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BEST NGC天体(春の天体-1)

0.電視観望で見ておもしろいNGC天体

 電視観望スタイルでメシエマラソンをやってみたところ、サブスコープを使った手動導入ながらも天体がスイスイと導入できた。なかなかペースが良く、コレだとメシエ天体だけでなく、NGC天体もイケるゾと思い、いろんな「BEST NGC天体」情報を集めて、私の電視観望環境でおもしろく見られる天体をリストアップしてみました。
 リストは星図ソフト Guide で表示できる形式にしているのですが、ここでは分りやすく、星座のエリア別に並べて紹介します。
使用機材
 ・Vixen R200ss(D=200mm、fl=800mm、コマコレクター)
 ・ASI183MC+UV/IR Cut filter
 ・ASI Studio(ASI DeepStack)、Gain=高(270)、Binning=3、15秒

星図1(おおぐま座周辺)

1.きりん座 NGC2403(Caldwell 7)

 8.9等で、「渦巻き銀河」と「棒渦巻き銀河」の中間タイプの銀河。965万光年。見かけ上離れているが、M81銀河団の一員で、外縁部にある。
 エドウィン・ハッブルがケフェイド型変光星を発見し、局所銀河群以外で初めて距離が測定された銀河でもある。

NGC 2403

2.やまねこ座 NGC2683(UFO銀河)

 10.6等の渦巻き銀河。「UFO銀河」と愛称が付けられている。3000万光年の距離とされるが、1600万光年~2500万光年という説もある。
 NGC2683は球状星団が豊富で、銀河系の2倍の300個も持つ。

NGC 2683

3.おおぐま座 NGC2841(虎の目銀河)

 10.1等。渦巻き銀河だが、中心棒が無く、腕が非常にきつく巻き付いている。4600万光年の距離。若い青色の恒星が非常に多い。
 Tiger's Eye Galasy(虎の目銀河)という愛称がある。肉眼天文学者 Stephen James O’Meara が著書『Hidden Treasures(隠された宝石)』で 、同名の宝石を思わせることから名づけられたという。金褐色の細かい縞模様がトラの目の光彩を思わせる宝石で、和名は虎目石、虎眼石。

NGC 2841

4.おおぐま座 NGC 3079(Phantom Frisbee 銀河)

 10.9等の棒渦巻き銀河。5000万光年の距離にある。
 中心部付近に活発な星形成をしているバブルがあるためか、銀河が歪んだ形に見える。

NGC 3079

5.おおぐま座 NGC 3180(小回転花火銀河)

 10.4等の渦巻き銀河で、4000万光年の距離。
 おおぐま座M101(回転花火銀河)のように、銀河を上から見た(フェイスオン)、渦巻きの様子がよく分る銀河。中心核から伸びる腕の北東と南東部分に赤い濃密なHⅡ領域があって、19世紀半ばに眼視観測で発見された時には本体とは別の小天体と考えられ、NGC 3180・NGC 3181の番号が付けられている。

NGC 3184

6.おおぐま座 NGC 4088(Arp 18)

 12.0等の不規則銀河(特異銀河)。11' 南の NGC 4085 銀河と相互作用を起こしている。北東側の腕が切り離されて見える。X線天文衛星の観測から、切れた腕の部分には高輝度X線源天体(ULX、Ultra-Luminous X-ray source)が見つかっている。ULXの構造は未解明だが、太陽の数百倍~数千番の質量を持つ中質量ブラックホールとの説が有力。ULX天体は銀河系には見つかっていない。
 1° 東の NGC 4026、1° 南の NGC4100、1° 西の NGC 4157 を含めて、M109 銀河のグループに所属しているとされている。M109グループには41~58個の銀河が含まれている。

NGC 4088

7.りょうけん座 NGC 4244(C-26、Silver Needle Galaxy)

 10.2等の、真横を向いた(エッジオン)渦巻き銀河。1300万光年の距離。
 局所銀河群に近い位置にある M94銀河群の一部。M94銀河群も、銀河系の属するおとめ座団の中にある。
 「Silver Needle(銀の針)」との愛称がある。

NGC 4244

8.りょうけん座 NGC 4490(まゆ銀河、Arp 269)

  9.8等の不規則銀河。2500万光年の距離。
 北東近くにある NGC 4485 と相互作用してスターバーストしている特異銀河。りょうけん座銀河群Ⅱに属している。

NGC 4490

9.りゅう座 NGC 5907(ナイフエッジ銀河)

 10.4等の渦巻き銀河。5000万光年の距離。M102銀河の近くにあり、意外に明るい。ほぼ真横に見えるエッジオン銀河の一つで、鋭く薄い刃物を連想させることから「Knife Edge Galaxy(ナイフエッジ銀河)」と呼ばれる。
 中心核のすぐ東側、ダストレーンを隔てたところに明るい部分があり、1850年4月13日に観測した George Johnstone Stoney により NGC 5906 として記録された。
 NGC5907銀河は金属量が以上に低く、巨星がほとんど無いため、矮星で構成されているらしい。2006年にこの銀河を取り囲む複数の恒星ストリームが観測された。恒星ストリームは銀河系にも10本以上あり、矮小銀河や球状星団が引き延ばされたものと考えられている。

NGC 5907

(春-2 へ続く)


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