明石ガクト 編・最終章完結から1年。あの人に聞いてみた「ゲーム・オブ・スローンズ」の魅力


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ベストエピソードは“第一章 第2話「王の道」”

たぶんこの第一章(シーズン1)第2話「王の道」をベストエピソードとして挙げる人は他にいないかも。「ゲーム・オブ・スローンズ」シリーズはいろいろなキャラクターが出てきますが、デナーリスが一番キャラクターの変化が大きいですよね。

デナーリスは現代女性の強さを象徴していて、後半になればなるほど彼女には誰も勝てないんじゃないか?という風になっていくんですが、このエピソード「王の道」のデナーリスは本当にか弱い。ファンの間でも有名ですが、デナーリスが嫁いで新婚初夜、男女の営みの中、苦痛にゆがむ顔をするんですね。観ているこちらも、「デナーリス、可哀想!」と思うんですけど、後半になればなるほど、「あのデナーリスはなんだったのか…」と思いました。夏休みが終わると「あの娘、急に雰囲気違うんじゃない?」と感じる事ありますよね?アレのもっとキツイやつ笑。あれが凝縮されているのがこの第一章(シーズン1)第2話「王の道」ですね。

デナーリスを演じているエミリア・クラークは当時、演劇学校出たてのほぼ新人の状態でこの作品に抜擢され、いきなり激しめなラブシーンの撮影に緊張していたそうです。それを知った相手役の、滅茶苦茶マッチョで髭面のカール・ドロゴ(ジェイソン・モモア)が股間にピンクのフワフワのついたソックスを付けて撮影場所に来たそうです。心温まるエピソードですよね(笑)。 エミリアへ気を遣うモモアの裏話を思い浮かべながら、あの第2話のSEXシーンを観てほしいです!(余談ですが学生時代、レッド・ホット・チリ・ペッパーズが全裸で股間にソックスをつけたライブパフォーマンスを真似て僕自身も大学の屋上で裸になって股間にソックスだけしてトマトを投げ合う、みたいな映像を撮ったことがあります。笑)

「ゲーム・オブ・スローンズ」にハマったきっかけ

フロム・ソフトウェアが製作する「デモンズ・ソウル」「ダーク・ソウル」みたいなファンタジーの世界で剣で切り合うゲームがもともと好きで、中々この雰囲気に浸らせてくれる映像コンテンツが無いなと思っていたところに、映画の枠組みを超える作品があるという話を聞いて、このドラマを見始めました。第一章(シーズン1)を観たときはキャラクターも多くて覚えられなくてストーリーを追うのに疲れたこともありましたが、第一章の終盤でとんでもないことが起きるわけです。普通こうはならないだろう、と。そのとんでもないシーンを見て、一気にハマりました。

好きなキャラクターはティリオン

やっぱりティリオンが一番好きで、僕はいま自粛期間で髭を伸ばしているんですが、イメージは追放されて逃亡生活が始まったティリオンです。

「ゲーム・オブ・スローンズ」の世界は、ファンタジーだし中世の世界がモチーフになっているから、道徳も倫理もない世界なんですよ。そんな世界に唯一現代人的な理性やリベラルな価値観を持っているのがティリオン。誰しも生まれながらにハンディキャップを持っていて目に見えるもの見えないものがあると思いますが、ティリオンは自分が生まれた意味を見つけていくんですよね。第一章(シーズン1)の頃のティリオンは酒に飲んだくれて女を追いかけ回す存在だったんだけど、劇中いくつかの苦難の旅を経て人間とは?国とは?を突き詰め、こうあるべきという方向を見つけ、向かっていくんです。

物語において英雄が生まれていく法則は神話の時代から変わってなくて、キャラクターがどこかに旅立っていろいろな苦難に立ち向かいそして帰還する、「ゲーム・オブ・スローンズ」に登場する100人近いキャラクターがそのドラマを演じています。ティリオンが経験した苦難の旅が、経営者の自分として一番共感できるし、人間が生まれもった運命に抗う力をティリオンが教えてくれた気がして大好きですね。

ビジネスマンにおすすめの「ゲーム・オブ・スローンズ」

世の中って不合理でそれを見せずに巧妙にオブラートに包んで見せなくしていると思うんです。でも仕事していると何か月も温めて考え抜いた企画が、偉い人の一声で通らないことがあったりと不合理さに直面したとき、それにどう立ち向かっていくか。「ゲーム・オブ・スローンズ」はまさに抗う人たちのドラマだと思うんです。

自分が置かれた環境が何であれ、予期せぬことが起きたとしても、自分がやるべきこと、成し遂げなければならないことを見失わないで闘い続ける根気を貰えると思うんです。仕事で凹むことがあっても「ゲーム・オブ・スローンズ」を見れば、文明社会に生きてて良かったと思うはず。1話見ただけで100回くらい思うはずです。

動画プロデューサーとして受けた影響

主に僕はスマートフォン向けの動画を作っています。このドラマは自宅の大きな画面でテレビで見て感じるものだから、飛距離が有り過ぎて参考にできるところはないのが正直なところです。が、強いて言えば、この作品が世界的な現象になっている理由は、やはり映像表現の裏側に明確な意思やメッセージを感じ取れるからだと思うんです。物語のクライマックスでとても綺麗な街並みが破壊されるところがあって、どこかで本当の街が破壊されているんじゃないかと錯覚してしまうくらい、明確な意思やを持って作られているのが分かります。演出意図を持って映像を作る大切さは勉強になりました

若い世代にも見てほしい「ゲーム・オブ・スローンズ」

今の若い世代は長い映像作品を見る機会が少ないし、耐えられない人が増えているけど、例えば3分で食べられるカップラーメンと、2時間かけて食べるコース料理、それぞれの美味しさを知ることが大人だと思うんです。だから、騙されたと思って試しに一話を見てほしい。そうすれば、YouTubeとは違った楽しみ方ができる、という新しい発見があると思います。

長く見続けるコツとしては、「ゲーム・オブ・スローンズ」好きの友達を作ることですね。☆Taku Takahashiさんとも「ゲーム・オブ・スローンズ」繋がりで知り合ったくらいです。一緒に「ゲーム・オブ・スローンズ」のボードゲームをやりました。僕はm-flow世代なので、まさか高校の時憧れていたアーティストと「ゲーム・オブ・スローンズ」を通して友達になるとは信じられないですね。

終盤に向かう楽しみとは

「ゲーム・オブ・スローンズ」を最後まで見続けると途方もない達成感に包まれます。実は見始めたとき彼女と見ていたんですよ。見終わるころには結婚して子供が2人いて4人家族になってました。そのくらい長い時間をかけて見ることができる骨太なドラマは世界に「ゲーム・オブ・スローンズ」しかないと思います。見始めたときと見終わったときのそれぞれのキャラクターの成長が本当に凄くあるんですが、見ている僕自身の成長もあるし、一緒に見ていた彼女もいつの間にかお母さんになっていたり、そうやって腰を据えて見るコンテンツの素晴らしさがあると思います。

おすすめのHBOドラマは「チェルノブイリ」

HBOドラマの中でもおすすめは「チェルノブイリ」ですね。日本でも原発の事故が起こって来年で10年の節目の年になっていく中、過去に起こった事件ですが、現実世界とのリンクが凄くて、そこで起きたことは終わってしまった事故に思えない。監督が『ブレイキング・バッド』のヨハン・レンクなんです。ドラマ好きは避けては通れない作品だと思います。

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