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第73号『タイムパラドクスゴーストライターの話をしよう』

「もしもタイムマシンがあったら・・・何をしますか?」

今の知識を持ったまま過去からやり直したいですか?

未来の知識を先に仕入れて大金持ちになりたいですか?

なんて、SF好きなら一度はこの手の質問を受けた事があるはずです。

聞かれた際は「来週の少年ジャンプを買いに行く」と答えてます。これは本心であると同時に少しお茶を濁してます。詳しくは下記にて

今日はタイムトラベルものの話とそれを題材にした漫画の話を書いていきますのでよろしければお付き合い下さい。

タイムトラベル(タイムリープ含む)・・・体験できるものなら一度は体験してみたいですよね。過去の偉人に会えるなら後世に伝わっている事は本当かどうか聴いてみたいし、未来ではあるSF映画の様に車は空を飛ぶ日は来るのか?とか確認してみたいしそういう欲求があるのも事実です。

それと同時に、これは私的な意見なんですがタイムマシンが仮に在ったとして、使用しても幸せになれるか?と問われればノーと答えると思います。むしろ不幸になる可能性の方が高い気がします。

それはなぜか?

例えば”大きな失敗”をしたとします。

この時考えてる感情は決まって、あの時こうしてい”たら”とか、前もってああしてい”れば”とかの「たら」「れば」になると思います。

でも、この「たら」「れば」って後悔であると同時に精神安定剤にもなっている筈なんです。少なくともそれが出来ていれば失敗しなかったと思えるわけですから。

けれど、タイムマシンで過去に戻ってその「たら」「れば」を試しても結果が変わらず失敗を回避できなかったとしたら?そんな未来を突きつけられて精神保てると思います?

それに端的に未来をみればそれは”大きな失敗”なのかもしれません。けれど長い目で未来を見ればその失敗は将来ある事を成し遂げる為に必要な1ピースの可能性だってあるわけです。

なまじ中途半端に未来なんか知ってしまったら、心配の種が多すぎて修正するにしたってキリがなくなると思いませんか?

そんな心労抱えるぐらいなら、未来なんて知らなくて良い。

「運命は決まっていない」「未来は何時だって白紙だ」

好きなタイムトラベルものの影響をもろに受けていますがそういう台詞を言いたいのです。そして勿論「それが運命石の扉(シュタインズゲート)の選択だ」という決め台詞も。全部解った人は今度タイムトラベルもの肴に飲みませんか?

さてタイムトラベルものが好き過ぎて、前置きが長くなってしまったけれど、今日紹介したい漫画はこちら『タイムパラドクスゴーストライター』です。

上記から今なら3話まで読めますので、初めての方は是非。

炎上について思った事

最初3話は叩かれまくって炎上騒ぎになったけれど、少し待ってほしい。

まぁ、10年後のジャンプに掲載してある新連載を結果的にパクってしまった訳だから「ゴーストライターじゃなくて盗作漫画家じゃん!」という意見も分かる。けれど、これはミスリードであり、同時に伏線であると思っています。だから主人公も苦悩してる訳で。詳しくは下記にて。

そしてタイムマシンものの主人公は物語の序盤で何かしらの過ちを犯しちゃうものなんですよ。そもそもタイムマシンなんて産物が眉唾だし、半信半疑だったり、軽い気持ちだったり、切っ掛けはどうあれそれが後に大変な事になる訳です。そこがタイムトラベルものの面白さの妙というか肝だと思っているので。

『バックトゥザフューチャー』も『シュタインズゲート』だって主人公が切っ掛けで結果とんでもない事になる訳だし、そこはタイムトラベルものあるあるというか、ある意味タイムトラベル作品の定石みたいなものです。

タイムマシンについて

タイムマシンが電子レンジで『シュタインズゲート』のパクリだって叩く意見は賛同できないかな。

例えば雷が落ちて家電製品が偶然タイムマシンに、という設定の場合。独身生活を送っている主人公のアパートにあるタイマー付きで物を出し入れ出来る家電なんて電子レンジか洗濯機の2択くらいしか無いわけです。

そして「電子レンジ」+「タイムマシン」は『シュタインズゲート』で既にあるし、「洗濯機」+「タイムマシン」も『バブルへGO!! タイムマシンはドラム式』で既にあるので逆にタイムマシンが被らない方が珍しいぐらい多くのSF作品が作られています。それだけ愛されてるジャンルでもあるのです。

この二択なら前者を選択せざるをえないのかなと。後者は少年ジャンプが水浸しで読めた物ではなくなってしまうので。そこは消去法で電子レンジしかないんですよ。

本編について

「タイムマシン」+「漫画家」という事で”持たざる者”の漫画家にスポットを当てた話になると思っていました。才能のない漫画家がタイムマシンの力を借りて大成する話なのか?この漫画を読んだ殆どの人がそう思っていたからこそ「それは違うだろ!」と炎上騒ぎになったのだと思います。

週刊少年ジャンプにおいて”持たざる者”の主人公は珍しくありません。

連載中の漫画でいえば『ブラック・クローバー』や『マッシュル―MASHLE―』なんかもそうです。勿論これにプラスαが加わる訳ですが、それがこの作品の場合は「10年後の少年ジャンプ」だった訳です。

【何故送られて来たのが10年後の少年ジャンプなのか?】

結果には必ず原因があります。そして、何故主人公は10年後のジャンプ作品の中から【ホワイトナイト】を選んだのか?

ちょうど新連載だったから?もっと面白い中堅漫画もあった筈なのに?だからこれにはきっと意味があるはずです。

そして6話で一気に物語りの方向性が見え、面白くなってきた『タイムパラドクスゴーストライター』。

だから、せめてそこまでは読んでほしい。あと今打ち切りになると多くの伏線が回収されないまま終わってしまう可能性もあるのでなんとか続いてほしいのです。

たとえばこの何気ない1話のこのカット

時計が十二支時辰でおまけに逆になっている点が気になりますが、この時間にも何かしらの意味があるのかも?と思ってしまいます。短針は亥、長針は申の1分前を指している様に見えます。換算すると23時39分かな?

そして6話で10年後の未来から少年ジャンプが届かなくなった事から不安を煽り、次の7話で未来からジャンプが送られてこなかった理由が本来の作者であるアイノイツキが亡くなったという事が明かされました。うん、面白くなって来た。つまり、ここまでがプロローグだった訳です。

アニメなら主題歌ぶっ込むタイミングです。

自分は漫画を読む時は、来週はどんな展開になるんだろう?と先の展開まで読む癖があります。それも週刊少年ジャンプの楽しみ方のひとつだと思っています。

今後どんな展開になっていくのか自分なりの考察と脚本を書いて見ましょうか。ゴーストライターを更にゴーストライターする訳です。ちょっと面白そうでしょ?

まず世界観のおさらいから

【過去改変の解釈について】

タイムトラベルを扱った作品は過去改変を行った場合の解釈が分かれます。

主人公の仮説通りなら、選択肢により複数の未来が存在する平行世界線のパターン。『ドラゴンボール』『シュタインズゲート』等が該当します。

仮にアイノイツキが【ホワイトナイト】で漫画家デビューした10年後の未来を世界線αだとしましょう。そして主人公が【ホワイトナイト】で漫画家デビューした現代を世界線βとします。

本来なら主人公の世界も世界線αをなぞる筈が、タイムマシンから10年後の少年ジャンプが送られて来たことで本来はありえない未来へ分岐して世界線βへ移行したと考えられます。

そして世界線βの世界での獲得目標は”死ぬ筈だったアイノイツキの死を回避して救う事”これが漫画の本筋になるわけです。

7話を読んで「こっちのルートだったか、やられたぜ。」ってなりましたね。

最初は他のタイムトラベル作品でいえば『君といた未来のために 〜I'll be back〜』みたく知りえた未来の知識を活かして漫画家をする話かな?と思ってました。話が進むに連れ実は未来の少年ジャンプ知識を漫画に転用していたのは自分だけではなく、同じく同期にデビューしたある作家も主人公がホワイトナイトを描いたように複数の漫画を惜しげもなくパクリ自分の作品として世に出す、それを悪びれもしない漫画家が出てくるのかなと。でもやってる行為で言えば主人公も同じなので非難できない。とかそんな展開になるのかなと思ってました。想定していたAパターンはハズレ。

つまりBパターン。これまた『シュタインズゲート』や他の作品のパクリだと叩かれそうですが少し待ってほしい。

ある特定の人物を救う為にタイムトラベル(タイムリープ)を繰り返すという行為は、昔からある王道展開というかお約束展開なのです。SFの父とも呼ばれる作家、H.G.ウェルズの小説『タイム・マシン』の頃からある黄金パターンといってもいい。

そして『タイムパラドクスゴーストライター』の本当の面白さは他の作品と違い、現時点ではタイムトラベルによる”繰り返し”が出来ない点かなと思います。

未来の情報を断片的に得ているとは言え、全てが一発勝負。だからこそ恐ろしいし、面白い。

『タイムマシン』『シュタインズゲート』『時をかける少女』でも幾つ選択肢を変えても行き着く結果は同じという未来が待っていました。

選択により回避できる未来もあればどんな選択をしても回避できない未来もあるわけです。どの作品もがその回避出来ない未来を否定する為に足掻く物語です。比較として見ておくのも面白いかもしれません。

そしてタイムトラベルもの好きな人の中には過去に自分でタイムトラベル作品とか考えたりしませんでしたか?

自分も過去に考えたことありますが、結末から書いて逆算して書く書き方になりました。つまり1話書いた時点で結末は決まっているじゃないかなと思います。

タイムトラベル作品の面白さを喩えるなら自動で組み上がるジグソーパズルの様なものだと思ってます。最初にピースが表示されてもそれがなんなのか分かりません。それが物語が進むにつれて点と点が繋がり線になるように、パズルのピースがそれぞれ型に嵌っていくことで本来の完成形が分かるというか「そういう事だったのか!」ってなる感覚が好きなんです。

だからこのタイトルなのか!と妙に腑に落ちたというか納得してしまいました。

タイトルが最終的に示しているもの

伏線拾えるだけ拾って考えた結論です。現時点では推測でしかないのですが佐々木哲平がゴーストライターをやっているのは今居る世界線βではなくアイノイツキが死んだ事になる10年後の世界線αじゃないのかな?と思った訳です。

早くも社会現象と呼べる人気を博しながら・・・とても同じ人間が描いているとは信じがたい発想とストーリーと作画・・・

7話の台詞より抜擢になりますがこの描写が、10年先の世界線αで佐々木哲平がゴーストライターをやっている伏線だと思うのです。

だとするなら、結局どの世界線でも主人公である佐々木哲平は【ホワイトナイト】を描く運命だったのではないか?

だから10年後から送られて来た少年ジャンプの漫画の中から【ホワイトナイト】を選んだのではないか?どの未来でもその結果に収束したんじゃないのかと思った訳です。

でも、それだと矛盾してますよね?だって10年後の未来から少年ジャンプが送られてきたから本編で【ホワイトナイト】を描く事になったんじゃないの?と思ったでしょう。それこそがこの漫画の着地点であり、本当の狙いなんじゃないかなと思います。

こうなると完全にタイムパラドックスが起きてますよね?どっちの世界線でも【ホワイトナイト】のゴーストライターに成る訳ですから。

だからこそ最終的に『タイムパラドクスゴーストライター』という漫画タイトルに収束するのかなと。

未来のアイノイツキの作品だと思っていた作品は、盗作だと罪悪感を抱いていた作品は、実はアイノイツキと共に未来の自分の合作漫画だったという展開なんじゃないかなと。(未来のアイノイツキが10年デビュー遅れた訳もこの辺にありそう)

これが一番綺麗に終わるルートかなと思います。【ホワイトナイト】の半分は未来の自分の作品って事にすれば主人公も少しは救われるのかなと。

どうですかこのタイムパラドクスゴーストライター考察。余興としてはなかなか面白かったでしょう?

打ち切り回避したいので、叩いたりせずに今後どんな展開になるのか見届けませんか?(´▽`)

いつも読んでくれてありがとうございます(´▽`) また面白ければ「スキ」を貰えると嬉しいです、noteアカウント無くてもスキは押せますので是非 またマンガ好き、ゲーム好き、アニメ好き、映画好きのフォロワーを募集しています。条件に当てはまる方はフォローバックします