全体の様子

10月荒木さんイベントレポート:あなたらしい幸せから愛情の循環へ

みなさん、こんにちは。特定非営利活動法人 STORIAです。

STORIA ロゴ

STORIAは貧困の連鎖を断ち切り、「支えられる人」から「支える人」へと愛情が循環する社会を作る事をビジョンとしたNPOです。

2016年4月から仙台で活動を開始し、経済的困難を抱える子どもたちをサポートしています。貧困とその連鎖を断ち切ることを目指し、貧困家庭の小学生を対象とした「学習支援・食育・体験学習」の複合的な支援を行う居場所を地域と協働で開設しています。

STORIAバリュー

「貧困の連鎖」を「愛情の循環」へ
~荒木博行さんと考える、教育と子どもの貧困問題のクロスポイント~
仙台を拠点に経済的困難を抱えた子どもたちをサポートするNPO法人STORIA(ストーリア)が、株式会社フライヤー取締役COOであり、子どもから大人までの教育を専門とする荒木博行さんをお招きし、会場・オンラインで集まったみなさんと子供の貧困問題・教育について語り、共有し、考える場となりました。

今回は2019年10月18日(金)19時~で開催したイベントの様子をレポートいたします!

全体の様子2

<もくじ>
1.チェックイン 今の自分の気持ちに寄り添う
2.今の日本で起こっている貧困とは?
3.貧困に立ち向かうSTORIAの活動
4.みんなで考える、本当の幸せとはなんだろう?
5.自分たちの次の小さな一歩

1.チェックイン 今の自分の気持ちに寄り添う
荒木さん:
今日のこの場のゴールはみんなで一緒に考えながら、それぞれの立場でそれぞれの解を持ち帰っていただくことかな。私も結論があるわけではなく、皆さんと一緒に学んでいきたいと思っています。
STORIA代表の綾子さんも、参加されているみなさんも緊張しているようなので、まずはアイスブレイクを兼ねたチェックインから始めましょうか。
ぶっちゃけ今の自分の率直な気持ちや問題意識、もしくは問題意識はなくてもないでよいですから、自己紹介とあわせて、こんなことを持ち帰りたいというのをテーブルごとで語ってみましょう。

この荒木さんの始まりから、テーブルに座った数名ごとでチェックインが始まりました。
ほとんどの方が初対面の中、自己紹介とともにこの場に集まった思いを共有していきます。

グループ4

荒木さん:
ではテーブルごとに出た思いをみんなでシェアしてもらえませんか?
という問いかけに、集まったみなさんの思いを共有いただきました。

「自分は親として子供に均等に愛情を注ぐのが難しいと感じています。」
「経済的な裏側にある心の貧困。世の中の流れとして孤立した子供たちが昔より深い断絶の中にいるのではないか?と思っています。」
「自身が貧困を経験したわけではないが、社会人になってから自分がなにができるのか?を考えるようになりました。赤の他人である私たちが、貧困の中にいる子供たちになにができるのかを知りたいです。」
「自身が母子家庭だったので当事者意識をもって改めて考えてみたいと思いました。」
当事者、子を持つ親、世の中の流れとして貧困が気になったり…とみなさんの思いや立場は様々です。


2.今の日本で起こっている貧困とは?
参加してくださったみなさんの思いを受け、まずはSTORIA代表理事である佐々木綾子からも思いをお話させていただきました。
今の日本で起こっている貧困、そこからSTORIAを立ち上げたきっかけ、実際に行っている活動についてじっくりとみなさんに届けていきます。

綾子さん3

綾子さん:
皆さん本日は金曜夜のお忙しい中、お越しいただきありがとうございます。
本日一緒にお話しする荒木さんとの出会いは、2012年に仙台にもグロービスができ、荒木さんがクリティカル・シンキングの講師で来ていただいたときからです。いまだにあの緊張感を思い出して、今日も緊張しています(笑)

子供の貧困は日本の中でも大きな課題として取り上げられるようにはなりましたが、いまだ課題は明確になっていないような状況かと思います。

私がSTORIAを立ち上げたのは、2011年の東日本大震災がきっかけです。
多くの命が失われ、自分自身も悲しい思いでいっぱいでした。
仮設住宅が各地にでき、徐々に復興が起きる中でも仮設住宅から出られないという高齢者・シングルマザーが多かったのです。この震災が改めて子供の貧困を浮き彫りにさせたのです。
当時、私は仙台市とともに被災地の中学生向けの学習支援事業を立ち上げ、約500もの家庭と接しました。そこで感じたのが、子供たちの自己肯定感がずたずたになっていたり、自分自身への希望が失われている場合が多いということです。
もっと子供たちの早い時期に介入したいと思い、小学生を対象としたSTORIAを2016年に発足しました。

<日本の貧困の現状>
現状の子供の貧困について改めて整理すると、貧困率は13.9%(7人に1人)。ひとり親家庭の場合はさらに高まり、50%にものぼります。
7人に1人というとそんなにいるの?と思うかもしれませんが、洋服はきれいですし、スマートフォンも持ってはいるため、見た目からはわかりにくいのです。
日本の母子家庭の就労割合は約80%、平均就労年収は181万円です。
高い就業率にもかかわらず、OECD諸国の中ではひとり親家庭の貧困率はワースト1となっています。
働いているのに貧困になってしまうのは社会構造のひずみでもあると感じており、ここに対してどのようにアクションしていけるか?は皆さんと一緒に考えていきたい部分です。

<貧困の負の連鎖>
貧困は単発ではなく、連鎖が起こっている状態です。
親は困窮した生活からダブルワークを行うため、子供たちと触れ合う時間が少なくなってしまいます。
お休みの日に科学館に出かけるなどの余裕もなく、子供たちは学力低下から自己肯定感低下に、その若者が今度はまた親になるも困窮した生活へ…というネガティブな連鎖が続いてしまいます。
この負の社会的相続が大きな問題になっているのです。

3.貧困に立ち向かうSTORIAの活動
<教育だけでなく養育を>
ならば教育の機会を提供すれば解決できるのでは? と思い、最初は学習支援をしていましたが、子供たちと携わるうちに「教育格差」だけでなく「養育格差」が起きていることに気づきました。
養育格差とは、基本的生活基盤や自己肯定感の欠如から、子供の生きる力を得にくい環境を創り出しているのではないかということです。
そもそも教育に向かう前に、子供たちにはエネルギーや愛情が足りていないと思ったのです。
だからこそSTORIAでは、まず子供たちに十分に愛情を注ぐことから始めています。
そして我々だけではフォローが難しい部分を行政や地域とともにTRYしていこうとしています。

子供たちを低年齢期にサポートするほど、効果が出やすいという世界的なエビデンスもあるため、STORIAでは小学生を対象として非認知能力を育むチャレンジをしています。
認知的スキルがいわば学校の勉強とすると、非認知的スキルは忍耐力、自尊心、思いやり、楽観性といった学校の試験では測ることのできないものとしています。
非認知的スキルがないと認知的スキルが上がりにくいのですが、家庭内で繰り返しの体験により育まれるといわれる非認知的スキルを経済的貧困の中で育むのは難しいでしょう。

STORIAでは負の連鎖を断ち切るために大きく3つの活動をしています。
1.小学生を対象とした、集まれる拠点の開設
2.地域連携での家庭を含めた包括サポート
3.効果検証とともに構築モデルの拡大

STORIAのビジョン
貧困の連鎖を断ち切り、「支えられる人」から「支える人」へと愛情が循環する社会を作る
STORIAのミッション
経済的困難を抱えた子どもたちが、困難を乗り越え生き抜く力を育む環境を提供する

ビジョンにあるように、支えられる人がゆくゆくは支える側になり、愛情が循環していく世界を作る。
つまり、STORIAでは負の連鎖を逆回転させる取り組みを行っています。

綾子さんのプレゼンが終わると、荒木さんとの対談でさらに具体的な事例をお話していきます。

綾子さん荒木さん2

荒木さん:
日本の貧困は相対的貧困とよく言われますよね。絶対的貧困は見えやすいが、相対的は見えにくい。
このリアリティをまず認識すべきなのではないでしょうか?
一見するとわからない状態から、どういうところに貧困は見えるのでしょう?
綾子さん:
洋服はきれいだったりするので、実際に家庭まで入り込んでみていかないとわかりにくく、表面には出てこない場合が多いですね。

荒木さん:
STORIAに来る子は非認知能力が育まれていない場合が多いとすると、どんなコミュニケーション特性を持っているのでしょう?
綾子さん:
来た当初は会話しない・視線を合わせない・コミュニケーションをとりたくない・とれないなどがありました。何かをやろうとする意欲や集中力が少なかったりも…。
荒木さん:
では算数の宿題やっていて、と言っても…
綾子さん:
やれないし、やらないですね。でも、よくよく話を聞いてみると病気の親が心配で集中できないとか背景が見えてくるんです。子供たちも、やらないという行動の裏には不安やさみしさを抱えているのだと思います。

荒木さん:
家庭内養育をSTORIAがサポートしていくとありましたが、具体的にはどんなことをされていますか?
綾子さん:
仙台市にある拠点で行っていることが3つあります。
1つ目は子供キッチンです。みんなでごはんを作って食べて、片付けも一緒に行います。


荒木さん:
なぜ食に着目されたんでしょう?
綾子さん:
そもそも量としてしっかり食べれていない子供が多い、食べていても栄養バランスが偏っている、家族団らんを味わったことがない…といったところを、みんなで食卓を囲むことで精神的な安定をも合わせて得られるようにしています。

2つ目は学習サポートです。勉強ができないと「自分はばかだもん、どうせできない…」と子供たちの自己肯定感の低下へつながりかねません。宿題はやれないなら「やらない」というスタンスも受け入れ、子供たちが学ぶことを楽しく感じられるように工夫しています。

3つ目は非認知能力向上のための体験学習です。子供たちの「やってみたい!」を叶えるため、子供たち自身にやりたいことの企画書をつくってもらい、みんなでどうやるか?を話し合ってもらいます。
加えて、大人も少しアドバイスをしながら実現に向けてフォローしていきます。

荒木さん:
具体的にはどんなことをされたんでしょう?
綾子さん:
ある子が「稼いでみたい!」と言い出したんです。なぜかというと、みんなで温泉に行きたいから。
じゃあ行けるようにみんなで稼いでみよう!という話になったようです。
稼ぐためになにをしよう?…子供キッチンで調理していることからなにか食べ物を作ったら売れるのでは?と考え、休日の2日間だけ運営するカフェを提案してくれました。
実際に私から子供たちにはお金を貸し、お金がどんなふうに流れていくのかを説明した上で子どもたち自身に準備してもらいました。子どもたちは自ら利益計算をし、コンセプトやターゲット、メニュー、売上目標まで設定したんです!原価も抑えるために、直接農家へ原料を調達し、自家製ジンジャーエールやお菓子も全てボランティアさんと作りあげて、営業許可もしっかり取りました。


 カフェ1日目は目標売上に届かず、終わった後に子供たちは自ら即ミーティングを開いていました。
あまりお客様が入らなかったのはなぜか?…数が少ないのなら、一人当たり単価を高くする必要がありそうだ!なんて会話を始めていたんです。
加えてプロモーションビデオを作って客数も増やすよう、子供たち自身が工夫していました。
でも2日目は店長が家から出てこなくて、欠席になるかもしれない事態になったんです。
周りの子供たちはその店長の役割をフォローすることを考え始め、副店長が説得に向かいました。
最終的にはカフェが始まる時間には店長が来てくれて、2日目もやりきることができました。
店長の子も、1日目の売上が上がらなかったことに対しプレッシャーが大きかったのですが、副店長の子の「そんなに気にすることないよ、私も一緒にやるし」という声掛けで心が軽くなったようでした。
普段は目を合わせられない・話ができない子が、カフェでは店長としてお客様に対し「今日は来てくださってありがとうございます」とあいさつができた姿を見て、本当に成長スピードの速さに感激しました。

荒木さん:
学校での認知能力の引力が強いと、親もそこにしか目がいかなくなるんですよね。
それは経済的に裕福かどうかは関係なく、どの家庭でも起こりうることではないでしょうか。
でも年齢が上がるごとに、我々大人や親は子供の成長が点数でしか見えにくくなってくるんです。
子供なりにいろんなことを考え試行錯誤し頑張っているのに、親には数字しか見えなくなりがちで、そうなると学校でも家庭でも子供たちの行き場はなくなりがちです。
こうしてコミュニケーションの断絶が起こるというのは、いろんなところで気をつけなきゃいけないですよね。

もうひとつ気をつけなきゃいけないのは、過度な自己責任論&やればできるというマインドセットです。やらなければ結果は得られないという意味では一面の真実であるとは思いますし、現状の成功者は今まで自分が頑張ってきたという実績がありますが、その土俵にすら乗れていない人生だってあるのです。クラスの問題児に対し「あいつらはやらないからできない、おれはこれだけ頑張ってるのに」と思ってしまいがちですが、やりたくてもできないというのも大事な側面としてあるのです。

綾子さん:
子どもたちのやるエネルギーがわくまで大人が待つのも大事。必ずわいてくると、今のその子を信じて待ち続けるんです。


4.みんなで考える、本当の幸せとはなんだろう?
2人のお話に引き続き、会場からも質問があがります。
Q:親からの愛情と、その他の人間関係からの愛情は同じなのでしょうか?
綾子さん:
親が愛情の質量ともに与えるに越したことはないと思いますが、地域の方、スタッフでも十分に愛情を注ぐことで寂しさはサポートできると思っています。子供たちの自己肯定感が高まっている実例を見ていますし、行動も言動も変わってきていますね。
合わせて親御さんへのアプローチとして、定期的に面談しつつ、会話の中から家庭内に問題がないかをチェックしています。必要に合わせて行政や就労支援などへつなぐお手伝いもしています。

Q:店長の男の子のように、どうやって子供たちはSTORIAの拠点に来るようになるのでしょう?
綾子さん:
相対的貧困は見えづらいためどこにいるのかもわかりにくく、どうリーチするのかが重要です。
地域との連携を重視し、一緒に見守っていく形をとっています。大体は地域の方から声をかけていただき、その家庭からSTORIAへ問い合わせがきます。最初は子供はよくわからないままにSTORIAの拠点に連れてこられる形ですが、一度来るとそのまま来てくれるようになりますね。
みんなでごはんを作って食べるというのは彼らにとっては非日常であったり、同年代・ボランティアのお兄さんなどがいるというのは居心地が良く、楽しいのだと思います。

Q:お金の大小というより、自己肯定感の生まれる環境にいるかどうか?のほうが重要だと思います。
自分も両親が忙しくて帰ってこなく、一緒に過ごした時間も少なく、それでも何とか生きていられるのは親以外の環境が自分を作ってくれたからだと思っているからです。
そして、「相対的」に見ると、たとえ偏差値の高い集団であっても落ちこぼれてしまう人もいる。
そこからどうやったら抜け出せるんでしょうか?
荒木さん:
たとえ自分の年収が1000万円だとしても、周りがもっと上なら不幸だと感じてしまいがちなように、今の我々は「相対的に」幸福感を測る一面があると思うんですよね。
だからこそ、社会の「相対的」側面ではなく、自分の「絶対的」側面を考える・感じる教育が重要なのではないでしょうか?
偏差値や買ってもらった金額で測ると相対的でしかなく、上には上がいていつまでたっても幸せにはなれないでしょう。そうではなく、あなたにとっての幸せを絶対軸で語れることが大事です。
これは子供に語るときにも一緒で、まず自分自身の幸せってなんだろうを考え、それを子供にも話すといいんじゃないでしょうか。改めて考えたときにそれは偏差値?それとも一緒に時間を過ごし、ご飯を食べること…?

綾子さん:
勉強ができる子もいれば、絵がうまい子、創作する子、作曲する子…自分の得意な強みが自己肯定感を育んでいくのです。できる自分だけでなく、できない自分も認められたらいいなと思いながらSTORIAをやっています。

綾子さん荒木さん3

Q:やればできる、という努力論が通じるのはほんの一握りです。強者の論理、頑張ることのすばらしさもあるけれど、自分自身の進歩(昨日までできなかったことができるようになる、など)を価値としてみることも大切だと思います。
荒木さん:
成功してきた人は自分の努力ももちろんあるが、それを叶えられた環境やいろんな支えがあったことを忘れず、感謝したいですよね。
なにもしないで頑張らなくていい、という話でもなく、努力と環境の両面をみたいところです。

Q:貧困当事者からすると、成功者からの「努力しろよ」は「お前に何がわかるんだ!」という感じです。
大切なのは小さなチャンスをコツコツ増やすことだと思っています。人によって得意なことは違うからこそ、その強みを伸ばしてあげたいのです。
できない部分を認めながらも、できる部分(強み)も認めてあげたいです。
荒木さん:
それを認めてくれる多様性を見てくれる環境が大切で、それが家庭ならいいんですけどね。
会社でも単一的な価値基準を満たさないと認められないという組織もあったりしますし、そこは我々が環境を選ばないといけないと思います。環境を変えられるほど、みんな強くはないですから。
ただし子供は自分で環境を選ぶのは難しいので、周りの大人がどのように用意してあげられるかが重要ですね。

Q:自分も母子家庭で貧困だったので集中力の欠如に心当たりがあり、今でも不安を抱え、自己肯定感もないと思っています。STORIAでは養育に重点を置いているところはとても良いと思う一方、親じゃない人が養育にコミットすることがどこまでやりきれて、子供たちに影響するのでしょう?
綾子さん:
STORIAでの子供たちの変化を見ると、親じゃない人が関わることでも影響はあると思っています。失敗を含め、ありのままの自分を受け止めてくれる人や場所があることで子どもたちはチャレンジを繰り返すことができるのです。加えて学校や地域、いろんな方が関わっていくのが重要だと思います。


5.リアルケースを読んで&自分たちの次の小さな一歩
終盤にさしかかり、みんなで実際にSTORIAで起こったショートケースを読みました。
”…朝から晩まで働き詰めの母親は、熱を出した小学三年生の娘を迎えに行くことができません。なぜなら仕事を休むと辞めさせられてしまうからです。…夜も一人、夕飯代わりの少量のスナック菓子を食べながら「お母さんも仕事を休まず頑張っているから…」とテレビを見て母の帰りを待っています。”(ケースを一部まとめたものです)
このままいくと、この母子はどうなっていくのだろう?を考える時間としました。

実際にケースを読み、テーブルごとに話し合った意見を共有してもらいます。
「一番助けてあげなきゃいけないのは母親ではないだろうか?なにも考えられないくらい、素直に助言を受け入れられない状態だと思う。まず人間らしい生活を整えてあげるためにも役場の方に紹介するなどが必要な一方、社会構造的な問題なのかもしれないですね」

「女の子は栄養状態の悪さから体調不良や、自己肯定感が低くなってしまいそう。
自分の家庭が絶対軸の中、寂しい悲しいことすらわからない。でもなにか世の中とのギャップを感じながら、それを埋められずに生きていくのではないでしょうか?」

あわせてオンラインから参加している皆さんからも、チャットでコメントをいただきます。 
「母子ともに、この環境が当たり前だと思うようになってしまうのではないでしょうか。」
「親自身も他人を頼ることをあきらめてしまうかも。」
「寂しい気持ちを埋めるために、埋めてくれる人に依存してしまうかもしれない。それがいい人ならいいが、場合によっては犯罪に巻き込まれる可能性も…」

参加したみなさんからのコメントを受け、その後の結末を綾子さんからお話いただきました。
綾子さん:
これはSTORIAに来てくださった母子のリアルケースなのですが、まず母親が助けてと言えないのです。離婚を決めたのは自分だから弱音が吐けない、自分が強くあることで何とか今の状態を保っている…などその理由は様々です。
だからこそ、我々STORIAや学校で介入し、改善できる面を教え、最終的には母親の労働環境を変えることができました。
そこから土日は母子一緒に過ごす時間が増えた結果、女の子の精神安定につながり始め、ようやく自身の好きなことである小説を書くことに夢中になれたんです。現在はSTORIAでその小説を映画化する流れにもつながっています!

このストーリーを聞いた会場からは、わあっと大きな歓声と拍手がわき、今日一番の盛り上がりを見せました。

全体の様子3


綾子さん:
最近の児童関連事件から、児童相談所への非難も多くみられますが、実際には児童相談所もぎりぎりのマンパワーで運営しており、その制度や現状では頑張りきれないというのが実情だと思います。
だからこそ、社会構造を変えていくにはまず一人一人がこういった社会問題があると知ることから始まるのではないでしょうか。

荒木さん:
ではこの2時間を終えて、具体的に自分たちは何をしよう?を考えてみましょう。
それぞれの立場があるでしょうから、押し付けることなくご自身の視点で考えてほしいですね。

人によって見えている世界が全然違うし、実際に見えているのはほんの一部分だけなんです。
忙しい日々の中で、自分の知らない世界を見るとまるで異物のように反応してしまうのは、あくまで自分の価値観を通してみてしまうから。けれど、そんなときに「自分の知らない世界はなぜ起こるんだろう?」と想像できる余裕を持ちたいですよね。(とはいえ、日々の忙しい中でその余裕を持つのは大変ではあるのですが…。)

荒木さん

会場から参加された皆さんの具体的なこれからの行動もシェアしていただきました。
「地域のコミュニティカフェに毎月一回シングルマザーが集まるのでサポートしており、今後はキーとなる人やエリアを見つけて、少しづつ広げていけたらいいなと思っています。」

グループ

「実は生きていく方法は無限にあるけれど、どうしても近い人の生き方しか見えにくいと感じます。
だからこそ、もっといろんな生き方があるんだよと見せられるようになったらいいですよね。」
荒木さん:そのためにはまず親自身がいろんな価値観を感じることが大事なのかもしれませんね。

グループ7

「貧困というのは自分も知らない世界でショックを受けたのですが、自分で社会課題について関心がなかったことに気づき、直視するようになりました。そして関係する情報に目を通すようになったのは小さな一歩だけれど、確実に今までとは変わった部分です。」

グループ6

「みんなと一緒だったらいいよね、ではなく、個の違いを認め合うこともいいよねと子供たちに伝えられるようになりたいです。一概に経済的に満たされていたら幸せ、というようなものではなく。」

グループ5

オンラインのみなさんからもチャットでシェアしていただきました。
「学校に行けない子供をサポートする団体をフォローしたい」
「自分の受けたことを子供には繰り返さない」
「自分の思いを声にして発信しないと変わらないので、今日の学びをまず身近な人とシェアして広めたい」

今の日本の貧困問題、それに対するSTORIAでの活動やリアルケースを共有させていただき、参加してくださった皆さんからの体験談や思いを共有いただいた、あっという間の2時間でした。

結びとして、綾子さんからのメッセージをみなさんへお届けします。
綾子さん:
たとえ経済的な貧困を断ち切っても子供たちが幸せにならないと意味がないのです。
子供たちの幸せとは、自己肯定感を育みながら、自分らしく生きることだと思っています。
STORIAでいろんな人と交わることでたくさんの価値観や生き方を知ることができますし、STORIAに関わった子供たちがこれからの日本を変えていく存在になっていくと感じています。

実際に今年3月にSTORIAを卒業して中学生になった子供たちが、STORIAの子供たちのメンタリングや、場の企画をしてくれるようになりました。
まさしく支えられる側から支える側へ、小さいながらも愛情の循環が始まったことが本当に嬉しいです。そういう場をもっとたくさん増やし広げていくのが我々大人の役割だと思っています。

綾子さん

最後は会場・オンライン参加の皆さん合わせて、記念撮影を行い、アンケートにもご協力いただきました。
結果として、多くの皆様がSTORIAへ積極的に関わりたいと書いてくださり、スタッフ一同とても嬉しく思います。

集合写真修正


STORIAでは今後も定期的に毎月の勉強会や、イベントを開催予定です。
次回勉強会は11/17(日)自己肯定感ワークショップ@都内を予定しています。
Facebookやnoteにてお知らせいたしますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

Instagramでは、STORIAの拠点で過ごす子どもたちの日々の様子をお伝えしています。
ぜひぜひ、仙台にいる子どもたちの楽しそうな姿をご覧くださいね!


*****
STORIAの運営は応援してくださる皆様のサポートにより成り立っています。

愛情の循環へ、1口500円からの寄付でご参加いただけます。

このnoteでのサポートももちろん大歓迎です!

いただいたサポートは子供たちの学習支援・食育・体験学習に使わせていただきます。子供たちの後押しとなる小さな一歩をぜひお願いいたします。

#STORIA #STORIA仙台


いただいたサポート費は子どもたちの支援に使わせていただきます! STORIAの愛情の循環にぜひ一緒に加わってくださいね。