後回しにしない潔さ


海外のレコーディングエンジニアと仕事をして学んだことの一つが、「レコーディングもライブ感覚で作業をする」ということ。
つまり、その「瞬間の感覚的なもの」を大事にするんです。

その影響もあって、個人的には何パターンか録っておいて、どのトラックを採用するかミックスの時に判断するとか、ギターのエフェクトを後でかけるみたいなことは苦手です。

音色や音質、エフェクトのキャラクターやタイミングなどが決まらないままレコーディングが進んでいくことになるので、ダビングをするにも「とりあえず感」が拭えないわけで、軸がない感じがして嫌なんです。

最終的にこういうふうにしたいというイメージがあれば、その瞬間のひらめきで、OKなのかNGなのかは判断できます。
その一つ一つの判断を後回しにするのは、安全な感じがするかもですが、逆に判断材料が多くなることで作業に時間を要するようになるし、出たとこ勝負の「いいね!」という感じが薄まるんですよね。

まぁこれはあくまでも好みの範疇なんですけど、音楽って基本はライブだと思うんです。
何が飛び出すかわからない面白さっていうか、その緊張感も含めてレコーディングに反映できればいいですね。

これは動画も似たところがあって、とりあえず撮影しておくというのは保険がきくように思いますが、後で確認する作業は膨大な時間がかかります。
最終的にこんなふうにしたいというイメージがあれば、どんな絵を録りたいのかは明確だし、これは録らなくていいという判断もできます。

モノづくりというのはイメージが大切で、やっているうちにイメージがまとまるということもありますが、やはり誰かが「こういうものを作りたい」というところから始まるものです。
そしてライブ感覚で組み上げていくことが、いいモノを作るコツなんじゃないかと思いますね。


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