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#インボイスRADIO vol.17 声優業界編・VOICTIONスペシャル/咲野俊介さん、岡本麻弥さん、甲斐田裕子さん

2022年8月17日インボイスRADIO vol.17 声優業界編・VOICTIONスペシャル 声優 咲野俊介さん、岡本麻弥さん、甲斐田裕子さん

――今夜もお聞きいただきありがとうございます。「STOP!インボイス」の阿部と申します。毎週水曜日夜8時、インボイスの問題点を深堀りするインボイスRADIO。今週は諸事情あり、22時からのスタートとなっております。私たちの団体の正式名称は「インボイス制度を考えるフリーランスの会」と申します。昨年末にオンライン署名を始めたことを皮切りに、「STOP!インボイス」の合言葉のもと、インボイスに関するさまざまな情報を発信しています。

今週は声優業界編、VOICTION(ボイクション)スペシャルということで、インボイス制度に反対する声優さんのグループ「VOICTION」を立ち上げた、咲野俊介さんと岡本麻弥さんと甲斐田裕子さんをお招きして配信したいと思います。皆さんお話しできますでしょうか。

咲野俊介さん(以降、咲野) はい。

甲斐田裕子さん(以降、甲斐田) お願いします。

岡本麻弥さん(以降、岡本) はい、VOICTIONです。よろしくお願いします。

――はじめに自己紹介をお願いできますでしょうか?

岡本 はい、じゃあ年齢順に。

――年齢順といいますと、僕からは何も言えませんので(笑)、よろしくお願いします。

咲野 青年座で俳優と、若干声の仕事もやっております。咲野俊介と申します。よろしくお願いします。

――個人的には、イーサン・ホーク役などが馴染みがあったりします。

咲野 ありがとうございます。

――今日はよろしくお願いします。

咲野 こちらこそ。

――さて、お次は。

岡本 はい、声優の岡本麻弥です。よろしくお願いいたします。

――エマ・シーン中尉とお話ができて、光栄です。

岡本 こちらこそ、今日は『修正』しにまいりました。

――『修正』しにですか(笑)。 わかりました、よろしくお願いします。

岡本 よろしくお願いいたします。

――続いて、甲斐田裕子さんお願いします。

甲斐田 はい、声優の甲斐田裕子です。よろしくお願いします。

――個人的には、「約束のネバーランド」のイザベラが印象深いです。

甲斐田 ありがとうございます。

――昨日「STOP!インボイス」のメンバーとは、「SPY×FAMILY」の話なんかもありました。

甲斐田 ああ、いい作品です。

――はい。というところで、本日は皆さんよろしくお願いいたします。

VOICTION一同 お願いします。


1. VOICTIONとは、どういうグループ?

――まず最初にお聞きしたいんですけども、VOICTIONというのはどういったグループなんでしょうか?

甲斐田 これは、私が先輩たちを巻き込んだのがきっかけかもしれませんが。インボイス制度に対する危機感を、もう去年から常々思っていて、たぶんそれぞれの先輩たちも危機感を抱いていたんですけど、どう動いていいか、現場でチラシを配ったり説明したりしながら、広報をしてたんですけども、さすがにこのコロナ禍での分散収録で、なかなか人に会えないのもあって、もういい加減声を上げないといけないなと思って。ちょうどTwitterとかでも問題意識をもっているなと感じた先輩2人に声をかけたら、即答でOKをしていただいたので、有志の会を立ち上げた…というのがVOICTIONの始まりかなと思ってます。補足があれば、先輩方。

岡本 はい、巻き込まれました(笑)。というか、やっぱり同じように問題意識をもっていても、1人で声を上げていても、なんていうか今あんまりこういう話をするのってよろしくないという風潮がどうしても社会もね、Twitterでもそうだし、私たちの業界もそうだし、でもやっぱり、咲野さんがとてもいいことをおっしゃって。「これは政治の話というよりは、私たちの生活の話だ」っていうのが、本当にそうだと思うんです。なので、一緒になって声を上げられたらいいなあと思って、参加しました。はい、お兄さん?

咲野 お二人が話したとおりなんですけどね。でも、我々が声をかけたら本当にもうね、たくさんの人にご賛同いただいて。今日も見知った方々の、しょっちゅう一緒に仕事してる方々のアイコンがずらっと並んでおりまして、とても心強いところですけどね。まあ、そんな感じで。とにかく、ねえ、自ら遠く離れちゃった政治をもう1回こっちに引き戻すというか、こっちが近寄るのに、インボイス制度ってある意味すごくわかりやすいツールになるんじゃないかと。そういうことですよね。

岡本 そうですね。実際やっぱり、私たちの身に必ずふりかかってくることなので。でも、あまり、友達と電話しててもピンと来てなくって。「え、何それ」っていう反応が多かったので。いやあ…、来年になって導入されてしまって阿鼻叫喚になってからじゃ後の祭りになっちゃうんで、やっぱり今、最後のあがきをしといたほうがいいなって。わからないままじゃ、本当に後悔してもしきれないと思うので、今ふんばって声を上げていきたいなと思っています。

――今、岡本さんから「友達に話しても」とあったんですけど、声優業界全体から見て、このインボイス制度ってどう捉えられてると言いますか、どのぐらい認知が進んでるかみたいな、そういうものって何か感じるところありますでしょうか?

岡本 裕子ちゃん、チラシ配ってるとき、どんな感じだった?

甲斐田 去年とか今年のあたまの段階だと、まだみんなインボイス制度を知らない人が多かったですけど、最近になって、チラシを渡すと「あ、大変ですよね。」とか「ああこれ、Twitterで見ました。」っていう声が多いので、みんなそれなりに認識はしてるんでしょうけど、深いところまではわかりづらい、もともとがわかりづらい制度だなと思ってます。

岡本 そうですね。私も友達と話すときなんかは、まだちょっと、「それ、マネージャーに聞いてみたけど、大丈夫じゃない?なんか何も知らないよ。」っていう感じの反応がけっこうあったんですが、おそらく今、事務所さんからの説明なんかもあって、インボイス制度というもの自体は耳にしてると思うんですけど、それが実際どういうことなのかっていうところまでは行き着いていないのかなって。
登録するか、課税事業者登録(編集註:インボイス発行事業者の登録のこと。以下同様)をするか、免税のままでいるかという、どっちかを選んでくださいという説明だと思うので。

――はい。

岡本 ざっくりと、そういう、「あ、じゃあ、言われたとおり登録すればいいんだよね」っていう。で、登録するとどういうことが起こるのかということまでは細かく説明されていないと思うので、簡単になかなか登録できない現状というか、理由というか、そういったものを、つまびらかにしていかないとだめかなあと思ってます。

――わかりました。ぜひとも今日はそういう部分も、深掘りしながら、インボイス制度がどういうものかっていうのと、またどんな影響があるのかっていうところを探っていきたいと思うんですけども。疋田(英司)先生、お話しできますでしょうか?

疋田英司税理士(以降、疋田税理士) はい、聞こえますでしょうか。

――聞こえております。本日はよろしくお願いします。

疋田税理士 こちらこそ、よろしくお願いします。

咲野・岡本・甲斐田 よろしくお願いいたします。

2. そもそも、「インボイス制度」とは、どんな制度?

――まず最初に、疋田税理士のほうから、インボイス制度の概略的なところをお話しいただくと、どんな制度というふうになりますでしょうか?

疋田税理士 消費税って皆さんご存知だと思うんですけれども、詳しい仕組みはちょっとわかりにくいと思うんですよね。簡単にいえば、今まで、消費税の計算をする場合に、申告をし納税するっていうのは事業者の方がするわけですね。そのときに、売り上げから仕入れにかかる消費税を引いた差額を、納税をするっていうことになるんですけれども。
従来はインボイスとかなくても、そういった取引があるんであれば、仕入れにかかる経費、仕入税額控除でですね、消費税は引くことができたんですが。

今後はインボイスを発行している事業者からもらったものでなければ、そういった仕入税額控除ができないという仕組みになってしまうっていう。それがインボイス制度っていうことになってくるわけ。簡単に言えば、ここだけの点になるんですけれども。とりあえず、最初はこれだけのご説明にしておきます。

――はい、わかりました。ありがとうございます。年間売上1000万円を超える事業者。会社とか個人も含めてなんですけど、(そうした)事業者だと、課税事業者といわれていて、これまでの領収書・請求書でも、仕入税額控除というのをしながら消費税の納税ができたけども、来年10月からは(仕入先・外注先などからもらう請求書や領収書が)インボイスと呼ばれる請求書・領収書じゃなきゃ、仕入税額控除に使えなくなるというものですね。

疋田税理士 はい、そうです。


3. インボイス制度が及ぼすと予想される、声優業界への影響(声優さんの負担、事務所側の負担)

――これがじゃあ、いったい声優業界にどう影響していくのかっていうところを探っていきたいんですけども。まず、3人に、声優業界のお金の流れといいますか、どんな感じなのかをお聞きしたいんですけども。声優さんっていうのは、個人事業主が多いんでしょうか?

甲斐田 はい、そうです。ほとんど、事務所に入ってる人も入ってない人も、ほぼほぼ個人事業主だと思います。給料でもらってる人はほとんどいないんじゃないか。私の知ってる限りはいないです。

――なるほど、事務所に所属していても、それは個人事業主契約になっている?

咲野 そうですね。基本、歩合制なので、我々は。給料いくらいくら毎月、っていうかたちではないですね。ほぼそうだと思います。

――それって、新人の方も大御所とかベテランの方も同じということなんでしょうか?

咲野 もちろんそうだと思いますね。経営に携わっていれば、月額いくらという給料をもらってる人もいると思いますけども。

――すると、もうほぼほぼ、皆さん個人事業主と思ってて間違いないという?

咲野 だと思いますね。

――もう一つお聞きしたいんですけども、声優さんっていうのは、何か仕入れとか経費ってありますでしょうか?例えば製造業だと、何か物を仕入れて作って売るということをするんですけど、声優さんって何かそういう、仕事をするうえでかかる経費とか、何かあったりしますか?

咲野 一番大きなものは、まあこれ、かたちになるものではないですけども、本を読むであったり、映画を見るであったり、お芝居を見るであったり、これも全部必要経費ではあるんですよね。

岡本 そうですね。あと、電車賃とかそういう交通費なんかももちろんそうですし、イベントなんか出るときのお衣装なんかも、これは全額は難しいですけれども、そういったものも必要なものとしてかかりますね。あとレッスン、例えば舞台でタップ踏むとなったらタップを習うとか、そういうものもけっこうかかります。

――これ、お答えできる範囲でいいんですけども、年間売り上げの中でどのぐらい経費って占めるもの、みたいなの聞いても大丈夫でしょうか?

咲野 それは個人個人違うとは思いますけど、一応我々が用意したデータがあるんですよね。データ担当の甲斐田さん?

甲斐田 いや、データは…どうでしょう。ちゃんと、そういうふうに取ってるわけじゃないですけど、半分はいかないですよね、まあ全然。

――なるほど。あとですね、私のほうで、声優さんの平均収入ってのを実は調べてみたんですけども。ある声優学校のホームページを参照したんですが、そこに書かれていたのは、平均の月収が16万円だそうで。
デビュー5年以内だと、事務所に手数料を払うと手元にほぼなくなる、ほぼ残らなくて、年収も50万円程度。中堅ぐらいになって仕事が安定してくると、300万円ぐらい。みたいなことが出ていたんですけども。そんなイメージですか?

甲斐田 たぶん300万円前後の人が多い、であろうというデータを、芸団協(日本芸能実演家団体協議会)とかいろんなとこが、アンケートとってるのを見ると……あんまり私たちもお互いにいくら稼いでるなんていう話をし合ったりはしないので、あれですけど。

――そうですよね。

岡本 あんまり、養成所でお知らせするには夢のない額ですね。

――失礼しました。実はですね、私もこういう活動してて、本当にこのお金の話っていうのはすごくプライベートなことなので、実は気分的にも私も、あまりよくないという思いがあるのと。
実は僕も仕事を発注する側なのですが、これまで、相手が免税事業者かどうかなんてまったく気にしてなかったんですけども。結局これって、レッテル貼りのような気が僕はしていて。すごく商取引をするなかで、ギスギスした関係性が生まれそうだなっていうのは、僕もインボイスの嫌な一つの部分だな、というのは感じております。

咲野 いや、間違いなくそうなっていくでしょうねえ、導入されたら。ただ、たぶん、いわゆるフリーランス、個人でお仕事をもらってる人たちは、直接そのギスギスに巻き込まれなきゃいけないわけですけど、我々みたいな、一旦事務所をはさんでる人間たちが、なんで現時点でのほほんとしてるかというと、たぶん事務所をはさんでることが安心感と同時に見えづらくしてる部分でもあるんですよね。

――ああ、なるほど。

咲野 なんとなく、どうにかなるんじゃないかっていう、思いでいる人が、多分ほとんどだと思うんですけど。

――今まで結局消費税と関係なかった人たち、僕もそうなんですけども、なので、まさに私も最初、この制度聞いたとき、のほほんとしておりまして、なんかピンとこないところがやっぱりあったんです。
それで今、この話をふまえて、疋田先生に、実際声優業界ではどんな影響が出てきそうか、お話しいただけますでしょうか?

疋田税理士 はい。まず、声優さんに関しては、売り上げの平均が300万円ぐらいっていうことですからね。そうすると、今までは消費税を払うという実態はなかったんだろうと思うんですよね。そうすると(今まで通りだと)、インボイスを発行しないわけですから、インボイスの発行を、今度は元請けの会社のほうなどから言われるっていうことになってきますよね。そうしないと、元請けの会社の方は、今まで300万円なら、300万円払っていた相手から簡単に言えば30万円の消費税はもう払って、含まれているものだという前提で、今の法律は作られてますから。そのため、30万円の消費税の課税仕入れっていうのができたわけですけれども。

今度はこのインボイスの発行事業者でないということは、元請けのほうは30万円の課税仕入れができないということは、30万円余分に税金払わなくっちゃいけないっていうことになるわけですね。そうすると、そのためには、声優さんたちに対して、一つは『この30万円値引きしてよ』っていう話が出てくるのがまず第一と。そしてもう一つは、『消費税の課税業者になってください』っていうことになるんですね。そうすると、30万円の消費税を払うっていうことになってくるわけなんですが。

これをできるだけ税金安くするために、簡易課税制度っていうのがあるんですけれども、仕入税額控除を、強制的に50%は仕入税額控除ができますよという簡易課税制度を使うことができますから、それを選択することで30万円払えっていうところが15万円で済みます、ということにはなるんですけれども。逆に言えば、15万円は最低負担させられるっていう、そういった仕組みになってしまいます。

だから、これって、声優さんたちも負担は大きいけれども、逆に言うと、事業者の方、元請けの方々も負担が増えるから困ってるんだっていうことですから、結局国民は誰も得する人がない、っていうふうなことになってくるし、国に税金が多く納められるっていうことになるわけ。もう1点言えばね、消費税法で先ほど言ったように、2年前の売り上げが1000万円を超えない方は、消費税法上は実は納税義務がないんですよね。免税事業者ですから。法律上はそうなっているにも関わらず、負担させられるっていう、そういった意図しない選択を求められてしまうということも、大変大きな問題が出てくるのかなっていうふうには感じます。

――声優事務所としては、納税額が増えるか、それが嫌ならば声優さんたちにインボイス登録をお願いするか。
声優さんたちも、インボイスを登録すると、本来と言いますか、免税点制度のなかでは納税しなくてもいいと認められているんですが、インボイスにひとたび登録すると、納税義務が発生してしまうと。

疋田税理士 そうですね。

――この辺までお聞きして、どうでしょうか、ゲストの皆さん?
何か疑問点や質問等ありましたら。

咲野 さっき話したとおり、中堅、そこそこがんばってて300万円、で、下手すると50万円……っていうことですよね。そこと、例えば1100万円稼いでる人間の10%じゃ、大きく違うわけじゃないですか。
だけどそこを言葉にすれば、「平等」? っていう、なんか、なんだかわかんない。「平等」っていう、あの感じで、請求されるわけですよね。

――はい。

咲野 でも、本当に必要なのは「公平」じゃないですか。

――まさに。

咲野 ねえ。有名なあの絵がありますけど。じゃあその「公平」であるための箱を誰が用意するのかっていうところは、本当は国じゃなきゃいけないんじゃないかと僕は思うんですよね。

――うん、今、「公平」「平等」ってお話が出たんですけども、疋田先生から見て、消費税とかインボイスって、よく「平等」、確かに10%、みんなどの人でも負担するんだから消費税は「平等」だ、みたいな言い方があったりするんですけど、その辺は税理士の先生から見てどうなんでしょうか?

疋田税理士 まずね、僕らが税金を習うときに、「平等」という言葉のなかに、『水平的な平等』と『垂直的な平等』っていう考え方があるんですよね。それはどういうことかっていうと、同じ条件の人だったらみんな水平的には、税金はみんな「平等」に負担するべきだっていうのがあるんですけれども、収入が多いっていうことは、国のシステムとかそういったものをより多く利用している立場だろうっていうことから、そこから、垂直的には税金の「平等」ということを考えると、収入の多い人、所得の多い人ほど税金の負担は多くなるべきだ、っていうことですね。

咲野 そのとおり。

疋田税理士 そのために、累進税率っていうのが入っているわけなんですね。所得税とか。しかしながら、それは消費税の場合は、一律に、今であれば10%ですよね。例えば、どっかのホテルで3万円のステーキのコース頼んでも、コンビニで100円のおにぎりを食べても、税金は一緒っていうのは、それは「不平等」なんじゃないかっていう考え方があるわけですよね。だから、やっぱり、税理士の立場から言えば、そういうのを逆進性っていって、累進性に対して、逆に負担が重くなってくるっていうこと、あります。逆進性が強いものですから、やはりこういった制度っていうのは、まだ3%のときには許容できたかもしれないけれども、10%、これがさらに上がってくるとなってくると、もう暴動を起こさないといけないぐらいの制度になってしまうんじゃないかなっていうふうには感じますね。

――なるほど。これ暴動が起きるんじゃないかな、と僕なんか思っちゃったりするんですけど、本当に、要するに所得とか収入が低い人ほど、負担がその分増すっていうわけですよね、消費税というのは。

インボイス制度は誰かが増税分を負担しなければいけないというところで、影響あるのは声優さんだけでなく、例えばアニメーターや映画監督やカメラマンとか、そういう人たちにも影響が及ぶものなので、例えばなんですけど、誰かが負担分を穴埋めするっていうことは、そのうち商品とかグッズとか、そんなものにも影響してくるんじゃないかなと思うんですけど、どうでしょうか?

疋田税理士 はい、そういうふうにはなってくるでしょうね。現実の問題として物価に与える影響っていうのも大きいだろうと思うし。で、そういった下請けの人たちの中には、大手と取引だけしてるわけじゃないんですけれども、一旦消費税の課税事業者を選択してしまうと、その負担はいろんな人たちとの取引にも影響してきますから、全体としてやっぱりコスト高な、政府、国になってしまうんじゃないかな、というふうに思います。

咲野 うん。

4. この国の考える、インボイス制度の将来的な狙いとは

――結構これは、ファンの方たちにもシビアな問題なんじゃないか、なんて思ったりもしますが。
どうでしょうか、ゲストの方々、もし何かご質問や、今のところまでで何かご意見があれば、お願いできますでしょうか?

咲野 疋田先生、単純な質問ですけど、国の考える、インボイス制度の狙いって何なんですかね?

疋田税理士 まず、今、「デジタル監視法」っていうふうに言われているものがあるんですけれども。いわゆるデジタルで国民の、というか国全体の情報を集約しようというのが、僕は大きな目的としてあるんだと思うんですよね。それは僕も韓国に行ったときに特に感じたところなんですけれども、結局いろんな取引が全部国家の監視のもとに置かれるっていうことです。

つまり、インボイスっていうことは、一つひとつの取引が税金の計算の単位になるんですよね。今まで、所得税とか法人税の場合は、1年間の取引をまとめて税金の計算をするわけですけれども、そうでなくなってしまうわけですね。僕の印象では、そういう情報統制っていうものがまず大きくあるんだろうと思うし。

先日お話を伺った中では、これを今後、消費税を増税していったりとか、そしていろんな多段階での、つまり今、軽減税率とかあったりしますけれども。例えば消費税20%とか10%とか15%とかっていうふうな税率があった場合には、インボイス制度を使って「この人はいくらの消費税を払ってます」っていうことを確認できないと、現実にはもう増税は難しいだろうっていう考え方をもっている財務省の人もいるんで、とりあえずはこの制度を導入するっていうことが、将来の増税の布石になるっていう考え方をもった人もいるようです。こういったところが大きな狙いじゃないのかなっていうふうに思います。

咲野 はあ……やっぱりそうですよね。とにかく、金の流れをすみずみまで国が把握するための制度ってことですよね。

疋田税理士 そうですね。

――韓国なんかは、DXがすごく進んでて、電子インボイスが一番盛んな国と言われていて、だからそういうところ、っていうことですね。韓国なんかはもう。

疋田税理士 そうです、そうです。

――デジタル化がすごく進んでて、電子インボイスが使われているという。

疋田税理士 はい。

――そして、インボイス制度っていうのは、領収書に税率が何%のものかというのを明確に出すものなので、複数税率といいますか、そういういろんな20%とか10%とか8%とか、そういう税率にしたときに有効だとされていると。

疋田税理士 はい。

――なので今、税率が2種類しかない日本でそれを入れるということは、ゆくゆくは、ひょっとすると、増税が待っているのかな…というところですよね。

疋田税理士 そうですね。ちょっと話がずれるかもしれないですが、韓国の制度の場合、あそこはね、税率10%の単一税率しかないんですよね。でもそこでね、こういった制度があるんですよ。

現金の取引の場合にインボイスがあるなしにかかわらず、いろんな取引が出てくる可能性があるので、その領収書を国に報告する。つまり、皆さんが飲食店でお酒飲みに行って、「領収書もらった」「現金で払った」その場合には、『その領収書を申告するかしないかわからない』っていうふうに政府が考えて、飲食した人がその領収書を税務署に、まあ、チクるっていうことになるのかな、税務署に報告をすると、自分の所得税が下がるっていうような減税措置を受けられるような、そういった仕組みなんかを韓国は作ってましてね。

まあ、結局は、国の取引について、国内で行われるいろんな経済活動のすべてを把握するような仕組みっていうのが、韓国なんか、作ってたりするわけなんです。日本ではそのシステムは今はないですけれども、ただ、現状では、いろいろな通報制度っていうのを導入することは検討されてますけれどもね。そういったことなんかも今後考えられるんじゃないかなと思うと、だんだんこわくなってくるなっていうのは感じますね。

――通報制度が検討されてるって、日本の話ですか?

疋田税理士 日本です。

――あらま…。なんかそれこそ、先ほど話に出た「ギスギスする関係」ってのがまた出てきそうな気がしますね。

疋田税理士 そうですね。実際にやられるかどうかっていうことはわかりませんけれども、そういったことも含めた、情報申告制度ですね。そういったことが検討されているっていうことは、まあ現実に、今の情報申告制度っていうのは、事業者にある程度義務付けられているところはあるんですけれども、それがもっと庶民のレベルでの通報制度っていうものを入れるか入れないかっていうふうなところが検討されているところだっていうことを聞いたことはあります。

――なるほど、わかりました。そのほか何かご質問ありますでしょうか?


5. 消費税を預かるという概念自体が、実は法律(消費税法)の中にはない

岡本 はい、ちょっと戻っちゃうかもしれないんですけど、私たちが一番、たぶん「STOP!インボイス」さんではいろいろ今までもお話しされてると思うんですけど、今日初めて聞かれる方もいらっしゃると思って。
そもそもインボイス制度って、消費税に関わるじゃないですか。私たちが一番言われるのは、「消費税は預かり金だ」と思っていらっしゃる方がたくさんいらっしゃって。「1100円だったらその100円を預かって納めるんだから、そうすればいいじゃない。」って言われることが一番多いんですね。

それで、まず「預かり金じゃない」というところの説明もそうなんですけれども、消費税を導入したときに免税事業者っていうものが生まれたわけじゃないですか。その辺の経緯というか、それを今回無くそうという話なんだと思うんですけど、一応残しはするんでしょうけど、結局免税事業者のままだと、10%減のみならず、仕事が来なくなるという危機感が私たちの業界だとあると思うんですけど、その辺の説明をしていただくことって可能ですか?

疋田税理士 はい。まず国の、日本の憲法には、納税の義務があるっていうのはご存じだと思うんですよね。つまり、納税の義務っていうのがあるから、皆さん納税をするっていうことになるんですけれども、法律の条文、憲法の条文で言えば、「国民は法律の定めるところにより納税の義務を負う」って書いてあるんですね。つまり、「法律の定めないところの納税の義務を負わされる必要はない」っていうこと。これをちょっと頭に入れていただきたいと思うんですよね。

岡本 はい。

疋田税理士 では、消費税法には何て書いてあるかっていうのは、「納税義務者は事業者です」って書いてあるんです。つまり、消費者が納税をする義務があるなんていうことは、一言も書いてないんです。結局「事業者が、納税するための税金を、価格に転嫁しなさい」っていう仕組み、っていうのが消費税の法律なんですよね。
だから、消費税を預かるっていう概念自体が、実は法律の中にはないんです。

岡本 はい。

疋田税理士 預かるっていうふうな、もし仕組みをするとすれば…、例えばアメリカなんかのどっかの州だったと思うんですけれども。アメリカの全部に消費税があるわけじゃないんやけれども、ある州なんかは、消費税は消費に対して課税するっていうことが決まってるんですよね。だから、例えば、皆さんが声優として仕事をされる、そして最終的に映画なんか見てチケットを買う最終消費者がいるとすれば、その最終消費者が払うチケットに対して、納税者は国民だ、消費者だとすれば、そこのときに消費税を払えばいいわけでしょ。そして、最終消費者と取引をする人がその預かった消費税を国に納めるっていう仕組みにするっていう、そういう仕組みも世界にはあるわけなんですけれども。

なぜか日本では、まあ日本だけじゃないんですけれども、いろんな取引の段階で消費税を払わそうとするわけなんですよね。そうすると、それが大変手間がかかる仕組みなんですけれども、結局は預かった消費税っていうのは、どこにもないわけなんですね。
前の人が払ったであろう税金を引くことで納税額が決まるわけですけれども、それが今度はインボイスがなければそれが引けないっていうことになってしまいますから、いわゆる免税業者であった人が、払わなくてもいい、のにもかかわらず払わされるっていう。つまり、法律上は払う義務のない人まで払わされるっていうことは、これ憲法違反なんじゃないかなっていうふうに感じたりもするわけなんですね。

岡本 はい。

疋田税理士 もう一つだけ、免税っていうことについてなんですけれども、なぜ免税になるのかっていうと、この消費税の計算ってけっこう面倒なんですよね。1年間の一つひとつの取引で、消費税がいくらかどうかっていうこと、そういったものを計算して積算して申告をつくらないといけない。だから、零細な業者の方については、申告の義務を課さないっていうのが最初からあったわけなんで。それがかつて最初導入した時点では3000万円だったかな。そういった基準があったんですけど、今は1000万円です。

岡本 はい。

疋田税理士 だから、「1000万円までの収入しかない人には、そんな負担をさせるのはかわいそうだ」っていうのがあるわけなんですよね。これは消費税だけの問題じゃなしに、所得税でも「給与所得で年末調整してる人は、年末調整以外の所得が20万円未満だったら、申告の義務はいらないですよ」「お年寄りだったら、年金の収入が400万円までだったら、ほかに所得があっても申告の義務はないですよ」って、ほかの所得でもいろんな基準にもよりますけれどもね、申告の義務はないですよ…というような基準がありますように、そういった零細な方については、そんなに手間をかけないような仕組みにしているのが、今のいろんな税法の仕組みで。

そして免税制度っていうのがあるわけなんですけれども。そういった、今まで配慮されていた人を、今後は配慮しないというのが、今回のインボイス制度の大きな問題かなっていうふうに感じます。

岡本 はい、ありがとうございます。そうですね、だから「預かり金はない」ということも説明すればいいっていうことですね。
あと、結局、私たちさっき質問にあったように、いろいろな経費というか、そういうものを仕入れという意味であるんですけど、例えばタクシーに乗ったときに、これからインボイス制度がもし導入されてしまったら、個人タクシーの運転手さんが、例えばインボイスの登録をしてなければ、その領収書は私たちも使えないってことになるんですか?確定申告のときに。

疋田税理士 確定申告のときの、所得税の上では引けるんですけれども、消費税の仕入税額控除の対象にはなれないっていうことになりますね。

6. 個人事業主がインボイス登録をする際、氏名が公表される問題

岡本 うんうん、そっかあ。あと、私たちが一番気になるのってあれじゃないですか、課税事業者登録(編集註:インボイス発行事業者の登録のこと)をすると本名がバレてしまったりとか、その辺りのことを教えていただけますか?

疋田税理士 *本名でしか登録できないんですよね。だから、いわゆる芸名であるとかペンネームとかで登録したいといっても、個人の場合はまったくできないっていうことになってきます。もうこれは、今の制度上はどうしようもないわけなんですけれども、これ、せめてこういったところをね、例えば屋号で、お店の名前ですよね「喫茶○○」とか、そんな感じと一緒でね、そういった屋号の名称で登録できないのかどうかっていうことは、今後の取り組みのなかで、そういった制度を盛り込ませることができるかどうかっていうのは、あるかもしれないんですけれども、現状ではそれはできないっていうことになってます。
(*注:個人事業主の場合、「屋号のみでの登録は不可」だが、「氏名と屋号の併記は可能」)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0021011-019.pdf

国税庁:「適格請求書発行事業者の登録申請書の提出に当たりご注意いただきたい事項
」参照

岡本 そうですね。その場合、例えば私はフリーランスなんですけれども、請求書を書くときはもちろん屋号で、私は「岡本麻弥」として仕事をしますけれども、登録は本名になるわけですね。

疋田税理士 そうですね。

岡本 結婚して名字が違ってて、先方は、例えば、それが「岡本麻弥」と、この請求書を書いてきた知らない名字の人と一緒かというすり合わせも、もちろんしなきゃいけないということですよね。

疋田税理士 すり合わせっていうか……、それは登録のなかで、確認はできたかな、ちょっとごめんなさいね、そこまで国税庁の確認ページはよく見てなかったんですけれども。確かにすり合わせをしないと他人ということになってしまう可能性も出てきますので、そういった義務は出てくるかなというふうに思います。

岡本 そういうことを考えると、簡単に課税事業者に登録(編集註:インボイス発行事業者の登録)するっていうのは難しいとは思うんですけど、免税事業者のままでいれば、やっぱり仕事を、要するに免税者と仕事すると負担が増えてしまうから、仕事が事務所からもふられない可能性も出てくるということですね。

疋田税理士 そうですね。

岡本 はい、ありがとうございます。


咲野 ちょっとね、ここで、僕がすごく信頼している、VOICTION立ち上げたときに3人じゃ心もとないなと思って真っ先に声かけた人物が聴きに来てくれてるんですよ。東地宏樹さんという方を、ちょっとスピーカーとして指名していただけますかね?

――わかりました。

岡本 あと、聞いておきたいんですけど、今まだ、名前、本名が出るかどうかっていうのはもちろん、来年に向けていろいろ話し合っていくんでしょうけれども、登録してしまって、「やっぱ名前出て嫌だわ」って言って取り下げても、何年間はそのまま個人情報が残ってしまうというのを聞いたんですけど、その辺りは本当ですか?

疋田税理士 はい、残ってしまいますね。登録をしている間っていうことになりますから、*3年間は保存、登録は残されてしまいます。
(*注:実際は7年間保存されるということが、配信中の後半で判明しました。)

岡本 3年間。もう、すぐに取り下げたとしても、3年間は出てしまうということですか? 情報として。

疋田税理士 はい。

岡本 なので、あんまりあわてて、今、私たち、まだわかんないまま登録はちょっと考えたほうがいいってことですかね?

疋田税理士 そうですね。一つは、税制調査会っていうところがね、年末に改正案っていうのが出される可能性があるんですよね。そのなかで反映させていくために、今の時期に、今で言えば自民党と、まあ野党も一緒ですけども、こういった改正してほしいっていう案を、提供していくっていうことになろうかなと思うんですよね。そういったことを通じて直していけるかもしれないですけれども、それはまだまだ先の話ですが、変わる可能性はあるということです。

岡本 変わってほしいですね。できればね。名前バレとかその辺りも話し合ってってもらいたいなとは思うんですけれど。でも、登録しちゃうとしばらく消えないっていうのを聞いたので、ちょっとこれは注意喚起しとかないと危険だなと思って、皆さんやっぱり、本名とかいろんなものがバレてしまうのは嫌ですしね。

――東地さん、こんばんは。

咲野 なんかすいませんね、最初のほうからずっと聴いてくれてて。

東地宏樹さん(以降、東地) いえいえ、とんでもないです。ちゃんと連絡いただいたので。僕も、だいたい今、説明をいろいろ聞いたりとか、質問と受け答えしてて、それで「あ、こういうことだったんだな」っていうことをなんとなく把握してきました。インボイスについて。
僕、一番思うのは、政治とか、インボイスとかっていうのは、消費税とか、僕らも国民なんで、とにかく僕一番気になってるのが、やっぱ結局国会とか聞いてても、ちゃんと答えてくれなかったりするじゃないですか。これ政治の話になるんだけど。

咲野・岡本 うん。

東地 とにかく気がついたら何かが決まってるっていうのがやっぱ嫌なんですよね。もう多いんで。

咲野 うん。

東地 今回のインボイスっていうのは、SNSのおかげかもしれないんですけど、ちゃんと耳に入ってきてるんで。ちゃんとそのことに対して理解して、意見を言うことはすごくいいことだと僕は思ってます。そのことで、お三方が代表して立ち上がってくれたことには、もう賛同しております。

岡本 ありがとう。要するに、課税事業者登録(註:インボイス発行事業者の登録)をするか、免税事業者のままかという選択を、たぶん事務所からも皆さん言われてると思うんですけど、どの道を選んだとしてもイバラだというところが、そこを理解してもらって。だから、今のうちにいろいろ変えられることであったり、ストップできることであったり、だったら声を上げていくのがいいのかなっていうふうに。

東地 そうですね。自分に被ることもむろんあるんでしょうけど、僕らの後輩とか、生活に関わる問題だと、結婚もできないとか子供も育てられないとかっていうふうになってくるじゃないですか、お金がないと。
どんどんどんどん、この方向でいくと、そういうふうになってしまうんじゃないかなと思って。それで国が、やっぱりもう高齢化社会に向かってって、そういうふうになって良いこと一つもないなと思ってしまうので。

ちゃんと考えて、さっき先生のお話聞いたら、国がこういうのを掌握していって、税金を増税するために、っていうこともあるんじゃないかって言われると、そういうふうなかたちでやられることにはやっぱりNOを出さなきゃいけないのかなって、思いました。

咲野 ……いい声だね。

東地 いやいやいや。

――僕、けっこう感動してます。

東地 いえいえ。すいません、来るなりベラベラしゃべってすいません。

――「プリズン・ブレイク」大好きだったので。

東地 ありがとうございます。

――なんかすごい感動、今ちょっと鳥肌立っております。

東地 とんでもございません。だから、みんな、知ることが重要ですよね。たぶん、よくわかりにくいと思うんで、何回も聞いてれば少しずつわかってくるような気がするんで、たぶん。

咲野 だってね、そもそもね、「インボイス」って言葉、これ、結局請求書のことですよね?

――まさに、本来英語の請求書です。日本語にするとなぜか「適格請求書」、「適格」というのが付くんですけども。

咲野 ねえ。滑舌的にもね、適格って言いにくいしね。

岡本 適格。

咲野 適格ってねえ。本当に厄介なもんですよ。


7. 税制の視点から、日本と海外の文化・芸術に対するスタンスの違いについて

――疋田先生、海外と日本の税制というところから、文化や芸術に対する違いっていうのがあればお聞きしたいんですけども。

疋田税理士 まずね、消費税の課税の対象の範囲っていうものがいったい何なのかっていうことを、見てもらいたいなと思うんですよね。そうすると、免税となる部分っていうのがあろうかなと思うんですよね。日本の場合は、医療であるとか住まいですね。そういったことに対して、福祉に該当するもの、教育とか、そういったことに対しては消費税はかからないっていう仕組みがあるわけですね。

じゃあ、日本と世界は一緒かっていうと、必ずしも一緒じゃなくて、皆さんのお仕事と関わる部分でいけば、文化と接する場合に消費税は免税となっている、消費税はかからない、もしくは低い税率にしているっていう国が、北欧なんかにはあったりするわけなんですよね。
だから、人間が生きるために必要なものについては消費税はかけないという考え方でそういった区分をしてるけれども、日本には「文化は、軽減するとか、消費税課税しないという対象にはない」っていうことがある。こういった辺りが、文化の違いっていうものが大きいのかなっていうふうには感じますね。

――これ本当に、先ほどお話も出てたんですけど、若い新人の声優さんなんかも、それこそ、この業界に飛び込みづらくなるし、政策によってカバーするものは日本は無いうえ、ここにまたインボイスが始まるっていうのは…。
文化も身も心も貧困化していくんじゃないかなっていうのは感じますけども、皆さんどうでしょうか?

咲野 いや、本当にそうですよね。前回(のインボイスRADIOに)乱入したときにもちょっと語らせていただきましたけど……。ちょっとここでお詫びと修正を。前回(のインボイスRADIOで)、私、声優の「底辺」っていう言葉を使ってしまいまして。でも考えてみたら「いや、『底辺』ってことはないな」。「すそ野」ですね。大きな山のすそ野、これから登ろうとしてる子たち。やっぱりそういう言葉にします。それと「こいつすげえな」って言葉を使ったんですけど、それも「この人」「この子」とさせていただきます。

岡本 それはいいんじゃない? そこは。

咲野 ここで訂正してお詫びいたします。そして、疋田先生がパンクロッカーだっていうことはわかりました。

――そうなんですか?

咲野 いやいや、パンクの精神をお持ちだなという。

――ああ、なるほど。それこそすそ野が広がるからこそ、文化って成熟していくと僕なんかも思ってるので。すそ野っていうのはやっぱり大事かなと思ってます。

咲野 いや、本当そうですよ。

――ここで1点訂正があったんですけども、どうもですね、(国税庁のインボイス発行事業者の)公表サイトの情報は7年間消えない、という話があるようです。

咲野 かーーっ。

岡本 7年間?

疋田税理士 7年間?

――7年間。

疋田税理士 ごめんなさい、じゃあ僕が間違えて説明しましたですね、すみません。

――そういうご指摘を今いただきました。

咲野 なるほど……。

岡本 7年間。「嫌だわ」って(インボイス発行事業者の登録を)引っ込めても、今のところ7年間残るかもってことですね。

――そのようです。

岡本 うーん……こわい。

――これは、促されて「まあなんとなく」っていうふうに登録してしまったとき、が、あれですね。

岡本 そうですね、だから、登録しちゃってそういうのも残るし、あと確定申告のときにやっぱかなり、計算が煩雑だというのも私は聞いていて。だから、税理士さんとか雇えばいいけれども、雇えない、若い子たちっていうのも、とても金銭的な負担とか、個人でがんばって計算するのかもしれませんけど、かなり煩雑だと聞いたのですが、その辺りも、そうですか?先生。

疋田税理士 はい、そうですね。実際には、申告をするとなった場合には、先ほどのように、一つひとつのインボイスを集めないといけないっていう問題があります。もちろん簡易課税制度の場合はね、その辺の手間は省けるっていうのはありますけれども。もし簡易課税制度の届けを忘れてしまっていた場合は、そういったことを一つひとつ集めないといけないっていう、それはもう大変ですよね。

ただ、簡易課税制度をすれば楽かというと、例えば、仕事で使うために車を買うとか、何か大きな買い物をするっていうことがあって、そうした費用なんかが50%以上になった場合は、簡易課税制度を選択しないほうが有利だ、っていうことがあるわけですよね。そうすると、簡易課税制度を選択してしまうと2年間は解除できないわけ、なんですよね。そうすると、簡易課税制度を選択している期間は、高いものは買えないっていうことにもなるし、そして、何か高い買い物をしようかなと思うと「ああ、今年は簡易課税だからだめだ」って。だから、今年の年末には、簡易課税制度をやめる、とりやめっていう制度をしてから、来年買い物をしようっていうふうな選択をしなくちゃいけないから、そこら辺が手間も面倒もかかるなっていう。今、現在の、多くの事業者さんでも同じようにやってるんですけれども、そういう手間もかかってくるっていうふうに理解してください。

岡本 はい。簡易課税制度というのは、それもずっと続いていくものなんですか? ずっと私たちが利用できるんですか?

疋田税理士 現状ではできますね。現状ではできますけれども、簡易課税制度を使えるっていうのは、年間の売り上げが5000万円以下っていう方が条件としてあるわけなんですけれども、その基準がどんどん下げられていくんじゃないかなっていうふうには、言われておりますね。

咲野 うーん……。

疋田税理士 だからまあ、そういったところを、しっかりと見つめていかないといけないなっていうふうには思います。

東地 でも、そもそも、先生、簡易課税制度を国はやめたいわけじゃないですか。

疋田税理士 そうです。

東地 ずっとね、やめたいって言ってるんですよね。

疋田税理士 はい。

東地 そういうところがなあ……。本当に……。

岡本 そうねえ……。

咲野 もう絶句しかないですよね。

――実際、声優業界から見て、「一番ここが困る」というと、どんなところになりますか?

咲野 さっき東地くんも言ってくれたし、僕も言ったことですけど、やっぱりね、さっきの「すそ野」の話ですけども、すそ野が狭まれば当然もう、弾(たま)が減っていくわけですから。どんどんどんどん、少なくとも僕らの考えている、作品作品ごとのクオリティというのは下がっていくのは間違いないことで。だから、すごくね、ほかの職業の人からすりゃあ「それでもいるんでしょ?」ってことなのかもしれませんけどね、でも、僕らにとってはけっこうそれが死活問題だったりするんですよ。クオリティっていう、見えないものっていうのが一番大きかったりするんで。

岡本 若くて、今バイトしながら働いてる、声優の仕事をやってる方もいっぱいいらっしゃるし、そういう人たちが課税事業者登録(註:インボイスの登録)を簡単にできるかっていうと、できない。じゃあ免税事業者のままで仕事が来るかっていうと来なくなる。ってなると、私なんかも含め、「廃業」というものもやっぱり視野に入ってきてしまうんですね。
なので、うーん……そうでなくあってほしいなとは思うけれども、今の時点でホイホイ「課税事業者登録(注:インボイスの登録)、じゃあ明日しなきゃ」と思った方はあまりいらっしゃらないと思うんですよ。なので、そういうふうに思っていくと、未来、そこに夢をもって始めるという人たちも、どのぐらいいるのかなーとも思っちゃう、かな。

――今、岡本さんの話を聞いてハッと思ったんですけども、インボイス制度というのは、オリジナリティがすごくあって、ユニークな仕事をしてる人ほど影響はないっていうふうに言われるんです。「この人じゃなきゃ絶対嫌だ」というと、インボイス登録してなくても発注が来るだろうと言われているんですが、まさに新人の若い子たちなんて、まだそういうふうに世間に知られていなかったらそういう状況も生まれづらいですし、なおさら、インボイスに登録してないんだったら、払う側も納税額が増えてしまうからよけい頼みづらいから、これ、登録せざるを得なくなって、よけい苦しくなるという状況に。

岡本 一つ思うんですけど、ユニークな仕事っていうのは、もちろん私たちって、どんな人でもみんなユニーク、だと思ってやってはいるんですけど、人気商売でもありますし、旬とか時代背景とかもありますし、年齢とかもあるし、時代背景って必ず影響してくる仕事だと思うんですね。そのなかで、じゃあ今ユニークだから、例えば私はフリーでやってますけど、じゃあ免税事業者のままでも仕事が来る、としても、それは「私が大丈夫」ってだけの話、じゃないですか。

――うん、はい、はい。

岡本 でもやっぱり業界ってそういうふうにできてない。いつか私が免税事業者のままだと仕事来なくなるかもしれないし、それからさっきおっしゃったように、これからユニークな、唯一無二の存在になる子たち、ということも、私たち、今、平均というか、みんな、今仕事してる私たちが、そこを声を上げていかないと、きっとだめなんだと思うんですよ。「私は大丈夫」「私は大丈夫じゃない」「私は別に、煩雑な作業でも税理士雇えるから平気」って言ってる限り、この業界というふうな、全体で捉えていかないといけないのかなあって、私はちょっと思っています、それに関しては。

――まさにそうだと思います。疋田先生、お時間って大丈夫でしょうか? もう11時。

疋田税理士 ああ、もうおねむの時間。

――そうですよね。ここで疋田先生、言い残したこととかあれば、お願いできますでしょうか?

疋田税理士 やはり、法律、というか憲法に基づいた考え方でいけば、僕はやっぱり憲法違反、納税の義務のない人に、納税の選択を迫るっていうことでしょう? これってずるいですよね。義務のない人に対して「払え」って言うんですから、こんな乱暴な国家は本当にないなっていうふうに感じます。
ぜひ、こういう、政府の横暴で納税させられることになるっていう、そんな社会を認めていったら、これから負担がどんどん増えてくるかもしれないっていう、本当に世の中もう乱れてしまうように思いますので、ぜひ皆さんと力を合わせたいなというふうに思います。

――ぜひともSTOPの声を上げていけたらと思いますので、よろしくお願いします。

疋田税理士 はい、こちらこそ。

――今夜はありがとうございました。

岡本 いろいろ教えていただき、ありがとうございました。

一同 ありがとうございました。

岡本 よい夢を~。

疋田税理士 はい~。


――というところなんですけども、ちょっと一つ僕から補足といいますか、税金…消費税の義務の話なんですけど、納める義務があるのはとにかく事業者だけで、事業者というのは徴収する義務もないし、消費者というのは払う義務もない。唯一あるのは、事業者が納税する義務。なので、そこには預かり金はない。っていうところですね。ちょっと預かり金のところで気になったので、ちょっとお伝えしました。

咲野 そうそう、そうそう、それね。意外と知られてないことですけど。遠足のおやつを300円分買いに行く子供が、330円持ってかなきゃいけないのはおかしいんですよ。

――そのとおりだと思います。それこそ、生活保護受けてる方が、日々の食料を買うために消費税を払うっていうのは、僕はそこもどうなのかというところも思うんです。

咲野 いや、本当にそうです。

一同 うん。

――実はこれは、税金を払ってるんじゃなくて、あくまで価格の一部を払ってる、っていうのが、税法上そうなっている。っていうところですね。

咲野 そのとおりです。だから、レシートに消費税分って書いてあるのは、本当に「分」なんですよね。

――そうですね。「相当」といいますか、「分」ですね。そのように見えるというか。

咲野 そうなんですよ。だからあたかも小さい子供が消費税を納税してるかのように見せられてますけどね、そうじゃないんですよね。

――はい、そうなんです。この辺の話をするとなかなか複雑な話なので。

咲野 まあまあまあ、そうですね。


8. VOICTIONの今後の活動、連名の募集など

――ちなみに、VOICTIONの今後の予定とか、そんなものってあるのでしょうか?

咲野 今のところはとにかく、賛同者がもう1000人近くいってるんだっけ?

甲斐田・岡本 え?

咲野 500人ぐらい?500人ぐらいだっけ?

岡本 (笑)、そうですね。

甲斐田 まあそう、500人…。

岡本 名前を出したくないという方が、裏でDMでもけっこう送ってくださっているので、表で連名してくださっている人数よりは、かなり裏でも増えてはおります。

咲野 別にそこ、隠さなくてもいいじゃないですか(笑)。だいたい500人、700人、そんな感じですかね?

甲斐田 だいぶ差が。500人弱ぐらいですね。

咲野 500人弱。

――なるほど、(VOICTIONが連名を募ってから)1週間ちょっとですか。10日とか。

咲野 そうですね。だから、先週(のインボイスRADIOで)お伝えした数から、ほぼ倍になってるってことですよね。

岡本 そうですね。なので、表で名前はまだ出せないな、事務所からなあ、っていう方は、裏でDMでお名前を。この、カルチャーやサブカルチャー、応援してくださっている皆様の声もすごく大事ですので、VOICTIONのTwitterアカウントの固定ツイートの中では「②」となっておりますが、ぜひ皆さんのアカウント名とアカウントを書いて、連名していただけると、数も増えてきますので、私たちの力になります。よろしくお願いします。

――ぜひともよろしくお願いします。上田燿司さんから今、リクエストが来ているんですけれども。

咲野 おっ。上田くんもね。

岡本 ぜひ。

咲野 この上田さんが器用な方でね、若い役から老け役までされる方なんですよ。今日は老け役で来るのかなあ、若い感じで来るのかなあ。

――そういうあれですか(笑)。

上田燿司さん(以降、上田) こんばんは。

一同 こんばんは。

上田 すいません、ありがとうございます。このアクションを起こしてくださって。本当に大変なところ、本当に忙しいところ。

咲野 いやいや、今日は娘さんの手作りのカレーを食べて、すごく幸せな夜を過ごしてるところ、すいませんね、こんな物騒な話で。

上田 (笑)。いえいえ。

――ぜひとも上田さんからも、何か。

上田 はじめまして。よろしくお願いいたします。声優をやっております、上田と申します。この問題が、常々私感じているのは、一般の方が、この問題について、何が問題なのかっていうのがわかりづらいであろうというところがあって。そこで、よりたくさんの人に「これがめぐりめぐって、ご自身にも関係してくることですよ」っていうことの問題意識をどうやってもってもらうかっていうことが、非常にこのアクションとしては今後大きな鍵になるんじゃないかなとは思っているんです。

あとはですね、同じ個人事業主でも、我々とか、特にこういう芸術関係に関わる人と、そうじゃないかたちで個人事業主やっておられる方っていうのがいて、そうじゃないかたちの方からすると、またそれも何が問題なのかっていうのがピンとこないところもあったりすると思うんですよね。例えば一つは、先ほども出てましたけど、「税理士の方に作業を投げればいいじゃないか」っていうお話がまず一つあるんです。ですが、実際は、そのためにはけっこう10万円単位のお金がかかるっていうことがあるじゃないですか。

あとは、これを実は疋田先生に聞きたかったんですけど、このインボイス制度っていうものが実際に導入されると、税理士さんの作業としても今以上に煩雑になると思うんですね。消費税の計算をする際に。そうすると、おそらくですけど、この分の、今までのお値段では受けられませんっていうことは起きてくるんじゃないかなっていうのもあると思うんです。ですので、その分のコストが今以上にかかるであろうという。それが、駆け出しだったり、いろんな状況でそこまで収入、売り上げがない人に対しては非常に大きな負担になる。そこまでしたところで、例えばそういう、控除とかで返ってくるお金が合うのか合わないのかみたいな話もなるわけで、なると思うんですよね。そこのところの、ご理解もちょっと頂かないといけないんだろうな、というのが一つと。

あと、先ほどの住所とか本名が公表されてしまうっていうこと。これが、普通の個人事業主の、ちょっと違う業界の方からすると、「会社の所在地なり何なりを公表することは当たり前だから、何の問題があるの?」っていう声があるんです。ところが我々の場合はですね、これ、先ほども出ましたけど、給与所得者じゃない限りは、事務所に所属していた場合でも、これは公表するのは本人の本名であるし、例えば何らかの必要があって住所も公表しなければならないとなったときに、当然本人が住んでる、会社で別に事業、事務所もってたりとかしない限りは本人の住所が公表されるわけじゃないですか。これがさらに、誰でも見られて、商用利用もできるっていうことがあるじゃないですか。

――商用利用できるとなってますね。

上田 我々の場合は、本人が見た目も全部さらして声もさらして、かつ、じゃあって言って、本当のプライベートかっていうと、あるイメージを作品を通して提供する、っていうことをしているわけじゃないですか。そういう特殊な状況なので、その人たちが本人の住所を公表して、っていうことは、普通の会社の所在地を公表するのとはわけが違うっていうことを、ご理解頂かないと、一般の方にも、その問題点っていうのがはっきりしないんじゃないかなっていうのがあるんです。
これ場合によっては、商用利用っていうか、とにかく誰でもアクセスできるってことですよね?

――全国、今でも、誰でもアクセスできます。

上田 ということですよね。そうすると、例えばですけど、非常に、収入が不安定だったりいろいろそういう部分も抱えている人間じゃないですか、我々って。例えば、詐欺まがいのことであるとか、今ちょっと問題になってるカルト宗教とかの、そういうことのアクセスに利用されかねないっていうこともありますよね、当然。

――何かしら新しい犯罪と関わってくる可能性は…。

上田 ありますよね。

――…と言う方はいらっしゃいますね。

上田 だからそういう危険が、まさに本当にその個人に対してかかってくるっていうことが、やっぱり問題だっていうことを、一般の方に理解していただくっていうこと。その辺り、かなあ。あとは個人事業主っていう人たちと、実は一般の、例えばサラリーマンとか、私たちあんまり関係ないって、直接取引がない人たちも、実はいろんな場面でそういうことで成り立ってる事業・業界っていうのはあって、そのサービスを実は普段からすごく享受してるんですよって。
それが危うくなることが、やっぱりいいの?っていう問題意識を皆さんに持って頂くっていうことを、その溝をどうやって埋めていくかっていうことが、大きなアクションにしていくためにはちょっと必要なのかなっていうことを非常に感じていて、その辺のもどかしさっていうか、理解されないんだろうなあっていうところの、それがちょっと…とりとめのない話になっちゃったんですけど、それが非常にずーっと感じていました、私は。

――はい、どれもすごく大事なご指摘だと思います。それこそ、私、普段ライターなんですけども、ライターなんかもフリーランスだらけで、個人事業主なので「自宅兼事務所」なんて人はごまんといて。そういう人たちが本名とかいろいろさらしていくっていうのも、プライベートがむきだしになるみたいな、そういうところがあるので、そこは私も理解してほしいなというふうなところは思います。

上田 はい。

岡本 そこを守ってくれるとは、私たちの声優業界は言ってはくれてないわけですよね。女の子の一人暮らしとか、みんなこわいと思うし。

上田 そうですよね。

岡本 うん。で、たぶんVOICTIONって一応今のところ、いろんな団体さんがそれぞれのグループというか、そういう声を上げる団体をつくって、そういうところで今回「STOP!インボイス」さんとかと連携しながらと思いながらも、私たちは今のところ声優とかサブカルチャー、コスプレイヤーさんだったり、いろんなところですね。漫画家さん、イラストレーターさんとか、歌い手さんも含めですけど、ちょっとすそ野を広げつつ、一応声優業界メインに。
昔ねえ、先輩たちが自分たちの地位確立や生活のために、声優業界の未来のためにデモ行進をしてくれたことってあったじゃないですか。

上田 はい。

岡本 今はコロナ禍ですし、時代も違いますけど、それでもやっぱり、業界自体が、私たち一人ひとりを今守ることができないんであれば、私たちが今、とにかくこの後進や業界の未来のために一丸となって動くときだなあと思っているので。
まず声優とかサブカルチャーとかをまとめて、ほかの団体と連携していきたいなと思っているんですけど。でも、普通のサラリーマンや中小の会社でも無関係ではないので、その辺りのことももっと周知していけたらいいなあと思いますね。

上田 そうですね。とにかく、非常に問題があって、それが、一般の方々にも最終的にはかなりの影響が出てくるであろうっていうことが多分、いかにできるだけ多くの方にわかっていただくかっていうことが、このアクションを大きくしていくことの一つの、支持をとりつけるための鍵になるんじゃないかなと、思っております。

――まさに、上田さんが先ほどおっしゃったように、「自分は関係ない」と思ってる人も、絶対1日のどこかで、フリーランスか個人事業主がつくったものや届けるサービスとか、それこそ1日終わって、仕事終わって、アニメを見るとか、何かしら絶対、フリーランス、個人事業主が関わっているサービス・商品はふれているので。まったく無関係な人は、本当にいないはずなんですよね。なのでやっぱり、そこら辺の声を広げて、ぜひとも「STOP!インボイス」とVOICTIONとも連携をしながら、より声を大きくしていけたらな、なんて思っております。

上田 はい。

――そんなところで、11時20分過ぎぐらいになりましたが、どうでしょうか、そろそろ。まだ言い足りないとか。

岡本 言い足りない方は、ほかにあがりたい方はいらっしゃらない?大丈夫?裕子ちゃんとか何かありますか?今まで聞いてて、たぶん一番詳しいんだけど、どうはさみこんでいいか。

甲斐田 もうとにかく、ゆるやかに業界が衰退していくだろうなという未来しか、私、見えてなくて、インボイスが始まったら。それをとにかく止めたいという思いだけです。一度消えてしまった文化は戻ってこない、戻ってくるの難しいなと思うから。消したくないという思いだけで、声を上げている。

岡本 はい。私も裕子ちゃんとかに声をかけてもらって、まあ、選挙が終わっちゃったしどうなるんだろうと思いながら、いろんなことを聞いていたら、なんで私たちがこんな切羽詰まってるかというと、10月の臨時国会とかそこに向けて、声を上げていきたいなと思うと、そんなに悠長に「来年のことでしょ?」っていうふうには言っていけないなって思っているんです。
なので今、一生懸命声上げて、一人でも多くの方に賛同していただいて、ほかの団体とも連携しながらうねりをつくって、私たち庶民、声優一人ひとりでもいいですが、ちゃんと声を上げていける環境をつくっていけたらいいなあって、すごく思ってます。

甲斐田 「STOP!インボイス」さんでも、国会議員の方に陳情に行ったり、私もときどきついていったりしてますので、議員さんにこの声を届けていきたいなと。

――ぜひともみんなで、声を大きくして、国会に、政府に、財務省に、届けていけたらと思っております。というところで、よろしいでしょうか。

岡本 咲野さんは?

――咲野さん、最後何か一言あれば。

咲野 最後。えーと……「消費増税しない」とは言ってないんですものね。とにかく。

――しないとは言っていません…。

咲野 言ってないんですよ。だから、この先、もう、住所、名前、全部首くくられてる状態で、20%、30%って上がっていく可能性もあるっていうことですよね。

――そうですね、可能性は言われています。

咲野 とてつもない恐ろしさですよね。こわいこわい。

岡本 うん。こわい。

――こわいですよね。

岡本 もし、VOICTIONに声をかけていただいて、不安なことがあったり、表で、最初に言ったように声を上げられないという方は、DMで言っていただければ覆面というか、非公開のかたちで連名できますので、ぜひ声優の方も、声優じゃない方も、応援してくださっている方も、ぜひ名前を連ねていただけると、励みになります。不安なことがあったら、一緒に解決できる道もあるかもしれませんから、ぜひ、ご不安でしたらDMのほうに送ってください。

――というわけで、本日のスペースも録音を残し、後日YouTubeでもアップします。また、noteでも読めるようにする予定です。過去の回を逃した方も、YouTubeやnoteをご利用いただいて、ぜひともこのインボイス制度の問題点というのを知っていただけたらと思います。また、Twitterのフォローや、YouTubeのチャンネル登録もよろしくお願いします。
そして、オンライン署名を集めておりまして、こちら、今、8万筆を超えていますが、本当にSTOPさせるには、30万、40万と、集めていきたいと思っております。

咲野 うん。

――署名まだだよという方、よろしくお願いいたします。というわけで、こんなところでよろしいでしょうか。

岡本 はい、ありがとうございます。

甲斐田 ありがとうございました。

咲野 またやりましょう。

岡本 はい。

――ぜひとも、この輪をどんどん広げて、STOPできるまで、できたらと思いますので。

咲野 はい。

岡本 ありがとうございます。

――よろしくお願いします。

岡本 上田さんも東地くんも、ありがとうございました。

上田・東地 ありがとうございました。

――ありがとうございました。引き続きどうぞよろしくお願いします。

咲野 こちらこそ。お願いします。

――お聞きいただいてる皆さんも、ありがとうございました。

甲斐田 ありがとうございました。

岡本 ありがとうございます。おやすみなさい。



●この回の音声アーカイブ(YouTube)

●「インボイス制度」反対へのオンライン署名

Change.org のサイトから、簡単に署名ができます。ご賛同頂ける方は、ぜひリンク先からご署名ください。10万筆、20万筆と積み重ねることで、国を動かす大きな力になります。


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