カバラ 生命の樹(セフィロトの樹)とは? 中編

「人間=宇宙、宇宙=人間」という宇宙観

生命の樹の世界を理解する2つ目の鍵は、「人間と宇宙は相互に影響しあっている」という万物照応の世界観です。

人の意識は、星の世界に影響を与える、星の世界の動きは、人の意識に影響を与える。これは、古今東西の星占いの根底にある発想です。

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言い換えると「(この世界の)すべてはお互いに影響しあって存在している」という世界観になります。

日本でいうと密教的な世界観とも共通しますが、「人間=宇宙意識、宇宙意識=人間」みたいな話です。

この話を別の角度から見ると宇宙は1つの巨人の身体のようなもので、隅から隅まで見えないところでつながっている。満月や新月は人間の意識に影響を与えるし、人間の意識の状態は星々の運行に影響するという話になります。

人間と宇宙は相互に影響しているという発想を突き詰めていくと、陰陽原理ではありませんが、この世界のあらゆる要素は、相互に影響しあって存在している、ということになっていきます。

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死は生の中に、生は死の中に、光は影のなかに、影は光の中に、王様は王国の中に、王国は王様の中に、みたいな発想です。

ピタゴラス数秘術と生命の木

生命の樹の世界を理解する3つ目の鍵は「宇宙は数というエレメントでできている」という世界観です。

生命の木=セフィロトの木は、10のセフィラ(球体)によって構成されますが、このセフィラというのは「数」という意味です。つまり、

生命の樹=数字の樹

なのです。

生命の樹は、ユダヤの秘密の教えに源流をもつので、こちらのイメージが強いのですが、実は古代ギリシャ文明のピタゴラスにはじまる欧州の数秘術の世界観を非常に色濃く継承しているのです。

特にタロットなどの文脈での生命の樹の話なら

Q カバラの生命の樹ってなに? 
A 数秘術の一種で、数で世界を見る宇宙観です

と思っておけば、理解しやすいことが多いと思います。(樹をゲートにして異世界トリップしましょうという瞑想の話題は別として)

生命の木のセフィラ(数)の意味もよくある西洋の数秘術とほぼ重なります。数秘術の鑑定などを受けたことがあればカバラの生命の木はわりと近しい世界です。

例えば

>数秘
4=安定・常識人
5=変化・自由人

>生命の樹
4つ目のセフィラ(数)=ヘセド(慈悲=優しさ・甘さ)
5つ目のセフィラ(数)=ゲ ブラー(峻厳=激しさ・厳しさ)

などはわりと近いですね。もちろん流派ややる人でイメージは異なりますが、大きく見れば同じです。

違うのは、生命の木には「10」があって、数秘術にはだいたいないことです。ただ、10=1+9 とイメージすればだいたい当たります。

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ね。数でしょ?

王冠(ケテル KEHTER)とか王国(マルクト MALKUTH)とかカタカナ語は覚えなくていいので、まず10個の数(セフィラ)があるってことだけを抑えましょう。

「数」によって見えない世界を見える化する

数秘術的な宇宙観、生命の樹的な世界観の特徴の1つは、非常に分析的なことです。

例えば、「ルールを守るのが仕事」な「4」の世界、「ルールを壊すのが仕事」な「5」の世界、といった具合に「数」という概念を使って世界を解き明かしていくのが数秘術です。

この数で世界を分析するというのは、実は時計とよく似た考え方です。時計で「1時とか2時とか」を数で決めることによって、時間という目に見えないものを見える化していくわけです。

生命の樹に話を戻すと、宇宙の目に見えない仕組み・エネルギーというものに対して、1-10の数を使って認識するのが、生命の樹なわけです。

数というのは便利なもので、自分の体力を

超元気な時のHP(ヒットポイント)  100%以上
元気な時のHP(ヒットポイント)   100%
普通な時のHP(ヒットポイント)    80%
元気ない時のHP(ヒットポイント)   50%以下
倒れる時のHP(ヒットポイント)    15%以下
生命の危機な時のHP(ヒットポイント)  5%以下

などと感覚を見える化することができます。こうすると、「今は、HPが50を切ったから、休まなくてはいけない」といった風に倒れる前に対策が打てるわけです。

自分の感覚を精密にしていくためにも、数で何かを表現するという考え方は非常に重要です。

(後編へ)



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