2019年3月7日(木)の朝。

ゲートは開いた。
最終関門のエレベーターという密封容器の中で、中国語学習CDのような音声が誰かのイヤホンから漏れ聞こえる。
今日も静かなエレベーターの中。
とりあえず遅刻することなく間に合ったという安堵。まだ職場のデスクには到着していないが、これで今日も遅刻せずに済んだ。


ホームを出てすぐ右側にある階段をひたすら駆け降りる。
急いでいる。少しでも早く前に進みたい気持ちはあるが、転んでケガをしないように細心の注意を払いながら階段を降りていく。
下手をしたら労災を申請しないといけない。また面倒なことになる。

第一関門。
コートの左ポケットに入れているIC定期券を取り出し、思い切り改札口にタッチする。
「ピッ!」と心地良い音が鳴り、無事に第一関門をクリア。
改札ゲートを抜け、すぐ目の前にあるパン屋を横目に見つつ、外へ通じる階段を上っていく。

第二関門。
無事に外に出るも、歩行者信号は不運にも赤信号。
職場への道のりは、ここから1㎞あるかないか。
都会の信号は待ち時間が長いように思う。特に大通りに面している場所は1分以上待たされる。信号に引っかかるかどうかで、タイムが大きく変わってくる。
青信号に変わって職場に向かってひたすら走るも、その先の大通りに面する信号が赤に変わった。
無理に赤信号を渡るおっさんがいた。
160〜165㎝ぐらいの背丈。大きな黒いリュックを提げて、車がこちら側へ来ていないか何度も確認している。右と左、車が来ていないことを見た上で、大通りのセンターライン近くの信号待ちスポットまで懸命に走る。
「何もそこまでしなくてもいいのに」

8時50分ぐらいになると、こんな人をチラホラ見かける。
たかが朝の15分間の出来事。
執務時間よりも緊張感と焦りがMAXになる瞬間がここにも存在する。

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