”魔法やドラゴンを信じない人達が主役のファンタジー世界へようこそ”/「ゲーム・オブ・スローンズ」ファンが語る、最後まで見続ける理由
※スターチャンネルEX、BS10 スターチャンネルでの本作の配信・放送は終了しております※
人物の魅力から入る!
全8章にもわたる「ゲーム・オブ・スローンズ」を長く見続ける秘訣についてですが、私は好きな登場人物を見つけることで最初の難関となる1話目2話目を乗り越えました。序盤は初めて聞く専門用語ばかりで話がよく分からないですから人物の魅力から入るしかない!と。
・語彙センスから賢さが伝わってくる“小鬼”ことティリオン・ラニスター
・スタークへの横柄な態度と弟ティリオンや姉サーセイに向ける眩しい笑顔、この二面性が気になるジェイミー・ラニスター
・私生児ジョンに向ける冷たい眼差しと他所の家に嫁ぎ5人も子を産んだ強さ、この二面性が気になるキャトリン・スターク
・他の兄妹達が参加出来る宴に1人だけ参加出来ないジョン・スノウ
・兄の復権の為、異国の地で望まぬ婚姻を結ばされた元王族のデナーリス・ターガリエン
列挙した5人だけでも1話目から気になる背景を感じる事が出来ます。複雑な世界観に硬く構えず、まずは気になる人物を見つけて追いかけてみるのはいかがでしょうか。
人間同士による化学反応の宝庫
そう言われても気になる登場人物が見つからない!という方にオススメしたいのが登場人物がどの人物の前でどんな表情を見せるのか?という注目の仕方です。
「ゲーム・オブ・スローンズ」は群像劇です。本当に沢山の人が登場します。
・父親からの寵愛を一身に受けて育った名家の長男は姉や弟といる時どんな表情を見せるのか?
・戦争に敗れた名家の末っ子は自分より身分の低い人間にどんな態度を取るのか?
・嫁ぎ先を父親に決められた名家の長女は多くの選択肢がある男性達をどう見ているのか?
・家名すら持たない元貧民の政治家は玉座を巡って争い合う名家をどう見ているのか?
肩書きも様々なので力関係には上下があり、抱える悩みもそれぞれに異なっています。
前述した様にジェイミー・ラニスターは敵対する家の人間には冷たいですが自身の姉や弟の前では優しい笑顔をみせます。逆にキャトリン・スタークとサーセイ・バラシオンは敵対する家同士の人間ですが、抱える悩みが似ていて互いにシンパシーを感じています。
「ゲーム・オブ・スローンズ」はこういった人間同士による化学反応の宝庫です。ある人物にとって救いだった言葉が数シーズン先で別の人物にとっては呪いだったと判明したりもします。
しっかり観続けていくと、群像劇であるが故に物事が多面的に写されており全ての登場人物を善人・悪人とジャッジしていないと気付けるのです。
視聴者の生活の延長線上にあるゲースロの社会
また、そのような関係性から発生する登場人物の情動や悩みは現代人が体験する事とほとんど変わりません。世界観や専門用語を覚えきれていなくても、登場人物に一度でも共感出来たらもう大丈夫です。
例えば、ドスラク人の王から貢物を受け取ったデナーリスが「ありがとうと伝えて」と通訳者に頼むと「彼らにありがとうを意味する言葉はありません」と返される場面があります。架空の民族の風習は理解できなくてもデナーリスがとても危険な人達の元へ嫁がされてしまったということは伝わると思います。。
例えば、「我ら種を播かず(“農耕ではなく略奪が我々の生き方だ”の意)」というモットーの名家に生まれたシオン・グレイジョイはある出来事で自分が残酷な人間になれないと悟ります。シオンが自らの本質と属したい共同体から求められている資質の乖離に思い悩んでいることが伝わると思います。
複雑な世界設定も個人個人が抱える悩みを発露させる為の膳立てであるということです。それは女性であるが故に物事への決定権を著しく制限されていることであったり、男性同士の見栄の張り合いで収束がつかなくなる加害行動であったりします。
そして何より素晴らしいと感じたのは、このドラマの登場人物はこれもまた現代人と同じく魔法やドラゴンの存在など信じていないことです。
これらの描写から作り手達は「ゲーム・オブ・スローンズ」の社会が視聴者の生活の延長線上にあると言っている、と分かります。全73話の長さと100人を超える登場人物の多さは視聴者の共感と没入感を生むためになくてはならない数なのです。
なぜ、最終話まで見るべきなのか
最後に、何故「ゲーム・オブ・スローンズ」が最終話まで視聴するに値するのか伝えさせていただきます。
数十話に渡って見守り続け自分事のように思い入れてきた登場人物が魔法やドラゴンを目の当たりにし、その人の常識が覆される瞬間がこの作品にはやってきます。それがまるで自分自身の体験に感じられるのです!
「魔法やドラゴンは実在した!」と思いたくありませんか?
「ゲーム・オブ・スローンズ」はその願いを叶えてくれます。
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