エンドゲームより８ヶ月後の世界を描いた今作。感覚的にはフェーズ４へ移るまでの幕間の３.５といった感じでしょうか。消えた人達は戻ってきた、その代償として失ったものも余りに多い。数年たっても消えない爪痕は、時にピーターの心を苛み、影を落とします。なら映画は暗い話なの？と問われれば断じてノープログレム！とりあえず予告だけでも見てほしい。そして本編見た人はそのまま読んでもらえれば嬉しいです。

思春期真っ盛りの高校生をスパイダースーツで包んだら"ファーフロムホーム"になりました！って感じの映画なので是非劇場で観てほしいなと。

前書き

悲しさや寂しさは消えないし、世界平和も大事だけど、今はそれより気になるあの娘と夏休みの旅行の計画で頭が一杯だ！だから今だけは、世界のピンチは他のスーパーヒーローに任せたっていいじゃない？だって自分は"親愛なる隣人"だもの。世界を救うスーパーヒーローより、目の届く範囲で皆を護るご当地ヒーローでいさせて。 だってこの旅行で告白して恋仲になって、それからそれからetc・・・劇場のスクリーンから、そんな淡い期待に胸を膨らませる高校生の思春期特有のドキドキわくわく感が伝わってくる。この辺はトムホ演じるピーターだからこそ持ち味が出せる”おしゃべり蜘蛛野郎”感が最高なので観てほしいwしかし、前作といい今作といいこのピーターちと惚れっぽ過ぎないかｗそして旅行ってのは行く前にあれこれ計画している時が一番楽しかったりしません？いや分かりますよ本番も楽しいけれど計画を練る楽しさはまた格別なんです。妄想に期待を膨らませたりね、そして現実はいつも非情であるｗそこもキッチリ描いてくれてる映画だから！

ネクストアイアンマンという重荷

託されたものと、受け継いだもの。でもその重さと意味を知るにはまだ未熟すぎたピーター。自分が今やりたい事とやらなきゃいけない事は同時には出来ない。けれど、世間やフューリーはこっちの事情なんかお構い無しに選択を迫ってくる。まるで「お前がネクストアイアンマンか？どうなんだ」と問われるように。本当は分かってる、誰かがやらなきゃいけないことぐらい 。

そんな時、突如現れた異世界ヒーロー、ミステリオ。どこか哀愁が漂い、髭が似合うナイスミドル。同じヒーローとして、時にピーターの苦悩を理解してくれるメンターでもある。やりたい事とやらなきゃいけない事、そんな矛盾を抱えながら戦っているのは君だけじゃないと彼の考えを責めるわけでもなく諭すように。私も君に一緒に戦ってほしい気持ちと、もう止めておけという気持ちが両方あると打ち明けられ、そんな所がどこかトニーに似ている気さえする。だから彼に傾倒し、頼ってしまうのは仕方ないといえば仕方ないのかもしれない。ピーターが指針にしていたヒーローはアイアンマンであるトニーだったのだから。それほどまでに「ネスクトアイアンマン」の重圧は大きかったし、覚悟も認識も足りてなかった。トニーの残した遺産がヴィランに悪用された事で初めて”大きな力には大きな責任が伴う”というスパイダーマン作品で掲げられてるテーマが如実になってくるわけです。

創作（つく）られたヒーロー像

いやー、本当に上手いなぁ！マーベル・シネマティック・ユニバース。『エンドゲーム』の後、人々やピーターの心に空いた穴を埋めるように現れたヒーローと見せかけて、その皮を被ったヴィランとかさ、騙すタイミングも申し分ない。ピーターから目的の物を手に入れると同時に、隠した本性をさらけ出してバーで酒盛りしつつネタばらしする様の何とも楽しげなこと。自分が描いたシナリオ通りに進める手腕や話術は、ヴィランより演出家の方が向いてるんじゃないか？ｗ今思えばトニーっぽい髭も騙し演出の一環だよな。紳士ぶった顔を脱ぎ捨てたクソ野郎感を演じるジェイクさんも楽しそうでなによりですwやってる事は居なくなった偉大なヒーローに成り代るという小物感丸出しの小悪党なのに、チーム"ミステリオ"という個体では無く群体で動く悪意といったら・・・迷惑という意味では、これ程厄介なヴィランも居ないんじゃないか。

”人は信じたいものだけを信じる”という心理を突いた巧妙な計画

『エンドゲーム』で人々にマルチバース（多次元宇宙）の意識を植え付けたからこそ実現可能な壮大なヒーロー詐欺。観客騙すのに予告ＣＭも一役買ってます。一体何人の人が騙されたのか気になるところ。原作知ってる人はミステリオ＝ヴィランと知っていても原作と映画は別物だったりするから「この多次元宇宙から来たミステリオが味方なる世界線なのか？」と、どのみち騙されそうになる。人々がアイアンマンを継ぐ存在を求めたからこそ騙されるまでの一連の仕込み演出が絶妙すぎて拍手を送りたい。地球を滅ぼすエレメンタルズという存在も、それと戦い続ける異世界ヒーローも全てがフィクションだったとか酷くない？この金魚鉢め！と思ってたら米国でも金魚鉢と呼ばれててワロスｗミステリオは自分の死すら欺き陥れる為のツールにするとかマジで最高に性質が悪い。

名乗りを上げるヒーローと素性を隠すヒーロー

『アイアンマン』で「私がアイアンマンだ」と名乗りを上げたトニーと今作で「スパイダーマンの正体はピーターだ」とばらされたピーター。どちらも民衆の関心が最も高まっているタイミングでのカミングアウトだけど、前者は最高で後者は最悪だ。この場合の最高というのは最高に格好良いって意味です。

基本的には後者ヒーローが圧倒的に多いイメージ。素性知られると家族や友達に危険が及ぶのを防ぐ為だったり、組織でなく個人で活動してるヒーローだとどうしても後者にならざるを得ない。何よりプライベートがなくなってしまうの辛くない？確かに本名の名乗りを上げるのは格好良いけど、どうしてもデメリットの方が多くないか？と思ってしまう。例えば『アイアンマン3』『カミングホーム』『ファー･フロム･ホーム』とトニーに個人的に恨み持ってる人が敵になるわけだし、ってか恨まれ過ぎだろｗｗｗスタークさん敵多過ぎ問題ｗ

なので前者は下手すると守るべき民衆にすら逆恨みされて、敵意持たれるパターンもある訳だ。次回作でピーターがその立場に追い込まれた時どう動くのか気になるところ。ハッピーやヒューリーがバックアップしてくれるとは思うけど、世間の批判や悪評は多感な時期の高校生には辛いぞ。ってか学校通えないじゃん、どうするんだろ。

こうなると非常に面倒くさい展開になるので話術と交渉術に長けたヒーローとか『ＭＩＢ』のピカッてやる道具を誰か早くｗ

至るところに仕掛けた愛のあるオマージュ

個人的に好きなのが、ハッピーがキャプテン・アメリカのフォームを真似て盾を投擲するシーン。一般人は無理だ！ってなるのは初めから分かってたけどなぜやったし！ｗｗｗこういうネタ挟んでくるＭＣＵ大好き。

あとピーターが機内ラボでスパイダースーツ作るシーン。その後姿にアイアンマンスーツ作るトニーが重なって見えてしまい、ハッピーじゃなくても泣くだろそんな演出、最高かよ！ってなりました。

それから『エンドゲーム』でパワーアップした分のインフレどうするのかと思っていたら、アイアンスパイダースーツを旅行先へ持っていかなかかったり、精神的ショックでスパイダーセンスが使えない等きっちり下方修正されてたのが個人的には良かったと思います。

そしてフェーズ４へ

いよいよ現在のヒーローから次世代ヒーロー達への世代交代が行われるのか？続投するのか？これが気になって凄くワクワクしてます。

例えばキャプテン・アメリカは老スティーブが後進のサムへ盾を継承する事で２代目キャプテン・アメリカとなったように。

今回は「ネクストアイアンマン」という誰がその代わりの役目を担うのか？って話でしたが可能性としては今後、正式な２代目アイアンマンだってあるかもしれません。原作でいうところのアイアンハートの立ち位置。あくまで科学的な専門知識有していそうな人で考えてみます。

1.ピーター。スパイディ兼アイアンマン（アイアンスパイダー）　兼業は流石に過労死しそうなので継ぐならマイルスを２代目スパイディにしてからになるのかな

2.モーガン。時が経ち１５歳くらいに成長したトニーの愛娘。奥さんのスーツ作ってあったように娘スーツも設計してそうではある。トニーの遺産としてはありえそう。親バカなので娘スーツはＡＩトニー搭載。事あるごとに3000回愛してると言ってくるのでうざがられてる

3.ハーレー。『アイアンマン3』で工房に残した情報を元に独自のアイアンマンスーツ作ってたら面白いな。ポテトレールガンとか装備も独特そう

4.シュリ。『ブラックパンサー』の妹。知識年齢人種的には一番アイアンハートに近い。ヴィヴラニウムで構築されたアイアンマンスーツもロマンなので見てみたい気もする

個人的には2～４のどれかでみてみたいなと。

ん？自分も託されてみたいって？それなら良いアイテムがありますぜ

これでドローン操れたら楽しいだろうなと思ってしまったｗそれか購入して万が一、不慮の事故や病気で自分が亡くなった場合に遺産の中に「君に託す」という手紙も添えてマーベル好きのフォロワーの手にランダムで渡る様にするのも面白いかもという悪戯を閃いた、え？駄目ｗ？

まぁ冗談はさておき、まだこれから先もマーベルヒーロー達の行く末を見ないと行けないのでそんな予定は皆無なんですけどね

次回作はよｗ