☆Taku Takahashi(m-flo)編・最終章完結から1年。あの人に聞いてみた「ゲーム・オブ・スローンズ」の魅力

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この章(シーズン6)は面白いエピソードが多く、おそらく人気投票なら第9話「落とし子の戦い」が1位にくるとは思いますが、僕としては第10話の方が好きです。カタルシスがいっぱい詰まっていますし、溜めがすごくいいんですよね。全章の中で、冒頭に最もセリフが少ないエピソードで、音楽と共に、ここから裁判が始まりますよ、というところから溜めて溜めて、さあどうなるのか!?の流れが素晴らしいです。

サーセイのことは嫌いなんですけど、不思議なもので、嫌でムカつくキャラなのに、彼女がピンチになればなるほどハラハラしちゃうんです。結果的にこのエピソードでは彼女、本当にひどいことするんですよ。人がいっぱいいる教会を爆発させちゃうわけなんですが、第六章では苦汁を舐めていた分、爆発後のサーセイがワインを持ってにんまりしているところに、非常にカタルシスを感じを感じました。

加えて実は、丸屋九兵衛さん(万物評論家)とパブリックビューイングをした、っていう思い出もあって。そういうのも含めて、このエピソードがすごく好きです。

好きなキャラクターは、ブロンとティリオン

好きなキャラクターは沢山いて、例えばティリオンの知的な部分なんかもすごく好きです。でも、僕が一番好きなのはブロンですブランじゃなくて、ブロンです。お金で動く、という現金でドライなところがあるんですけど、一方で人情深かったりとか、薄情なようで実は友情を大事にするタイプ。しかも最終的には大出世するというところがすごく好きです。

もう1人挙げるとしたら、やっぱりティリオンです。社会の中で差別されながらコンプレックスを抱え、さらにひどい失恋もしますし、本当になかなか報われない。第一章の第2話で「兄には剣があり俺には精神がある。剣には砥石、精神には書物が必要だ。だからたくさん読む」ということを言っていて、その通り彼は知識をどんどん貯めているんですが、それすら認められないんです。

ブラックウォーターの戦いなんて、彼がいたからこそ助かったけど、評価されない。ずっと不遇な境遇にいるんですね。だから、デナーリスに王の手のバッジをもらったところで、僕はもう本当に「頑張ったねティリオン」って思いながらギャン泣きしました。とはいえ、王の手になったあとティリオンは活躍するのかなと思ったら、そうも行かない。知識だけあればうまく行くわけでもないよというのが『ゲーム・オブ・スローンズ』の面白いところでもあるんじゃないかなと思います。

第五章の反動が第六章のおもしろさの理由のひとつ

もちろんエピソードが面白いというのもあるんですが、第五章(シーズン5)の負荷がかかっている反動があると思うんですよ。第五章(シーズン5)は、みんな大変で、いじめられてたり、殺されてしまったり、すごいクリフハンガーがあったりとか…。第六章(シーズン6)では、そんな風に第五章(シーズン5)で溜めたものがドカーン!と爆発するというのが僕はすごく好きなところです。

ハマったきっかけは丸屋九兵衛さん

ハマったきっかけは丸屋九兵衛さんです。元々スタートレックが好きで丸屋九兵衛さんとすごく仲良くなったんですが、当時『ゲーム・オブ・スローンズ見た?』ってしょっちゅう言われていたんです。

そんな時にアメリカに行くことがあって、現地のスタートレック好きの友達と話していたら「お前はゲーム・オブ・スローンズを見たか?」って言われたんですよ。何度も言われるので「シーズン1は買ったけどまだ見てないんだよね」って黙らせるために嘘ついたんです。それを言ったら楽しんでねって言われると思ったら、彼に「Good luck.」って言われたんですよ。何で「Good luck.」って言われるの?と思って。それで気になって気になって、じゃあ見てみるかと思って見てみたら…。第1話はキャラが多くてよく分かんないけど、終わり方すごい、第2話はなんか重いな、展開がスピーディーに動かないしこれ面白いのかな?って思って第3話見て、よく分かんないな~でも第3話まで見たから第4話見ようと思って第5話くらいに来たら、第6話見なきゃ、第7話見なきゃ…と気づいたらハマっていくようになりました。

一番評価しているのは「無音」

『ゲーム・オブ・スローンズ』は音楽が整理されているんです。どう整理されているのかというと、例えばドスラクが出る時や、ラニスター家が出る時、スターク家が出る時とか、それぞれの場所や家のテーマがあって、音楽を聴いただけでどのシーンだって分かるくらい、しっかりと決まっている。色んな場所で物事が起こるから、それを明確にさせたいというのがあるんじゃないかなとい考えています。

そして、僕が一番評価しているのは「無音」です。しっかり音楽を出すところもあるんですけど、一方で音がないところも大事にしていて、緩急のつけ方が素晴らしいです。

無音の場面で一番評価しているのは血の結婚式(第三章(シーズン3)、第9話「キャスタミアの雨」内のエピソード)。とにかく、ものすごい終わり方をするんですよ。全編を通して毎回エンディングの音楽が違うんですが、このエピソードでは壮絶な終わり方をして、そして無音につながる。テロップしか流れない、全く音がないんです。僕もそれは最高だったよって(デイヴィッド・)ベニオフと(D・B・)ワイスにも直接伝えたんですが、あの無音は音楽の力だけではなく、無音の力、というのも証明したシーンだと思います

全話見終えるためのポイント

正直なところ、最近の海外ドラマってシーズンごとの展開が遅いんですね。昔のアクションもののアメリカのドラマは最初から展開が早くて飽きさせないというのがありましたが、最近はゆっくり、そしてしっかりキャラクターを作っていってシーズン2・3に行く傾向があります。なので、ぶっちゃけ第一章(シーズン1)が重いんですよ。

あともう一つ問題があって、キャラクターが多いんです。誰が主人公だか分からない。例えば『ゲーム・オブ・スローンズ』はエミー賞で助演で賞を選ばれることが多いんですけど、主演の賞でノミネートされることは最終章までなかったんですよ。それくらい誰が主人公か分からなくなっていて、どこに焦点を当てたらいいか分からない。

なので、押さえるポイントをしっかり押さえるのが大事だと思いっています。全部知らなくていいので、まずとにかく押さえるポイントを押さえてまず見るのが楽しみ方のひとつです。そして2周目を見るときには、この重要なキャラこんなモブキャラとして出てたの!という気付きも楽しめたりするので、まずは各シーズン5話まで我慢。プラス、なにがポイントかというのを明確にすることだと思います。攻略法をコラムに書いた記事も出しているので、よかったらチェックしてみてください。

ゲーム・オブ・スローンズはみんなと一緒にする旅

『ゲーム・オブ・スローンズ』は結末が大事なんじゃなくて、みんなと一緒にする旅なんですよ。正義を信じる人、世渡りがうまい人、すごく悪い人、それぞれみんな自分らのアジェンダや都合があって、その世界のなかで生き延びている話です。それって現代社会にも当てはまるし、会社の中にいる時も同じような状況に陥ることもあるし、ファンタジーであるなかでもリアルな世界とマッチするようなことが多いので、そういったキャラクターと一緒に旅をするというのがおすすめです。

既に観たことのある人と見るのもオススメ

僕もさんざん色んな人におすすめしてきたので、見るなら僕と見るのが一番楽しいと思います(笑)。本当に、ネタバレされない程度に知ってる人と見るのは面白いと思います。今までのドラマの方程式を変えたような、ありえないことが起こったりするので、隠しカメラを置いておいて初見の人のリアクションビデオを撮ったりしても楽しいと思います。実際YouTubeのリアクション動画は『ゲーム・オブ・スローンズ』がきっかけだったりもするんですよね。血の結婚式のシーンとかアップされていてそれがバズったりしていました。

あとは家系図があるのでそれを見ながら見るのもいいですね。ただ、たまにネタバレしている時があるので気を付けてください!

キャストやスタッフとの思い出

僕は今まで(デイヴィッド・)ベニオフと(D・B・)ワイス、ホーダー役のクリスチャン・ナイアン、ブラン役のアイザック・ヘンプステッド・ライトにインタビューしたんですけど、みんな口をそろえて言ってたのが、ギリギリまで情報が伝えられないということで、キャスト自身も演じるだけじゃなくてストーリーを楽しんでいるなというのを感じました。

ベニオフとワイスは、すごく楽しく作りたいものを作って頑張ってきたようでしたけど『ゲーム・オブ・スローンズ』は大きくなりすぎて相当なプレッシャーを感じていたんだなというのはひしひしと感じました。

次に観るべきHBO作品

HBOは面白い作品がいっぱいあるんですが、日本で見られる作品でおすすめするなら特に「ウエストワールド」です。この作品は近未来の話で、とある場所にテーマパークがあるんですが、そこではAIで動くアンドロイド達が待っています。ウエスタンをテーマにしたそのパークに人々が遊びに行って、保安官になったり、悪党になったり、色々と欲を満たすようなことが出来る大人のテーマパークなんです。そこで、アンドロイドたちが自我に目覚めるという話です。

面白いのがアンドロイドなので年を取らないから、時間軸が訳が分からない。その訳の分からなさをうまく活用して、びっくりさせるものを作ってくれる。シーズン1の1話がまず長くて重いけど、最後にびっくりさせられます。シーズン2も記憶を辿っていって、今がどの時代のシーンなのか、というのが分かりづらかったりもするんですが、それが分かっていくとすごく面白くなっていくんです。シーズン3は展開が早くてスピーディ。とにかくめちゃくちゃ面白いのでおすすめです。

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