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夏の天気急変対応ガイド

梅雨末期に大荒れになった本州ですが、本格的な夏に向けて気を付けたい雲やシビアな現象のまとめです。まずは基本的なことからおさらいです。雷雨や豪雨をもたらす積乱雲、キーワードは上空の寒気です。ただし、寒気だけでは積乱雲は発生しません。湿った空気の流入や日射による昇温などが重なってはじめて積乱雲は発生します。天気予報でよく聞く大気の状態が不安定というワードを聞き逃さないことです。お天気アプリや気象レーダー、コミュニティFM受信アプリなどを導入しておくと役に立ちます。

世間一般に言われている、黒い雲が近づいてくる、冷たい風が吹いてくる、雷鳴が聞こえる、この3つが揃った時には既に手遅れです。ガストフロント通過直前の状況ですので、15m/s~20m/s程度の突風は覚悟してください。ガストフロントが通過すると積乱雲本体の真下に入り、次にやって来るのはダウンバーストです。水平方向の雨を伴う突風で、時に電柱をなぎ倒すほどの猛烈な風が吹きます。いち早く避難することが必要で、レーダーを見るのは安全な場所に避難した後にしましょう。

遠くにモクモクした雲が見えた時点でレーダーを確認すれば、危険を回避することは容易です。積乱雲が接近する速度は原付バイク程度ですので、遠くに見える時点で行動すれば慌てなくても十分間に合います。避難した直後に雲が消滅したとしても、何もなければそれに越したことはないので、躊躇せずに動くことが大事です。一時的に身を守るための場所として適しているのは、車の中や公園などにある鉄筋コンクリート製の公衆トイレです。東屋や木の下は雨は防げますが、落雷のリスクが高いので避けましょう。

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積乱雲が見えたらレーダーをチェックして、進行方向を確認しましょう。写真は自分の立ち位置から30km~40km先にある状態です。この距離で気が付けば問題なく避難することが出来ます。

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雨柱は降水雲がハッキリ見えている状態のことです。遠くからハッキリ見える雨柱はダウンバーストが発生していることを示すものと覚えておきましょう。ダウンバーストが発生すれば、ガストフロントも発生します。

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乳房雲は大気の状態が不安定な時に現れる雲です。特に雲の低い部分に出る乳房雲は荒天の前兆と言われています。鉄床雲の底に現れる時は要注意。

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遠くでゴロゴロ聞こえたら積乱雲が近づいている証拠です。雷鳴が聞こえる範囲は地形や条件にもよりますが、直線距離で15km~20km程度です。

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アーチ雲は積乱雲が吹き出す冷気と周囲の暖かい空気の境目に出来る前線です。ガストフロントと呼ばれ、通過時には突風を伴うことがあります。

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頭上に黒い雲が迫っている時は、ガストフロントが通過中の可能性があります。黒雲が通過した後には一気に気温が下がり大粒の雨が降ってきます。

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積乱雲の真下に入ると至近距離に落雷があります。ここまで入ってしまうと非常に危険ですので、近くの建物や車の中に避難しましょう。避難する場所がない場合には、鉄塔や電柱の仰角45°の範囲内が何もない場所よりは安全と言われています。

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壁雲は回転する上昇気流域、メソサイクロンが可視化した姿です。スーパーセルとも呼ばれ、竜巻などの突風のリスクが高い状態です。

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テールクラウドは壁雲から降水域に向かって伸びる雲です。壁雲の延長で、基本的な構造は同じであると言われています。最も警戒したい雲のひとつ。

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漏斗雲は竜巻発生直前に見られる上昇気流の渦が可視化した雲です。形は様々ですが、雲底から地上に向かって垂れ下がってきます。この雲が見えたら直ちに避難しましょう。竜巻だけでなく、雹や落雷のリスクも高いです。

積乱雲の下では激しい雨が降りますが、30mm/hを超えると車を運転中に前が見辛くなり、50mm/hを超えると道路が冠水し、70mm/h以上は恐ろしさを感じるほどの降りかたになります。アンダーパスなど低い位置には近寄らないようにしましょう。

積乱雲の接近からダウンバーストの発生、真っ只中にいる状況を捉えた映像です。参考にしてください。

ガストフロントの接近から通過時の突風発生を捉えた映像です。参考にしてください。

台風のアウターバンドで発生した壁雲、テールクラウド、漏斗雲を追跡する映像です。参考にしてください。

夏の屋外レジャーに雷雨はつきものです。雨が降り出してから避難しても遅いので、事前に異変を察知して安全に夏を過ごしてください。暑いので熱中症にも気を付けてください!

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