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四麻と三麻の押し引きの違い ~手牌価値の差で考える~


突然ですが、1か月程前のはんじゃがさんのnoteに印象的なシーンがありました。



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この親リーチの河に対して

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自分はこの手牌。

一発目のツモが9mの場合にどうするか?という話です。


私は最近三麻ばかりやっていることもあり、第一感は現物の3s切り。

しかし前提となってる四麻の収支戦でもそうなのか、ホンマか?ということで少し検討してみることにしました。

と言ってもシミュレーター等で期待値や答えを出している訳ではないので、私なりの考察を踏まえた上での一定の見解、という趣旨で読んでいただければ幸いです。


◉6→安全牌→8切りリーチの9の危険度について

押し引きを考える際は切る牌の危険度も重要になりますので、まずは四麻と三麻における6→安全牌→8切りリーチの9の危険度(放銃率)についてデータ的な検証をしてみたいと思います。

私の手元にある資料ですと、三麻の方が詳しいデータが載っていますので、まずは『データで勝つ三人麻雀』からデータを抜粋させていただこうと思います。

196〜201ページに切り順と宣言牌ベースの危険度のデータがあり、それを参照すると9巡目の危険度は以下の通りとなります。

①筋19全体:4.5%
②2切りリーチの筋1(または8切りリーチの筋9)の危険度:9.7%
③4→2切りリーチ(または6→8切りリーチ)の筋1:15%以上
④無筋37全体:14.3%


まとめると

三麻における「6→8切りリーチにおける9」の危険度は無筋37に相当すると言えます。これは中々ですね。

また、6→8切りリーチで9が当たるパターンの考察や、8の前に安全牌があるかどうかの危険度の違いについては下記の動画が参考になります。


つまり、今回はただの「6→8切りリーチにおける9」ではなく、「6→安全牌→8切りリーチの9」の危険度を考えることになるので、危険度は更に高くなることが予想されます。

実戦では通ってる筋の本数や、対象となる19牌が生牌かどうかも関係しますが、平均で15%~20%程度と仮定すると無筋37~両無筋456のくらいの危険度になると考えられます。


一方、四麻についてはここまで詳細なデータはありませんが『統計学のマージャン戦術』より基礎データを抜粋すると

①筋19全体:1.8%
②2切りリーチの筋1(または8切りリーチの筋9)の危険度:5.5%


4→2切りリーチ(または6→8リーチ)の直接的なデータはありませんが、三麻同様に危険度を約1.5倍として考えると約8%強になり、これは無筋28に近い危険度となります。

更に今回のように「6→安全牌→8切りリーチの9」に限った場合であれば無筋37に近い危険度になることが予想されます。


◉三麻ならどうか?

ではまず最初に、三麻の似たような牌姿ならどうなのか?を考えてみます。


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この親リーチに対して

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一発でツモ9pのシーンを想定します(打点はリーチ4翻で同じ)。

冒頭の四麻の牌姿に比べると仕掛けられないデメリットはありますが、四麻の場合もリーチ者が上家でない限り簡単にチーは出来ないので、この点はあまり考慮しないものとします。

なお、三麻の1シャンテンの押し引きについては『データで勝つ三人麻雀』を参考にすると、以下のような分析が可能です。

初手の危険度が約10%(片無筋456程度)、テンパイ時に切る牌の危険度も約10%、自手がリャンメンx2の1シャンテンと仮定した場合、抜きドラ0の親に対して押すためには4翻~5翻を要する。


今回はテンパイ時に75%の確率で安全牌の3sを切れるものの、初手の9pの危険度が明確に高くなっています。

また、自手もリャンメン+リャンカンの1シャンテンになっていることから手牌の価値も低くなっています(=テンパイしたとしても三麻でカンチャンで追っかけるのは厳しい)。

上記は天鳳サンマの場合の目安ですが、収支戦だとしても親リーチに一発で9pを勝負するのは少し厳しいため、3sを切る(または9mのトイツ落としで回る)のが良さそうです。


◉四麻の祝儀あり収支戦ならどうか?


では最後に、冒頭のはんじゃがさんのケースについての私の見解です。

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四麻でも両面+リャンカンの1シャンテンで、親リーチに無筋28や無筋37程度の危険牌を1シャンテンで押すのは、有利とは言えません。

特に局収支だけを考えた場合はそうなので、天鳳などの順位戦であれば打3sが良いのではないかと思います(最近天鳳をやっていないので小声w)。

ただし、ピン東を代表とするような赤に祝儀がつく麻雀の場合はまた別なんだと思います。

これについての詳細なデータを持ち合わせていないので論理的な考察をすることは出来ませんが、ここは最前線でやっているプレーヤーの肌感覚が一番正しいのではないかと。

はんじゃがさん以外に、四麻の祝儀麻雀で結果を出している方の複数人に意見を聞いてみたところ、割と自信を持って9m切りと答える方が多かったです。彼らの意見や根拠は以下の通りです。


タンヤオ赤ドラでそこそこ手が良い。四麻は三麻より牌種が多く、単純に勝負手がくる頻度も低いので、このくらいなら切るかなという感覚。

ピン東などは良い意味での鈍感力が必要とも聞きます。ざっくり言うとこの手は前にでるべき手で、ここで毎回慎重に対応してしまうと収支的に厳しくなるということなんだと思います。

3sを切るとリャンメンテンパイになる確率が大幅に下がり、手牌の価値が下がる。次に生牌の役牌など微妙な牌が来てもベタオリになってしまうため、この手にとって3sは重要な牌。

これも同様に手牌価値に関わる意見です。確かに3sを切ってしまうとこの手に明るい未来はあまり見えません。親リーチに対して一発で9mを切るリスクに見合うかどうかは、そのルールでやっている人でないと分かりづらい部分があるのかもしれません。

祝儀の価値が上がるとより押し寄りになる。

これはその通りですね。今回は典型的な1例に過ぎず、より祝儀価値の高いフィールドで打っている人だと尚更そう感じるのかもしれません。

5→安全牌→8リーチの9なら止める

この切り順になるとより危険度が上がりますので、ここでバランスを取るという感覚も納得できます。5→安全牌→7リーチの場合も同様で、いずれも両無筋456より危険度が高くなります。

9mを切れるようでありたいですねw

某有名な方のコメントですw。9mくらいペロッと切れた方が押し引き的に健全、といったところでしょうか。


◉まとめ

ご意見は様々だと思いますが、いかがでしたでしょうか。

最近四麻をやってない自分としては、強者の実戦的な意見を聞いてようやくイーブンくらいの感覚になりました。

今回の正解不正解は置いておくとして、ここで9mを切れる人は押すべきタンヤオ赤ドラの1シャンテンで降りるミスをほぼしないでしょう。それは強みです。

一方、6→安全牌→8切りリーチで9の危険度が有意に上昇するといった、限定的な局面で正解を選べる人の中には素直に押せばよい他の多くのケースでも押し引き判断が引き寄りになり、少しずつ損な選択を積み重ねてしまう可能性もあるのではないかと思っています。

四麻と三麻を掛け持ちしているメンバーさんによると、三麻ばかりやっていると四麻の祝儀麻雀の場で冒頭の9mのような牌を切るのは難しくなるとも話していました。場合によってはもう少し安全に見える無筋の牌でも切りづらくなりますと。

リーチしてマンガンのリャンメン+リャンカンの1シャンテンであっても、四麻と三麻では受け取り方が違いますし、改めて麻雀の選択は手牌の価値やルール次第なんだなぁと感じた次第です。

今回は以上です。最後までお付き合いいただきありがとうございました。



参考文献
『データで勝つ三人麻雀』『統計学のマージャン戦術』



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