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社会の中心でカードゲームを語る

カードゲーム界隈を盛り上げて行く為には?

私は紙もデジタルも共にカードゲームが好きである。
なので、一般社会で語ってハズレがない※「ゴルフ」「野球」などに匹敵するぐらい「カードゲーム」が市民権を得られると良いなとよく考える。極端に言うと空気を読まずにカードを語れる時代が望ましい
※もちろん会社・業界など環境による要因は様々

特に大きな課題と感じる部分が、カードゲームに理解のある人の「あたりまえ」が知らない人の「あたりまえではない」事。見えない壁が貼られている事が多い。

よって、正面から布教する知識はまだまだ少ないので、逆に「あたりまえではない」部分のマイナスイメージを払拭する事を考えてみた。
大人目線で「カードゲーム」を他人に語る知識を頭に蓄え、無意識の負のイメージが少しでも緩和されそうな情報を書き出してみる。時間が無い人は、数字だけ斜め読みすると早く読み終わる。

1.大人の時間の使い方の理解

「そんな事に時間を…」なんて事を言われたり思われたりする事の対処として、そもそも大人の自由時間が何に使われているのかを整理する。

総務省統計局 HP引用
出典(「平成28年社会生活基本調査結果」)
https://www.stat.go.jp/data/shakai/2016/pdf/youyaku.pdf

学習・自己啓発・訓練 36.9%
ボランティア 26.0%
趣味 87.0%

※調査対象者が過去1年以内に該当の行動を行った割合

趣味に時間を割く割合は年齢が高くなるにつれおおむね減少しているが、50〜69歳でも90%弱を維持している。流石人生100年時代。

次に趣味の内訳でのトピックスは2点。1点は映画が堅調な事。もう1点は40~59歳のテレビゲーム・パソコンゲームの伸び率が高い事。ひと昔前は、パソコン=オタク、ゲーム=子供のような風潮があったが、世代がスライドしてきており、スマホの流通なども後押ししている事が窺える。

少し乱暴な理解だが、趣味の多様化及び幅広い年齢でゲームを嗜むようになっている背景から、「現代社会でカードゲームを社会人がプレイする事は世の流れに沿っている」と言っても過言ではない。

2.カードゲーム市場の理解①~紙~

「かーどげーむは子供の遊びでは?」なんて事を面と向かって言われる事はないが、たまに”ウチの息子/娘がやってる紙のお遊びの類"といったニュアンスに聞こえる事があるので、お金の面で理解を整理してみる。

一般社団法人 日本玩具協会
http://www.toys.or.jp/toukei_siryou_data.html
※出展『日本玩具協会 2018年度玩具市場規模調査結果データ』

2018玩具協会

2018年、玩具業界全体では8,398億円(前年比+105.0%)の過去最高水準を記録しており、そのうちカードゲーム&TCGが1,085億円(+123.9%)と伸び率No.1の結果となっている。(TCG=Trading Card Gameの略称。主に紙媒体のカードゲームを指す)
これは「いまかなり人気の趣味」と言っても大げさではなさそうだ。

上述調査結果のコメントでは、『TCG分野は「遊戯王OCG」「ポケモンカード」の2点が大きく寄与した』と評価されている。根拠がもう少し欲しいので、ジャンル別概算値を見てみる。
※正確なソースが無く個人でザッと集めた情報である

2018y国内TCG

先述の国内1,085億円の内、主要どころTOP10がこのような内訳となる。
※重ねてとなるがあくまで個人で集めた数字
※背景色有りは、海外記事でもよく見るTCG

ここ最近は特に、プレイした事のない私ですらポケモンカード関連のツイートをよく目にする。「子供がプレイしているので一緒に始めた」なんてお父さんお母さんの話も聞くようになった。2016〜2017年頃の売上高が1桁億円規模であったと仮定すると、伸び率+1000%~をゆうに超える壊れた結果になっている。ポケカ成長率スゴイ
どうしても紙のカードはプレイが難しく、プレイする人間・層を選ぶ事になりがちだが、ポケカ成長率の実績はこれまでカードに触れなかった層を取り込んでいる結果の裏返しである事を表しており、非常に良い傾向であると捉えられる。(因みに私は「8」のMTGを推したいが話が逸れるので割愛)

ここまでで、「 TCGは従来から人気が衰えておらず、昨今は家族の新たなコミュニケーションツールとしても人気がある」といった考え方の整理が出来る。伝える分にも角が立たない表現ではなかろうか。

3.カードゲーム市場の理解②~デジタル~

先に断っておくと、私は紙媒体/デジタル媒体どちらも肯定派である。みんな違ってみんないい。
カードゲームは紙だけではなくデジタルの世界にも展開されており、一般的にDCG(Desital Card Game)と呼ばれる。主にPCやスマホを媒体とする。
スマートフォンの普及もあり、特に幼少期からのデジタルネイティブ層から「紙!?普通にデジタルでしょ」といったニュアンスの会話を受け取る事があるので、こちらも理解を整理する。

有名タイトルは米Blizzard社のハースストーン、Cygames社のシャドウバース、国内ではSquare Enix社のドラゴンクエストライバルズ、米Wizards社のMagic:The Gathering ARENAなどが挙げられる。

恐らくデジタルの市場に関しては他にもっと詳しい記事が沢山あると思うので、大きな視点だけ確認して行く。
①サイバーエージェント2018年決算(シャドウバース関連)
②Hasbro.inc 2018年決算など(MTG ARENA関連)

①サイバーエージェント/2018年アニュアルレポート
https://www.cyberagent.co.jp/ir/library/annual/
2018年 ゲーム事業売上高 1,465億円(+4.5%)
内、Cygames社 全体売上高 966.44億円
②Hasbro.inc Full YearReport
https://hasbro.gcs-web.com/news-releases/news-release-details/hasbro-reports-full-year-and-fourth-quarter-2018-financial
HasbroGaming :2018年 $787.7mil(約847.25億円)
Entertaiment, Licensing&Digital:
    2019Q2(QvsQ) +$21mil(約22.6億円)
    2019Q1(QvsQ) +$18mil(約19.3億円)
    2018Q1(QvsQ) +$11mil(約11.8億円)

①のサイバーエージェント社は言わずと知れたCygames社の親会社。Cygames社はグランブルーファンタジーなどの有名タイトルは勿論、DCGであるシャドウバースも手がける。 966.44億円はあくまで会社全体の売上高であり、有名タイトルが多数あるため上限値を知る事しか出来ないが、キャップが約1,000億円であるという事がここから理解できる。

②の米Hasbro社は、Magic:The Gathering(MTG)を手がけるWizards社の親会社。2017年あたりからセグメント(売上などを纏める事業の単位)が変わっており数字が読み取り辛いが、ゲーム部門の847.25億円の主役がMTGおよびMonopolyであるため、この金額がおおよそのキャップである事を把握できる。この金額はTCGの市場規模の金額である。前項で8位30億円であったMTGだが、グローバルで見るとまた拡張された市場規模の認識と発展する事が認識できる。
※Hasbro社にはFranchiseBrandsというセグメントもあり、そこにもMTGに関する売上が含まれているため、厳密にはキャップはまだ大きくなる

この項で確認したいDCGの要素は後半部分で、2019Q1から注記が増えた、Entertaiment, Licensing&Disitalセグメントである。2018年までは無かった「Disital」の文言が増えており、これはMTG ARENAを指すと考えられる。
細かい話を抜きにすると恐らく、MTG ARENAの売上は40~80億円/年と見込まれる。逆算は少し難しいが国内では1桁億円/年とも見えるが、リリース時期から見ると、今後TCG同等の規模に発展する事が期待できる。
※但し、開発費、保守運用、維持管理は見えておらず原価部分が不明瞭。今回の整理で利益は別の話。

ここまでで、「DCGもTCGと同様に盛り上がっており、規模的にも両者負けず劣らずである。両者それぞれの良いところがあるので、自分に合う方を選べる時代になっている」といった考え方の整理が出来る。丸い考え方として、「棲み分け」という表現を意識するのも良いのではないだろうか。

4.スポーツ市場の理解と比較

ここまで出てきた数字はおおよそ約1,000億円の数字である。この数字、恐らく大体の人はピンとこない。少なくとも私は相変わらずピンと来ない。ドヤ顔で語るにも情報が足りない。むしろ大恥をかきそうだ。
冒頭で挙げた「ゴルフ」「野球」と比較する情報が頭にインプットする事で、客観的な判断の感性を養いたい。よって、他の畑を確認してみる。

①出展『三菱UFJリサーチ&コンサルティング 2018年スポーツマーケティング基礎調査』
https://www.murc.jp/docs/2018form.pdf
スポーツ全体(国内):約25,000億円
内訳:観戦7,471億円、用品6,471億円、施設利用10,839億円
②各種HP調べ(諸説様々のため個人集計の上限/下限を記載)
ゴルフ(国内):10,000億円~13,500億円
野球(国内):1,000億円~1,400億円
サッカー(国内):700億円~900億円

"スポーツ"と"ゲーム"の比較は水掛け論になるのでしないとして、ここでは個別のスポーツを理解していきたい。

先ず全体的にはスポーツを「する」より「みる」ほうが盛り上がっている。個別には野球ファンが減少しサッカーが増加、差が縮まっている。片や個人で楽しめるウォーキング/ジョギングが人気である。
市場規模としてはやはりゴルフは郡を抜いている。土日に会社の付き合いで諭吉が数枚飛んで行くのも頷ける金額だ。
野球などの微減は昔に比べ娯楽の幅が広がっている事が要因として考えられるが、微減に留まっているのは日本で根強い人気がある事の裏返しであると考えられる。しかしながら、カードゲーム市場とほぼ同じ規模となってきているのは驚きである。

比較結果のポイントは、「カードゲームは野球やサッカーに並ぶ趣味と言っても過言ではない」という理解ではないだろうか。人気があるないの会話に発展するようであれば、一つの会話材料として理解しておくとおもしろい。

5.総括

数字にしてみると良い値であり、カードゲームを知らない人から見て
『意外とTCG/DCGって人気なんだね。やってみようかな!』
と思ってくれる人が出てきても良さそうに見える結果であった。
何かマイナスイメージを持っていそうな人がいれば、やんわりと遠回りに伝えてもらう材料にしてもらえると幸いである。

TCGは敷居が高いように思いがちだが、だいたいのカードショップでは初心者講習会などの催しが開催されている事が多いので、是非実際の「カード」を触って人気の理由を味わってみてもらいたい。SNSなどでの募集も頻繁にあり、初心者歓迎の会も多々あるので興味があれば是非検索して見て欲しい。

DCGは逆で、初回プレイ無料でチュートリアルもしっかりしているため、先ずはインストールするだけで良い。気になるようであればインストールボタンを押して起動してみよう。

『DCG経験ありTCG未経験』やその逆、又は両方未経験の片。もし少しでも興味があれば、是非今の「人気」に相乗りして頂きたい。

…eスポーツの理解、ゲーム市場の理解、TCGvsDCG、MTG安モダンを楽しむなど、今後も何かしら布教に繋がる情報をアウトプットしていきます。

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