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裂き織り:裁断屑のアップサイクル

裂き織を説明するのに、いちばん分かってもらえるのはツルの恩返し。
古くからある、アレねと
なんとなくイメージしてもらえるだろうか。

あの織り機は、童話の中の遠いことのようにとらえられますが
日本の暮らしの中で、かつてとても身近なものでした。
反物も簡単に手に入らない中
使い古した手ぬぐいや布団を裂いて、細くして、織って服にしたり
こたつ布団にしたりを繰り返し、それでも古くなるとひも状にして抱っこ紐にして使い、それも古くなると火種にして最後は土に還していたとか。

日本のいわゆる「使い切る」文化が体現されたひとつでした。

では、なぜアウトドアから環境問題にアプローチしているSTATICが
裂き織をなぜやっているのか??

アパレル全般に言えることですが、生地を裁断するときにでる裁断ゴミ(ハギレ)はとても多く、全体の約3割。一般的に廃棄(産業廃棄物として焼却処分)されています。
3割って、けっこうな量です。乱暴に言うと1mの生地のうち30㎝分です。

裁断の機械にセットされた生地。パターンはデータ化されレーザーカットする(All Elevation生地)


裁断後の使われる生地1
裁断後の使われる生地2
捨てられるはずの裁断ゴミ。STATICでは裂き織にする。

なんとかこの裁断ゴミも含めて、服にするまでの全ての工程で責任を持とうとする企業として、我々が取り組み始めたのが裂き織でした。


始めてみると、その唯一無二の仕上がりとなる面白さがたまりません。
タテ糸の色を変えるだけでも無限に楽しめるし
ヨコ糸はAll ElevationのウールやForge Pantsのナイロンでも風合いの違いを楽しめる、模様をつけようと思えば如何様にも
また糸の幅を変えればモコモコした座布団やクッションのように大物もできれば、マフラーやバッグ、スリッパのような小物まで製作が可能。

(右上)ナイロン(右下)All Elevation Raw(ウール100%)(左下)Octa(左上)All Elevation(ウールと化繊の混紡)それぞれの生地の特徴で風合いの違いを楽しめる

昨年は北アルプスの水晶小屋からオーダーを受けた座布団用に裂き織を織り上げました。ヨコ幅は約40㎝と固定のため(織機の大きさによる制限)、長さ40㎝をいくつか織り上げ納品。もともとある小屋内の藍のアイテムと合わせてとのご要望でAll Elevationの青い生地を使いました。

イベントなどで販売していると、皆さんの用途はラグとして、また車のシートにと用途は様々。40㎝くらいのをパッチ状につなげてラグとしてつかって
も趣があります。今は、長野県に新たにOPENするウトドアショップさんのディスプレイとして40㎝x100㎝の大物を2つ製作中です。皆さんの目に触れる裂き織りなので、キンチョーしますね。

オーダーは随時受け付けておりますので、infoにご連絡ください。ご要望や相談に応じます。
*タテ糸は木綿を染めたもので、その時々で色が異なります。
*ヨコ糸はAll Elevationのウールもしくはパンツ用ナイロンとなります(時期により)