ける処置をしていると、家族から「早く救急車を呼んでください」と何度も言われた。

気持ちは理解するものの・・・

すぐには救急車は呼べない。

看護師や医師は救急隊員より医療技術が高い(はず)

医療的な知識や技術は、
医師>看護師>救急隊員 
ということになっている。

行うことができる治療も、挿管や気管切開など医師だけに限定されているものが多い。

本当は蘇生技術に関しては
救急部の医師>救急部の看護師>救命救急士>普通の医師
かもしれないが

建前上は
医師>看護師>救急隊員
となっている。

そのため病院が救急車を呼ぶと、当然の結果として「私たちよりそちらの方が詳しいでしょう・・・」「私たちを呼ばれても・・・」ということになる。

転送(転院)先は病院が探さないといけない

普通の人が救急車を呼ぶと、救急隊員が転送先を一生懸命探してくれるものの、病院から転送の場合は、転送先は病院が見つけなくてはいけない。

転送先を見つけるというのはかなり大変な作業である。

もちろん脳出血、心筋梗塞などの対応できる病院がある程度明確な疾患の場合、転送先を見つけることは比較的簡単である(その病院に断られると大変困る)。

そうではなく、ある程度の規模の病院なら対応できる疾患の場合、転送先を見つけることはなかなか難しい。

一般の人からの救急車の対応で忙しいのに、他病院に入院中の人の対応まではしたくない。

特に精神科に入院中の人の対応はしたくない。

という心理がどうしても働いてしまう。

また急変時の転送先を見つけるのは医師でないといけないことが多い。

医師以外では状況を正確に伝えることは難しく、医師が直接「この病院では対応できなので 助けてください」ということを伝える必要がある。

対応できる医師が複数いる場合、蘇生をしながら転院先を探すことができるものの、精神科ではそんなことはまずほとんどない。

結果的に一段落つくまで蘇生を続け、その後 転送先を見つける、という流れになる。

ということで精神科病院ではしっかりとした身体的治療は難しいものの、すぐに救急車を呼ぶのも難しいという、なかなか一般の人からすると理解しがたい状況になってしまっている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?