憑羽に寄す:二十 狩場の準備
一夜が明けて、ほとりの町にも日が昇る。
刷毛で引いたような雲を抜け、白金の光が差すにつれ、街にもたらされた被害のほどが次第にあらわになっていく。
北門と南門、街の中央を結ぶ通りを、巨人がその手に見合った鉈でもって一直線に叩き割ったような、一本の痕が結んでいる。通りに面した建物は、ことごとく正面部をえぐり取られている。見えるのはふぞろいな断面と部屋の中身、割れ砕けた瓦礫を撒いた地面ばかりだ。人の姿こそまばらだが、焦燥にも目に見えない何かが、埃の匂いの風に混じって街のいたる