桃太郎プラス1

桃太郎 
 おじいさん、おばあさんの元で桃から生まれた桃太郎。すくすくと育ち、ついには鬼ヶ島で鬼を退治することになります。家来には犬、猿、キジの三人。しかし、実はもう一人、うさぎがいたのです。
 うさぎはおじいさん、おばあさんの家で家族として飼われていました。
「桃太郎さん、私も連れて行って下さい。」
うさぎは頼みました。
「お前は小さいし、非力だ。それにもう、きび団子がないのだよ。」
「きび団子はいりません。」
うさぎは食い下がります。
「私は小さくて、力もありません。でもだからこそ、人の行けないところに、すばやくこっそりと行くことができます。」
「そうか、わかった、ではお前もついておいで。」
 桃太郎はうさぎを家来に加えることにしました。
 そして、桃太郎一行が鬼ヶ島に着く直前、うさぎは一足先に島に忍び込み、鬼の寝所を見つけ、桃太郎に知らせたのです。うさぎの話を聞いた桃太郎は、鬼たちに夜討ちをかけ、驚いた鬼たちはあっさりと桃太郎に降参したのでした。
 ところが、桃太郎の鬼退治が世間の評判となり、桃太郎の歌が世の中に広まるにつれ、次第に桃太郎の家来は犬、猿、きじの、きび団子をもらった三人になり、うさぎは忘れ去られていきました。そのことを不憫に思った村人達は、代わりに十五夜の夜、月で餅をつくウサギの話を作り、うさぎの歌と月見団子でうさぎの功績を讃えたのでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?